第十一話 魔法訓練は始まらない
「……あぁーっと、これ一体なにごと?」
広い運動場に大きな声が響く。
ようやくネルテ先生が、魔法訓練の授業をしようとやって来ていた。
ルドーたちは気まずく、何から説明すればいいかと顔を見合わせる。
エリンジの虹魔法の激しい砲撃で、地面は抉れ、爆発の衝撃で土煙がまだ舞っている。
誰がどう見ても、激しい戦闘があった後にしか見えない。
挙句エリンジはクロノの攻撃で気絶している。
遥か彼方の校舎の前で、うつ伏せに倒れたままピクリともしない。
いや、腹が抉れたように見えた先程の攻撃、エリンジは気絶で済んでいるのだろうか。
ボコボコの運動場と、抉れた校舎の前に横たわる動かないエリンジの姿。
流石のネルテ先生も困惑して片手で頭を抱えた。
説明を求めて、ネルテ先生はジト目で全員を見回し、順番に視線を向けている。
ネルテ先生のジト目の圧。
ルドーたちは関係ないのに、全員ビクッと身を震わせ冷汗を垂らす。
「すみません。突っかかってきたので、加減して殴って気絶させました」
誰も何も言えない中、当事者のクロノが簡潔に説明した。
クロノはネルテ先生の圧にも全く臆していないようだ。
淡々と起こった事実を、先生相手なので比較的丁寧に話している。
あれだけ暴れたエリンジを一撃で倒したのだ。
クロノの実力も相当なものだろう。
そしてルドーたちが説明を聞くところ、クロノはあれでエリンジに一応手加減していたらしい。
抉れていたけど、エリンジの腹。
中型魔物を魔法も使わず平気で倒せるクロノが、全力だとどのくらいになるのか。
ルドーは想像もしたくない。
「突っかかってきた、ねぇ……」
ネルテ先生は困惑した顔で頭をポリポリとかいた。
とりあえずといった様子で、エリンジを確認しに行く。
そういえば岩が飛んできたキシアの方はどうだったかと、ルドーは横を見る。
するといつの間にか、リリアが怪我をしたキシアを回復で治していた。
リリアに対してキシアが頭を下げて、丁寧にお礼を言っている。
どうやらキシアの怪我も無事に治り、問題はなさそうだ。
「他に怪我人はいないね?」
ルドーがリリアとキシアのやり取りを眺めて居ると、ネルテ先生の確認の声が聞こえた。
気絶したエリンジを持ち上げて、ネルテ先生は米俵のように雑に肩に抱える。
「ちょっとこいつを医務室に運んでくるから……って、ちょっとクロノ、どこ行くんだい?」
魔法科生徒への説明の途中で、ネルテ先生がなにかに気づき、待ったをかけようと大きな声をあげた。
ルドーたちがネルテ先生の視線を辿ると、クロノがいつの間にか運動場から校舎側に遠ざかっている。
クロノは明らかに運動場から立ち去るつもりの位置で、こちらに背を向けたまま渋々振り返った。
「ちょっと気分悪いんで、今日はもう早退します」
「いや、一応事情をだね……」
「下手に八つ当たりする前に頭冷やしたいんで、一人にさせてください」
取り成すネルテ先生の口調に、クロノは低い声で被せた。
首だけ振り返ったクロノの口だけの表情は、帽子に隠れてルドーにはわからない。
だがかなり機嫌が悪いのか、ネルテ先生に被せたクロノの声はかなり低くかった。
冷静に訴えたクロノの声を聞いて、流石のネルテ先生も真顔で黙り込む。
しんと静まり返った運動場で止める者がいなくなったのを確認し、クロノは静かに歩き去ってしまった。
『あーあ、初日からトラブル三昧だな』
「……ほんと勘弁してくれよ」
頭に響く聖剣の意見に、ルドーはぐったりと困惑を浮かべた。
確かにクロノは昨日からずっと、エリンジにかなり激しく突っかかられていた。
自身に非がないのにそんな目に遭い続ければ、クロノの機嫌が悪くなるのも仕方ない。
中規模魔物を蹴りの一撃で屠り倒す。
エリンジの腹を抉って気絶させる。
そんなクロノの八つ当たり被害には、絶対に遭いたくない。
誰も口には出さなかったが、それはこの場の全員満場一致の意見だった。
八つ当たりという危険があるなら、冷静にさせるためにクロノは放置したほうがいいだろう。
ネルテ先生も少し思い悩む難しい顔をして、立ち去っていったクロノを眺めていた。
だが気絶したエリンジを優先して、スタスタと医務室の方に行ってしまう。
冷静になりたいというクロノの意見を、ネルテ先生も尊重したのだろうか。
校庭に残された魔法科生徒は、今起こった出来事に困惑して顔を合わせるしかなかった。
