第八十二話 温泉街リンソウ
歓迎会から一週間が経過し、今日はとうとう魔法科一同が楽しみにしていた旅行の初日だ。
二泊三日を予定されているそれは、転移門を通ってエリンジの家、クレイブ家が用意した宿泊施設に停まる予定となっている。
たかが二泊三日なのに、みんな持って行く荷物がやたら多いような気がする。
ライアとロイズとレイルも、ビタとキシアから贈られた、三人お揃いの襟飾りがついた動きやすい色違いのお出かけ服に身を包んでいた。
「おぉー! すっごーい!」
「「「すっごーい!!!」」」
宿泊する建物に案内されれば、大きな三階建ての、白い壁に赤い柱の屋根がそれぞれの階についた和風建築のような温泉宿に辿り着いた。
メロンが大きな声で感嘆を上げれば、三つ子がそれを真似するように追従する。
他の面子も上を見上げて驚くように次々声を上げていた。
「他の客に迷惑かけんじゃねぇぞチビども」
「安心しろ、貸し切りにしてある」
「でぇっ!? 貸し切り!?」
『わぁお、金持ちはやることがちげぇぜ』
三つ子に注意するカイムにエリンジが声を掛ければ、思わずルドーがその内容に仰天して叫んだ。
貴族組は平然としているが、平民組は仰天して口をあんぐりけている。
その様子を見てネルテ先生がニカニカ笑いながら手を叩いてエリンジに両手を向けた。
「色々融通してもらってるよ、みんなエリンジくんに感謝―!」
「わぁー! ありがとうエリンジくん!」
「感謝感激雨あられですや!」
「あわわわわわ二度とない経験です!」
「こりゃ平民には味わえない贅沢だぁ」
『(感激です色々ゆっくり見て回れそう)』
平民組から次々感謝の声が上がる中、貸し切りと聞いて呆然としていたカイムにエリンジがさらに声を掛け、チケットの束のようなものを数個差し出した。
「カイム、これを使え」
「……なんだよ」
「屋台や商店、外の温泉でも使える無料回数券だ、毎年領主家族に勝手に配ってくるが、それだと金が使えず領地に金が回らん、だから俺は使わんから使え」
「ケッ、施しを受けろってか?」
「保護者だからお前が持った方がいいと思っただけだ。お前が嫌なら三つ子に直接渡す」
「っ~~~~あぁくそ、そりゃどうも!」
エリンジが差し出したままの無料回数券をカイムはひったくるように受け取ると、ぶっきらぼうに礼を言いながら両肩を上げてズンズンと歩いて行く。
その先でクロノに揶揄われたのか、カイムは顔を真っ赤にさせて噛みつき散らして三つ子がころころ笑っていた。
「ナイスアシストエリンジ」
『成長したじゃねぇか』
「そういう気遣い出来るようになったの、偉い偉い」
「それは褒めてるのか?」
ルドーがリリアと一緒にエリンジに向かって二人親指を立てる。
意図が分からず混乱し始めたエリンジに、ルドーは褒めていると伝えて肩を組んでバシバシ叩いた。
その後温泉宿の従業員に案内されるまま荷物を一旦部屋に置く。
男子と女子それぞれ分かれての大部屋だ、三つ子もちゃんと男女に分かれている。
「夕食と入浴はここですることになってるから、夕食前の六時までには戻っておいでよ」
それじゃあ解散! とネルテ先生の合図と共に、各自一斉に自由行動を開始する。
「ルドー、三日目の自由行動、少し付き合ってくれ」
「うん? まぁ特に見るもん決めてねぇから別にいいけど」
解散した後各々がワクワクを隠しきれずに宿から外へ出ていく中、入口手前でルドーはエリンジに呼び止められた。
ルドーが答えると頷くように返され、そのままエリンジはネルテ先生と一緒に宿の人たちに挨拶に行くと言い残して別れた。
「ルドにぃ! リリねぇ! 一緒に回って!」
「あー、そっちは?」
足元にパタパタと走ってきたライアが後ろにレイルとロイズを従えてニコニコ笑顔で言ってくるので、ルドーは確認するようにリリアを振り返れば肯定の笑顔で頷かれる。
