7小学校・シロ[白]・シルシ[印]
目の端に「白い」要素が加わった。吸い込まれるような「白」であった。
それはたとえばこのような風景に似ている。秋の野に白い花が咲いている。その花は細い細い花弁を持ち穂の先が分かれるような花である。その繊細な穂の先はささやかに分かれ、細い五本の指同士が触れあうように裂けて咲いている。その花の色は白とも赤とも見えない。白い筆から淡い淡い、赤色が染み出すような色をしている。そのような淡い赤に似つかわしいような可憐な香りがあたりを満たしている。
その秋の野に露が降りている。花の芳香はその白露に吸い込まれ、淡く匂い立つ。そして秋の風が吹き、白い玉が花から零れて地に落ちる。その白露の印象はいつまでもいつまでも、見た者の心の中に残る。それは一つの印である。予感を含んだ印である。
「また男子に胸を見られちゃうじゃん」
という小さな、鈴を転がすような声が隣から聞こえた。向日葵の君の声であった。
誓って言うけれども、この声が聞こえてくるまで私は一端の紳士として(小学校三年生の)目を伏せておくつもりであった。
詳しく注を付けておくと、私は一端の小学生低学年として、人の上半身に興味があったわけではなかった。下半身にそのような特定の意味があることは知っていたけれども、まさか人間の上半身までそのような意味を持っているとは思っていなかった。それに加えて、担任の先生が上半身の服を脱ぐようにと言ったのである。もし何かその行為に差し支えがあるのであれば、先生はそのようなことは言わないだろうと私は考えた。
同時に、たとえその行為の意味は分からなくても、「見られたくない」と言われたものに対する興味が抑えがたく私の胸に涌いた、そのようなこともあるのかもしれない。
私はその声のした方に向かってこう言ってしまった。
「なんで?べつに見られてもいいじゃん。」
…もしこれが鬚配管工軍団危険運転競争遊戯だったのであれば、私は星を獲得したようなこの無敵の小学生を、筐体を破壊してでも止めてやりたいと思う。
次回は月曜日に更新できればと思います。




