見つかった銃
「あ、あった」
「――えっ!」
「そうだそうだ。昼食に行く時に玉座の下に隠したのであった」
「……」
一日中探し回った銃が、魔王様の玉座の下からこっそり見つかったとき、少し殺意が芽生えたのは内緒だ。
自分で玉座の下に隠して忘れるなんて――あんまりだ!
大切な印鑑を自分で隠して見つけられない御老人か――!
大切な印籠を持ち忘れたり無くしたりするから弟子に預けている黄門様か――!
「……見つかってなによりでございます」
額の血管がピクピクしそうだぞ……首から上は無いのだが。
「うむ」
魔王様はローブの中にショルダーホルスターを付けていて、そこに銃を仕舞われた。
それ、おやめください。私服警官みたいで怖いです……。
「もう銃はコリゴリです。やはり剣と魔法の世界に銃はいりません」
世界観も壊れますし、なにより面倒事が増える一方です。
「さらには、剣と魔法の世界でなくても、世界中に銃はいらないのです」
「でも市街地に熊とかワニとか象が出たらどうする」
「警察を呼びます」
いや、でも警察も銃を持っていないとなると……悪戦苦闘する――だが、しかし!
「ここは剣と魔法の世界です。銃とミニスカポリスの世界ではありません。たくさんの勇者や魔法使いが大勢でハンティングするでしょう」
我ら魔族もなんとかハンティングできます。狂乱竜の餌にします。
「銃なら子供でも手軽に仕留められるぞよ」
「子供が仕留めないで――!」
――子供に銃を渡さないで!
男の子がお祭りで銃の玩具を買うのは――世界を終焉に導く第一歩。
「小さい銃より大きい銃が欲しいぞよ」
ガッカリする。
「……それな」
友達よりも大きいのを欲しがる。友達よりも大きいのを自慢する。
「その根底は、やっぱり男の子だから……ぞよ」
「……やめましょう。やっぱり男だから大きい銃が欲しいのは本能とかって……言わないでください」
――剣と魔法の世界やゲームの世界の影響を大きく受けて子供は成長するのです。現実世界でも銃を手に入れれば楽して力を手に入れられる。楽して経験値が稼げると勘違いしてしまうでしょう――。
――勉強やスポーツができなくても、銃さえ持っていれば楽して稼げると勘違いしてしまうでしょう――。
――敵より強い力を持ちさえすれば、自分の思いのままにできると勘違いしてしまうでしょう――。
「この世に銃は要らないのです」
「……ふむ。それならば、この銃はもはや不要ぞよ」
魔王様は銃をホルスターから抜き取ると、銃はサラサラと砂のような粉になり消えていった。
魔王様にしてみれば恐ろしい火種を創り出すことも消し去ることも赤子の手をさするくらいに造作もないことなのだ……。
「砂のような粉ではなく、砂鉄ぞよ」
「説明が細かい。そこは誰もそんなに気にしていませんから大丈夫です」
玉座の間の大理石に落ちた砂鉄……明日、モップで掃除しよう。磁石でくっつけるのもいい。
「この世から銃だけではなく剣や金属を完全に無くすのも簡単ぞよ。予の無限の魔力で金属をコンニャクに換えることができるぞよ」
「それは便利ですね」
敵の持つ剣や金属が食料になれば……平和的解決策だ。おでんとか煮物にして食べたい。
「その魔法の範囲は広いのですか」
接近しなくてはならないのなら無用の長物的禁呪文だ。近づく前に切られる。
「世界中に効くぞよ」
「凄ーい。世界中が平和になりますね。――ってえ! 世界中の金属をコンニャクにしちゃダメです!」
剣と魔法の世界が……コンニャクと魔法の世界になります! 剣は金属だから……。
「鉄筋コンクリートの建物が……コンニャク筋コンクリートになれば、建屋崩壊! すべての建物が崩れます!」
「大丈夫ぞよ。シャバコンでも崩れない建物もたくさんあるぞよ。魔王城とかもたぶんそれ……」
――!
「おやめください!」
シャバコンって……なんですか。魔王城って、ソレなのですか。鉄筋入ってないのですか――。
「さらには全身金属製鎧の私は……?」
いったいどうなってしまうのでしょう。
「全身コンニャク製鎧になるだけで問題はなしっ!」
酷い……。立っていられないかもしれない。大きなおでん鍋に入れられてグツグツ煮られるかもしれない。シクシク。グツグツ。
「人当たりが良くなるではないか」
たしかにっ! ぶつかっても痛くないだろう。コンニャクだから。
「ってえ! 私はもともと人当たりはいい方ですっ」
プンプン。
魔王様、その禁呪文はおやめください。なんか……怪しい響きです。
……コンニャクと魔法の世界って……。
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