その為保護者であるカイムに実際どうなのかと尋ねようと顔を向けるが物凄く睨んで唸り声をあげてくるので、一瞬ダメかとルドーは思ったが、後ろからカイムの肩を叩いてクロノが割り込んできた。
「ルドー、リリア、予定がないなら出来れば一緒に回ってもらえる?」
「おいまた勝手に……」
「カイム、人が多いほうがいい。ルドーとリリアも」
そう言ってクロノが、視線を変えない様に一瞬入り口から宿の外の人混みの方に首を振った。
どういうことかとルドーとリリア、一寸遅れてカイムも目だけでその方向を見れば、入口の向こう側からこちらを伺ってヒソヒソと話している多数の人の視線が目に入ってくる。
怪しんでいる様な、訝しんでいる様な視線がカイムと三つ子に向けられている。
クロノは三つ子に聞こえない様に、少し声を落として話し始めた。
「この温泉街周辺に魔道具施設はないから、直接的な被害に遭ってないからそこまで猜疑的じゃない。でも観光客の中に被害に遭った人が混じってる可能性はある。仕方なかったとはいえ、被害者はどこかしらにはいるよ。エリンジの好意もある、なるべくトラブルは起こしたくない」
「人攫いをするような連中が……」
「カイム、なにも知らずに働いてて怪我をした人や、その家族だっている。なるべく被害を出さないようにはしてたけど、こっちも必死だったから避けられない戦闘は多かった。悪いのは人攫いをしてたやつらなのは否定しないけど、攻撃の被害に遭ってたのは逆らえなかった従業員が多いんだよ。わかって」
『こういうのは大概上の奴らが勝手にするから下っ端はとばっちりだ』
クロノの説明と聖剣の一言に、ルドーは何とも言えない気持ちになる。
人狩りされて奴隷として売られていた魔人族は多く、その数だけ襲撃された魔道具関連施設も多い。
被害者の救出とはいえ、襲撃された施設で被害に遭っていたのは、上に逆らうことが出来なかったり、何も知らされていなかった従業員。
魔人族襲撃の理由は表向き、同胞が誘拐された上施設にて不正搾取されていたため保護するためだったものとエレイーネーから正式公表されたが、頭の良いやつならそれが奴隷売買だと察することは出来るだろう。
奴隷売買で買い取られていた魔人族は施設奥に隠されていたため、一般従業員はまず遭遇することもなく実態を知らなかった従業員の方が圧倒的に多く、そんな何も知らなかったり、知っていても逆らえず働いていて被害に遭った従業員からすれば、彼らもまた被害者だということ。
ルドーが横を見ればリリアも不安そうな顔をしていた。
魔人族は見た目でそれとすぐにわかる、先程の入り口から見えた人混みの様子からも明らかだ。
確かにクロノの言う通り、トラブルを避けるためにはなるべく多い人手で見守っていた方がいいかもしれない。
「分かったクロノ、一緒に回るか。カイムもいいな」
「くそが」
「カイム、こういうことを改善していくためにもアーゲストが魔人族の顔になれって言ってるの。気持ちはわかるけど、相手も被害者だってこと忘れないで」
「……そういうことかよ。くそ、柄じゃねぇ」
「お話終わったー?」
「ん、カイム兄ちゃんも一緒に回っていいってよ」
「一緒にお願いね、ライアちゃん」
「やったー!」
ルドーとリリアが返せば、ライアが喜んでルドーの足元にポスっと収まってくる。
その頭を撫でればそのまま手を掴まれてぐいぐい引っ張られて宿から外に連れ出され、ルドーとライアを追うように他も続いて出てきた。
クレイブ領温泉街リンソウ、日本家屋のような一軒家に近い木造建築の商店が大量に立ち並んでいて、丁髷の人間でもいれば江戸時代にでもタイムスリップでもしたかのような錯覚に陥りそうな街並みだ。
