第104話 秀吉の決断
お待たせしました。
仕事が忙しかったのと完全にスランプでした。とりあえず、リハビリがてら少しずつ更新していきます。
「官兵衛、その策で勝算はあるのか?」
秀吉は悩み、官兵衛に言う。
「柴田様は、織田家でも昔から仕えている方。秀吉様に勢いがあるとしても旧来の恩がある方は柴田様につくでしょう」
「……どれぐらいの武士がつくか?」
「少なくとも佐々様は柴田様につくでしょう」
「成政、か。あやつは今外山(富山)にいるからこちらとしてはあまり影響がないな」
秀吉は、誰がどこにつくのか。織田家の家臣団が現在どこにいるのか。戦力はどうなのか。1つ1つ黒田官兵衛に質問していた。
「河合。秀吉はどうすると思う?」
俺は、横で秀吉の決断を見守っている河合の耳元で小さく尋ねる。
「おそらくですけど、戦うと思いますよ。現実に賤ヶ岳の戦いがありますし、今は小田先輩の件もあるので大義名分がつくと考えて戦う方に本人は考えていると思います。ただ……」
「ただ?」
河合がそこに言葉を1回止めたので俺はそのあとに何を言おうとしているのか気になった。
河合のその言葉の先を答えたのは水上だった。
「雄介が言いたかったのは、家康とのことだよね」
「さすがは真由だね。そう。俺が言いたかったのはまさに徳川家康とのことだ」
「家康? なぜ、ここでその名前が出てくるんだ?」
俺は、どうして家康の名前がここで出てくるのか全く分からなかった。
俺の言葉を聞いて、河合と水上の2人は「はぁ~」とため息をついた。
え? なぜ、そこでため息をするんだ。なんで、あきれたような目で見るんだ。
「いや、先輩。日本史やっているのに知らないんですか?」
「本当に小田先輩って自分の好きな時代以外のことはほとんど知らないんですね?」
「そう。なんで、ここまで戦国の知識がないんですかね」
「日本史Bの教科書にも載っていますよ」
ぼろくそだった。
ものすごい言われようだった。
なぜ、俺は2人にここまで言われないといけないのだろうか。解せない。納得がいかないぞ。
「そこまで、言う?」
俺は、あまりの言われようで凹んだ。
悲しかった。
そんな俺の様子を見て、2人は笑顔だった。
なぜ、笑顔なんだ。
先輩をいじめる趣味がこの2人にはあるのか。なんで、ここまで息ぴったりなのだろうか。
「「小牧・長久手の戦い」」
2人は、息ぴったりにその言葉を俺に言う。
小牧・長久手の戦い。
名前はどこかで聞いたことがある、ような気がする。
確かにやった?
……自身はなかった。でも、聞き覚えだけはあった。
「まあ、自分で調べるか、野村先輩に聞いてください」
「自分で調べるって、この時代でどうやって調べるんだよ」
「……がんばって~」
水上が適当に応援する。その言い方に俺は少しいらっとしたが、何も言い返すことができない。
そんなこんな、俺らがずっと雑談をしていた。
その間も秀吉は悩んでいた。
そして、決断をした。
「決めた。儂は勝家を討つ」
ついに、長浜へ、北陸へ俺らは向かうことになったのだった。