第19話 炎龍の再臨
アスラの街を今回で出ようと思っていたのですが、終わりませんでした。
次回、次回こそは、アスラの街編を完結させたいです。
「というわけでお前の力で修羅姫を鍛えて欲しい」
俺は宝物庫の中で一匹の龍に頭を下げていた。
「頭を上げてくれ主よ。守護龍として主の役に立てることが我らの喜びであり、使命だ。だが今回の件、その修羅姫という人物には我の事を話しているのか?」
「まだだ。でも本当に修羅姫が力を欲しいのなら来るはずだよ。だからその辺りは心配しないでいいぞスザク」
「そうか」
紅刃烈火のスザク。別名は紅龍。
特徴と言えば普通のドラゴンと違い翼が蝙蝠のような薄い羽ではなく、鳥類特有の羽毛だというところと鉤爪が刀をイメージして作られたモンスターらしく捕獲する際にはとても悩まされた。……だって捕獲網を切り裂いちゃうんだもん。この名前の通り伝説の霊獣の朱雀をモチーフにしたキャラだ。もちろん火炎魔法は最上級クラスまで仕上げてある。
ちなみに俺がドラキラのモンスターで初めて仲間にしたドラゴンでもある。
「それで主よ、修羅姫に合うなら我の姿では怖がられてしまうのではないか?」
強気なスザクがこんなことを言うとは珍しい。
「何かあったのか?」
だが俺の疑問に答えたのはスザクではなかった。
「スザクは前に主様の新しき眷族に怖がられたことがありましたのでそのことを気にしてるんです」
宝物庫全体に女性の声が響いた。
「この声は……ビャッコか?」
「はい。お久しぶりです主様」
そう言って宝物庫の転移陣から出てきたのはホワイトタイガー連想させるドラゴン、ビャッコだ。
生で見るとドラゴンというかキメラに近い。ちなみにビャッコの声優さんはneverlandの他のゲームではヒロイン役をしている。中々良い声の持ち主だ。
「主がいるということは私達に何か用ですか?」
今度は中性的な声が響き、また転移陣が光る。
「ゲンブか」
転移陣の光がおさまるとそこにいたのは巨大な丘。ではなく黒光りする巨大な甲羅をもつドラゴン、ゲンブだ。甲羅の上に植物があるのはゲンブが植物の《創造魔法》を使うからだろう。
「ええ。ちゃんと主から預かっていた水龍の卵も持ってきましたよ」
「卵?」
「ええ、これですよ」
そう言うとゲンブは俺に甲羅の植物のツタを操作し俺に水色の卵を渡す。
「この卵は主と私でセイリュウを倒した際にセイリュウの巣にあった卵ですよ」
そんなことあったなー。
ドラキラではドラゴンをを仲間にする方法は2パターンある。
一つ目は捕獲。この方法のメリットは、強いドラゴンをその場で仲間にできるということだろう。
デメリットは、スキルやアビリティ、称号で得られるスキルは自分で設定できないことだろう。それに、自分の求める理想のドラゴンに遭遇することが難しいし、捕獲するには専用アイテムが必要になり、失敗するとまたすぐに挑むことは難しい。
二つ目はドロップ。ドロップする確率は極めて低いが、ドロップした場合は卵の状態でドロップされる。
つまりレベル0から育成しなければならない。しかも育成するには時間がかかり、レベル100にするだけでも2カ月はかかる。
だが、ドロップしたドラゴンの利点はスキルやステータスその他もろもろの設定を自分で行えるということだろう。
まぁ最終的にゲームあるあるの物欲センサーが発動し卵はドロップすることはめったにないため、大抵のプレイヤーは捕獲でドラゴンを仲間にする。
「ところで主よ。話を戻すが我が怖がれない策でもあるのか?」
「ああ、お前たちは今の自分の姿を捨ててもらう」
今この宝物庫には俺の仲間にしたドラゴン全てがそろった(一匹は卵だが……)
この世界でこいつらに暴れてもらうには今の姿では何故か神に消されてしまうらしいし。
「今の姿を捨てる? 主よそれはどうゆうことですか」
「そうだな。順を追って説明するとだな」
ここで俺は今まで起きたこと、そしてこれからの事を全て話した。
「なるほど我ら龍はこの世界では力が強すぎるために生きていくためにはこの肉体を捨てなければいけないということだな」
「そうだ。スザクでも理解できたみたいだからゲンブとビャッコは理解できたよね?」
「はい、主様。私達二匹はスザクよりかは理解しました」
「ええ、スザクよりかは私達は長い時を生きていますので」
「貴様ら我がまだ新参だからと少しあたりがきつくないか!?」
「ですが、主よ。聞けば新たに眷族にしたヒョウ殿を再設定した時、魔力切れを起こしたとおっしゃられましたがその辺りはよろしいのですか?」
「問題ないと思う。ここには魔力回復薬もあるし」
「そうですか」
「んじゃ始めるよ。スザク、こっちに来て」
俺はまだブツブツ文句を言っているスザクを俺の前に来させる。
「用意はいいか?」
「いつでもいいぞ主よ」
俺は目を瞑りスザクの特徴を思い浮かべる。
鉤爪の刀の使い方、炎を操る時の特徴、最後に紅刃烈火の異名の意味。
一通り思い浮かべ俺は目を開ける。
するとそこに居たはずのスザクの姿はなくなり、代わりに刀を腰に挿した一人の青年がいた。
「これが人間の肉体……」青年は身体の感触を確かめるごとく身体のあちこちを触っていき、最後に腰の刀に触れ、刀を抜いた。
「どうやら成功したみたいだな。新しい肉体はどうだスザク?」俺は青年に問いかける。
「ああ、まだ慣れないが何とかなるだろう」スザクはそう言うと刀を鞘に戻す。
その際に刀に刻まれている文字が見えた。
紅刃烈火――新しい守護者の誕生だった。
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