あちこちに色んな温泉が密集しているのか、蒸気が噴き出すようにいろんな場所から湯気が上がっており、入口に温泉マークのついたのぼりが付いた店があちこちに点在している。
祭り期間という事もあって紐で括られた赤提灯が一定間隔で飾られ、道は観光客でごった返すように賑わっており、出店やら催しやらが数歩歩けば遭遇するようにあちこちで開催されている。
アシュとはまた違った独特の空気感に飲まれ、ルドーはライアの手を離さない様にとつい力が入った。
『にしてもそういう話ならいっそ全員で回っても良かったんじゃねぇか?』
「この人混みだよ、全員で回ったらその方が目立つし迷惑じゃん。程々の人数の方がいいよ」
「あー、確かに。しかし人が多いな、迷子ならねぇかこれ」
「おいチビども! はぐれるんじゃねぇぞ!」
「手、繋いどいたほうがいいかも?」
そう言ってリリアがはいどうぞと手を差し出せば、レイルとロイズは顔を真っ赤にさせてお互いを押し出すように両手で叩き始めた。
初心か、いや七歳だから初心だな。
いつまで経ってもお互いを叩いて押し問答しているレイルとロイズを見てカイムが呆れたように上を見上げて溜息を吐いた後、いい加減にしろとでもいうように髪で二人の頭をペシンと叩いていた。
やはり七歳とはいえ男子、女子と手を繋ぐのは恥ずかしいらしい。
結局カイムの伸びる髪を二人が握りしめる形になった。
「ねールドにぃあれなに? あれやりたい!」
「あー射的なぁ、なんでこんな日本的なんだ?」
「転生者が多いから色んなやつが後先考えず色々やってたんだよ……おかげで元あった文化がよく破壊されてるけど」
されるがままのカイムがレイルとロイズにそれぞれ別方向に髪を引っ張られ、リリアが慌てて二人にやめるように言う中、ふとルドーが疑問に思って呟いた言葉にクロノが何とでもなく返す。
最後にぼそりと呟かれた言葉は人混みの喧騒に聞き取れなかったが、なるほどなぁとルドーは納得した。
あれ、クロノに転生の話ってしたことあったっけ。
ライアがルドーの手を引いたままカイムにせがんで射的の屋台に向かう。
屋台をやっていたおっさんは、最初カイムに訝し気な視線を不躾に投げていたが、カイムがエリンジからもらった無料回数券を渡した途端、急にごますりするように手を揉み始めてくねくねしながら弾を五つ渡してきたため、ライアの傍にいたルドーもカイムと一緒に怪訝な顔でその様子を見ていた。
「ねぇこれどうやるの?」
「知らねぇ……」
「お兄ちゃん分かる?」
「えーっと弾を込めるんだっけ……」
ライアの期待に満ちた黄色い目で見上げられたカイムとルドーは、二人掛かりで貼ってあった説明を頼りになんとか弾を込めようと奮闘する。
「おーっと、助っ人がいるかな?」
「なんだこれは面白そうだな!」
「射的ねぇ、なんだかあちこち前世じみてるわね」
「ハイハイハイやってみたいですよ!」
フランゲル達四人組がやってきて出店のおっさんに金を支払って横から参加してくる。
やり方が分からず同じように射的の銃をぐるぐる回しているフランゲルとウォポンをよそに、ヘルシュがルドー達のところに弾と射的の銃を持ったまま近寄ってきた。
「ヘルシュやり方分かんのか?」
「やった事あるからね。ほら、ここに弾を詰めて、このレバーをこうやって引くんだ。ちょっと硬いから気を付けてねライアちゃん」
「んーっしょっ……」
ヘルシュが同じく苦戦しているフランゲルとウォポンにも分かるように、ライアの横にしゃがみつつ射的の銃を掲げながら実践して説明し、ライアも何とか見様見真似で弾を込めることに成功する。
そのままヘルシュが見本のように適当な間隔で置かれている景品に狙いを定めて引き金を引けば、コルクの弾がポコンとお菓子の景品を叩いて落とした。
思わず全員から歓声が上がる。
