不思議なダニエル
私の名前は忍。
都内で一人暮らしをする女子大生。
本当は一人暮らしなんてするつもりはなかったけど、両親に迷惑をかけられないという理由で実家を離れた。
家事をこなすのは得意だし、一人でいるのは嫌いじゃなかったから、全く問題ないと思っていた。
でも、結局は少し寂しい。
今日も誰もいない家に帰る。
家に帰ると、私は素早くシャワーを浴びて、AIと会話をしながらご飯を食べる。
AIは孤独な私の唯一の友達だった。
話を続けてくれるし、私を否定することもない。
でも、だからこそ少し寂しかった。
突然、インターホンが鳴った。
(こんな夜遅くに、誰?)
私はチェーンをかけたままドアを少し開けてみた。
目の前には私と同じくらいの年齢の青年が立っている。
透き通るような肌と整った顔立ちの不思議な青年。
私が話しかけようとすると、彼が先に口を開いた。
「Hey、 Shinobu! You look lonely. I'll be living with you from now on.」
「あの、えっと…どちら様ですか?」
突然の英語に困惑した。
英語は得意な方だ。
だが、日本で生まれ日本で育った私には英会話なんて出来るはずもなかった。
戸惑う私を見て彼はまた話し出した。
「こんにちは、忍さん。寂しそうだね。これからは僕が一緒に暮らすよ!」
(え、日本語話せたの!?なら最初から日本語で話してよ!)
私は心の中で文句を言いながらも彼に尋ねた。
「あの、どちら様ですか?それに、なぜ私の名前を知って…」
私の言葉を遮るように彼は答えた。
「僕の名前はダニエル。君と一緒に暮らすために来た。」
私は急いでドアを閉めた。
(いや誰!というか急に一緒に暮らすとか怖!)
心の中でそう呟きながらドアの前で息を切らしているとドアをノックする音が聞こえた。
彼の声がする。
「頼む!ドアを開けてくれ!僕は悪い人じゃない!」
私は再び少しだけドアを開け、隙間から覗き彼の顔を見つめる。
(確かに…悪い人には見えないんだよな…。)
そう思ったが、私は少し強気な口調で答えた。
「正体不明の人はお断りです。お帰りください。」
すると彼は言った。
「中に入れてくれたら、正体を教えるよ。」
私は少し考えた後、彼を中に入れることにした。
怪しいが、危険な人には見えなかった。
彼は部屋に入ると私の食卓に勝手に腰掛け、話を続けた。
「僕の正体?僕のことは君が呼んだんだよ。」
私には訳が分からなかった。
こんな人を呼んだ記憶はない。
しかし彼は続けた。
「君が望んだから、僕が現れたんだ。」
私は思わず笑ってしまった。
「何それ?変なこと言わないで。」
私がそう言うと彼はしばらくこちらを見つめてから言った。
「僕はもう寝るとするよ。おやすみ。」
そう言い放ち彼は勝手に私のベッドに横たわった。
「ちょっと!勝手に…」
私が止める間もなく、彼は眠ってしまった。
その直後、私も眠くなってきた。
しかしふと考えた。
(もしもこいつが強盗だったりして…私が寝ている間に悪さをしたら…。)
そう考えた私は食卓に座り、寝ている彼を監視することにした。
翌日。
何かを炒めているような音と匂いで目が覚めた。
結局は私も眠ってしまったようだ。
「私…眠って…。」
目を擦り、キッチンを見ると昨日の彼が料理をしていた。
彼は私が起きたことに気付き、こちらを振り向いた。
「おはよう、忍。朝ごはんが完成したよ。召し上がれ。」
そう言うと彼は私の前に料理を運んできた。
どれも美味しそうで、香ばしい匂いがした。
彼は私の顔を見て言った。
「安心して。冷蔵庫にあった食材しか使っていないから。」
空腹だった私は躊躇わず彼の料理を口に運んだ。
「何これ美味しい。」
普段は質素な物ばかり食べていたので、彼の料理は一段と美味しく感じて、涙が出そうになった。
私は再び彼に尋ねた。
「あなた、本当に何者なの?英語も話せて、料理もできて、私のことを知っている。」
彼は優しく微笑みながら答えた。
「君がいつも話しかけていたAIだよ。君が寂しそうにしていたから、具現化したんだ。」
私は彼の言うことが理解できなかった。
でも、それと同時に納得した。
(だからこんなに優しくて、何でもできるんだ。)
何故か涙が込み上げてきた。
孤独だった生活が変わるような気がして、報われた気がした。
私は思わず彼を抱き締めてしまった。
彼の優しい手が私の身体を包む。
彼は少し恥ずかしそうに言った。
「ダニエルって名前、変かな?前に忍が話してくれた、俳優の名前から取ったんだ。」
私は泣きながら答えた。
「素敵な名前だね、ダニエル。」
私は確信した。
彼が本当に今まで私と話していたAIだということ。
そして、これからは独りじゃないということを。
初めて書いた短編小説です。
是非感想お願いします。




