に
1つ2つ駅を通り過ぎる外の景色を眺め、明日のことを考える。
ーーんーやっぱ呑みたいかも。
だらだらと過ごしたい。
少しだけ自分のご褒美だと少し羽目を外してみる。
駅から降りて徒歩15分。帰り道にある‘のれん’。
私のお気に入りの居酒屋だ。
ガララ…
少し口角を上げて開けたドアを覗き込む。
全体見渡してから空いてるカウンターへ進む。
大将は近づく私に気がついたのか、女将を呼ぶ。
「らっしゃい。カナエ!」
「はい?あら、いらっしゃい!華ちゃん」
「今晩は。」
大将に会釈して、女将さんの方へと進む。
女将さん(カナエ)は私に近づくと内緒話をするように片手を口に持っていく。それに合わせ自然に私も耳を傾ける。
事情を知る‘のれん’夫婦は何時もの様に案内してくれる。
「華ちゃん専用の個室に行きなさいな。」
「はい、いつもありがとうございます。」
ドアから遠く、カウンターよりもっと奥。
家族で使う個室よりも2人専用の小さな個室。これは本当に有難い。
私の専用個室としていつも開けてくれるのだ。
「華ちゃんも大変だろう?ゆっくり呑んでいってね。メニューはどうする?」
「あはは…そうですね、生を1つ、と。メニューは大将さんにお任せします。明日休みなので今日はたっぷり呑みたいですっ」
苦笑いしつつ、答えると女将さんはにこりと笑み浮かべうなづいた。女将さんが大将の元へと行くのをみて、私も専用の個室へ奥に進んでいく。
1人でも吞めるようにと専用の個室を作ってくれたのは女将さんのおかげだ。他の居酒屋ではまずありえないだろう。
そして今までもこれからも‘のれん’以外の居酒屋でアルコールを飲むことはないだろう。
何故なら私は人目があるところでは、
簡単に呑めやしないのだから。