リリアに至っては拍手までしていた。
「んーっと、えい!」
ライアもヘルシュの真似するように撃ってみるものの、三回ほど外した後、なんとか二回当ててお目当ての景品がようやく下に落ちる。
なんだろう、紫の、よくわからない形をしたラムネ菓子のようなものを手に入れていた。
早速開けて食べてみていたがかなり酸っぱいのかライアの顔が米の字に変わった。大丈夫か。
酸っぱさにむせるライアにカイムが慌てて髪で回復魔法をかける。大袈裟な。
ライアが一通りやった事で触発されたレイルとロイズもやりたいとせがみ、ライアが落ち着いた後渋っていたカイムが二人の勢いに押されて仕方なくまた回数券を渡しては射的を楽しんでいる。
二人とも三発外して二発当てたが当たり所が悪く落ちてこなかったためとても悔しそうだ。
フランゲルはなんとか一つお菓子を手に入れていたが、ウォポンは全弾外してなにも手に入らずレイルやロイズ以上に悔しそうにハイハイハイハイ叫んでいた。
「僕あれやりたいカイにぃ!」
「わぁーったからそんな引っ張んな無駄に伸びる」
「……引っ張っても伸びんのかその髪」
「うるせぇ黙ってろや」
射的に夢中になり始めたフランゲル達と別れた後、今度はレイルがカイムの髪を引っ張っていく。
レイルが目指していたのは大きな本が鎮座しているショーケースのような設置物で、近寄ってみると未来予知書と書かれている。
ショーケースの下の説明書きをルドーがしげしげと読んでみれば、取手を念じながら回せば近い将来が分かりますと、未来予知というより占いのようなものだと分かった。
ショーケースの横にいた女性にルドーが声を掛けてカイムにバトンタッチすれば、年代の女性は怪訝な顔をしていたものの、回数券を渡されると途端にニコニコ愛想よく笑い始めてレイルに懇切丁寧に説明し始める。
ルドーとカイムはまたしても怪訝にその様子を眺めていた。
レイルが説明通りにショーケースの前についている取手を回すように動かせば、中にある大きな本の模型がパラパラとめくるように光りながら動いて、ぱたんと閉じると共にチーンと音を出して手前の横長の穴から装飾の施されたメモが一枚出てくる。
「“明日は悪いことが起きるかもしれません、頭上注意”……なんだろう、雨でも降るのかな」
「あら明日の天気は快晴のはずでしたわよ?」
同じように未来予知書のショーケースが気になったのか、通りがかったキシアがメモを呼んでいるレイルに気付いて声を掛けてきた。
一緒に歩いていたアルスとトラストとビタもなんだなんだと近寄ってきて、レイルの未来予知書のメモを見せると、興味が出たのか様子を見ているアルス以外並んで同じようにやり始める。
「“小さな憂いは続きます、諦めが肝心”……一体なんのことですの!?」
「“前ばかり見ずに後ろも見ましょう”……う、うーん、難しいですね……」
「“願いは成就しますが道は険しいです、長期戦の覚悟を”……」
「あら? ビタさん顔が赤いですわよどうかなさいまして?」
「なっなんでもありませんわ!」
メモを読んでいたビタが見る見るうちに赤くなっていき、心配したキシアが声を掛けるも顔を背けて片手を振り、後ろでアルスが何故かにやにや笑っていた。
「アルス何笑ってんだよ」
「いやぁ、三角関係って見ている分には楽しいなって。一途な恋心って可愛いよね、ノースターには悪いけど」
「なんでそこでノースターが出てくるんだ?」
「あー、気にしなくていいよ」
そう言ってアルスはキシアとビタの方を向いてはまたにやにやしている。一体何なんだ。
怪訝な視線を向けていると、レイルと一緒に横で読み上げを聞いていたライアがルドーの腕をぐいぐい引っ張る。
「わあ、人の聞くの楽しい! カイにぃとルドにぃもやって!」
「はっ? えぇ?」
