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価値1
生まれた時から金と女には困らなかった。いわゆるこれが上級国民というやつらしい。自分よりも年上である大人が自分に対して媚びへつらい、自分のご機嫌を取るのに必死な姿を面白く思っていた時期もあった。だがある時からそれが虚しく思えてきた。こいつらが見ているのは俺じゃない。俺の金、俺の父親を見ている。所詮は親の七光りに過ぎないのだと気づいた。父親の部下に限った話ではない。あわよくば玉の輿になろうとする顔だけの馬鹿な女もいた。本人たちは必死なのだろうが、気持ちが悪くなるような甘い声で囁かれた時に感じたのは嫌悪感以外の何物でもなかった。顔だけの馬鹿な女なんて少しでも容姿に影が見え始めたら捨てられる。利用価値がそれしかないから。そんな女は吐いて捨てるほどいる。だが彼女たちは自分たちが唯一無二の美貌で捨てられるなど夢にも思っていないようだ。随分とめでたい頭をしているらしい。
橘朔はそんな人間たちに心底うんざりしていた。俺自身は正直大した存在ではない。親の七光りだけが取り柄のただの高校生だ。親の決めた婚約者と結婚して、親の決めた職に就く、そんな人生だと思っていた。




