前へ目次 11/11 種(たね)の継承 植物が絶滅して半世紀。富裕層は自身の血管を「葉緑体回路」へ改造し、日光だけで生きる気高き「緑の人」となった。一方、貧民層は地下で、かつて雑草と呼ばれたものの遺伝子を密造し、自身の皮膚に植え付けていた。 ある日、地上のエリートが地下の少年に問う。 「なぜそんな醜い棘を体に生やす?」 少年は土まみれの指で空を指した。 「あんたらの綺麗な葉っぱじゃ、このコンクリートを突き破って花を咲かせることはできないだろ?」