001⚫️追跡 & 002⚫️ダンの事情 & 003⚫️イチカの事情
001⚫️追跡
降りしきる雪の中を、彼女は進む。
もう少しだ。もう少しでヤツに追いつく。
その思いだけが、凍える足を前へと押し出していた。
男は逃げていた。
ダメだ、もっと速く・・・!
この雪だまりも、あいつなら平気で越えてくるに違いない。
追う者と、追われる者。
ふたりの距離は、確実に縮まりつつあった。
002⚫️ダンの事情
「それって、本当にカネになるのか?」
ダンは疑わしげに目を細めた。
「あたりめえだ! なんてったって’星幽結晶’だぞ。運べるやつは多くねえ。こいつに選ばれた者だけが扱える代物だ。ダン、おめえは見どころがある。前の4人はみんなダメだったが、おめえはこのケースを軽々と持ち上げちまうんだからな。」
グロックはニヤリと笑った。
「ふーん。まあ、カネさえもらえれば何だってやるさ。前金で50%だな。」
「ダメだ。30%。狙ってる連中がいる。届けてなんぼの仕事だ。嫌なら他を当たるだけだ。どうする?」
ダンは心の中で悪態をついたが、結局肩をすくめた。
「わかったよ。ちゃんと届けてやる。残りの70%、用意しとけ!」
そう言い捨てると、ケースをぶら下げ、自分の宇宙艇へ向かった。
003⚫️イチカの事情
「で、部長。なんでわたしなんですか?」
「ふぅ〜・・・あなたね、自分が誰なのか自覚してる?」
「してますよ。ただの善良な一市民です。」
「う〜ん、エージェントとしては模範的な回答だけどね。比べられるのは嫌でしょうけど、あなた、ヒロ・エンユウジとヤマト・オオガミの娘でしょ?優秀な頭脳、抜群の記憶力、ついでに身体能力まで優れてる。この任務には、あなたしかいないのよ。OBの前の部長も、絶賛推薦中なんだから。」
「前の部長って、時々来て小躍りしてるあの人ですか?」
「そう、その人! ともかく盗まれた’星幽結晶’を取り戻してきなさい。データはあなたのデバイスに送ってある。コードはいつもの、ね。」
「あっ、フジサンで鳴く鳥ですか?たまには変えないと、意味ないんじゃあないですかあ?」