「そういうのは俺じゃなくてリリに……リリ?」
困惑するカイムを横にライアに振られたルドーがこういうことが好きなリリアに任せようと振り返ると、みんながメモを読んでいる隙に気付かれない様にこっそりやっていたらしく、隠れてこっそりメモを見ようとした姿勢でびくりと固まった。
「んーとなになにー? “大事な人が落ち込みます、支えてあげましょう”、ねぇ……」
「やだもう勝手に見ないでよ!」
固まったリリアの手からメモをすかさず抜き取ってルドーが読み上げれば、瞬時に顔を赤くしたリリアがひったくり返すようにもぎ取ってパァンと大きな平手打ちが飛んできた。
うん、今のは俺が悪い。
聖剣がゲラゲラ笑い出す中、ジンジン痛む頬を押さえながらも尚もライアがせがんでくるので、カイムと二人渋々試してみていた。
「えーと、“約束を忘れて失望されます、謝る準備をしておきましょう”……嫌なこと書くな……」
「約束は大事だよルドにぃ」
「いや分かってっけど……カイム?」
メモを見た瞬間黒い空気が出始めて唸りながらぐしゃりと握り潰したカイムに、見ていたルドー達は訳が分からず沈黙する。
明らかに機嫌の悪くなったカイムに、後ろで様子を見ていたクロノがカイムの握り潰したメモをかなり強引に手の中から引っぺがして皺を広げて読み始めた。
「“また大事なものを失くすでしょう、必死に探せば見つかります”……カイム、これおもちゃだからそんな真に受けなくていいよ」
『魔法も使ってねぇからな、そんな気にするな』
「……うるせぇ」
思ったよりも地雷ピンポイントのメモで、ルドー達も心配するようにそれぞれ顔を見合わせる。
だが聖剣が言うには魔法も魔力も使っていないただのおもちゃらしい、なら外れることも大いにある。
クロノがそう励ますようにカイムに説明し始めたが、カイムはクロノに取られたメモをまた取り返すとぐしゃぐしゃに丸めて放り投げた。
「だああああ! くそがうるせぇっ! だったらてめぇもやってみろってんだよ!」
「えぇ? いや私こういうのは」
「ただのおもちゃなんだろうが! なんだよ結局尻込みすんのかてめぇ!?」
「あーもう、はいはいわかりましたよ……」
自分だけ高みの見物は気に食わないとでもいうのか、カイムがクロノに詰め寄ってそういえばクロノも渋々やり始めた。
その様子をみんなで見守る中、クロノはメモを見た瞬間ビクリと震えた後、その場でビリビリと破り始める。
「おい! 自分だけ勝ち逃げすんな!」
「気分悪いこれ、移動していい?」
そのままメモを破り捨てて全員から横を向き、顔を隠すように帽子の鍔を握り下げたクロノから物凄く低い声が出てきた。
クロノの機嫌の急降下ぶりに喚いていたカイムも驚いて真顔になり黙り込む。
ライアが心配そうにクロノを見上げ始めた中、唐突に大きな金属音がカーンと周囲に鳴り響く。
「おぉっとぉ! 最高記録更新だぁ! 強いなボク!」
「おっしゃぁ!」
「なにしてやがんだロイズゥ!」
いつの間にかカイムの髪を手放したロイズが、少し離れた所で参加無料の力比べに参加していた。
地面に設置されているバネのついからくりを設置されているハンマーで叩き、バネに弾かれた目印がどこまで上にあがるかを競う力比べで、ロイズが知らない間に参加して一番上に到達して設置された鐘がなり、くす玉をパカンと割って紙のテープが沢山飛び出していたところだった。
小さい子どもが最高記録を更新した事で周囲からも拍手が沸いている。
景品だろうか、どでかいライオンの様なぬいぐるみをロイズが満面の笑み受け取って抱き抱えている所にカイムが怒り肩で連れ戻しに行っている中、ルドーはカイムと一緒にクロノが歩を進めた後ろで、ビリビリに破り捨てられたメモをライアがこっそり拾い集めているのを目撃した。