「お兄ちゃん。私週末の課外補習、すごく不安になってきた……」
「奇遇だな、俺もだ」
不安顔に変わったリリアが、ルドーの青い制服袖をクイクイと引っ張ってくる。
エリンジもクロノも、ルドーとリリアとは同じチームで課外補習を受ける。
今からこんな調子では、トラブルなく課外補習が終わるイメージがルドーには全く浮かばなかった。
『まぁ、白髪の対策は今証明されたぜ。ぶっ飛ばせばいいじゃん』
「余計ややこしくすんな」
パリパリと雷を纏わせて、聖剣が頭の中で不敵に笑う。
冗談なのか本気で言っているのか。
ボソッと話したルドーの独り言に、キシア、アルス、トラストが不思議そうな顔をしていた。
「ふはははははは! ずっと偉そうにしていたわりに、情けないやられっぷりだ! あとはお前だな、この双子やろう!」
突然の大声に全員がそちらを向く。
昨日森を山火事にしようとした体格のいい赤髪が、大きな両手剣でビシッとルドーを指している所だった。
後ろには取り巻きらしい、やってしまえという表情をした女子一名と男子二名を従えている。
双子やろうということは、ルドーとリリアのことだろうか。
名前も知らない相手からの突然の指名に、ルドーは身に覚えもなく混乱した。
ルドーは自身を指差し、本当に指名を受けたのかと、半信半疑で問い質す。
「えっ、俺? え、何?」
「この俺様、シュミック第三王子、フランゲル・ヴェック・シュミックより目立つなと言っただろうが!」
赤髪の大柄男子、フランゲルがそう喚いて、ルドーに再びビシリと両手剣の切っ先を向けた。
貴族のさらに上の王族が出てきて、あまりの面倒臭そうな雰囲気にルドーは顔を顰める。
目立つなと言っておきながら、フランゲルはエリンジやクロノを放置していた。
あの二人には勝てないと踏んで鳴りを潜めていた様子から、フランゲルにはどうにも小者臭がする。
「シュミック? 聞いたことないなぁ……」
「東北の方にある小さな島国ですよ。唯一中央魔森林と隣接していません」
ルドーの背後で、フランゲルに聞こえないように声を低くしたアルスに、トラストがヒソヒソと耳打ちしていた。
今やほぼ世界のほとんどの国が中央魔森林と隣接し、瘴気や魔物に日夜悩まされている。
そんな中、唯一中央魔森林と隣接していない、脅威の少ない島国がシュミック。
なるほど、通りでフランゲルは結構な魔力の割に、魔物と戦い慣れていないはずだ。
リリアが相手をしないようにと、無言で後ろからクイクイとルドーの袖を引っ張っている。
だが指名されている以上、返事はしなければならないだろう。
ルドーは項垂れながら、どう答えたものかと考えながら渋々口を開く。
「いや、目立とうと思って目立ってねぇし」
「うるさい! しかも貴様も勇者だと? いいか! 勇者っていうのはな、俺様のような選ばれた人間だけがなっていい存在なんだ、間違っても農村出身などではなくてな!」
「んなこと言われても……」
フランゲルの主張に、ルドーは更に当惑した。
まさか女神に授けられる役職である勇者に、成るべきではないと言われるとは思わなかった。
ルドーが勇者になりたくてなったわけではない。
女神が勇者になれと判断した結果、勇者になったわけで。
そこにルドーの意志は反映されていないのだ。
勇者というものは、フランゲルのような王族など、高貴な人間がなるべき存在。
農村出身などという田舎者は、勇者にはなるべきではない。
フランゲルの主張はこうだ。
確かにルドーはチュニ王国でも片田舎のゲッシ村出身で、文字の読み書きも拙い。
世間一般に考える国を守る要の勇者としては、かなり頼りない印象を与えるだろう。
だが、それをなんとかするための、エレイーネー魔法学校への勇者の義務入学ではないのだろうか。
ルドーが自身の立場に不安になり始めていると、凛とした声が響いた。
「勇者の全体数で言えば、平民出身の方が圧倒的に多いのです。王族は数える程度しかいらっしゃいませんわ。王族を名乗るなら、勉強し直して参りなさいな」
いつの間にかバサリと扇子を開いて、ルドーの後ろからキシアが鋭い目で指摘していた。
驚いたルドーが首だけ振り返ると、キシアは口の前で扇子を閉じて、ルドーに向かってニッコリと微笑む。
「うるさい! 指図するな! 俺様より目立つな!」
キシアの反論に、フランゲルはダンダンと地団太を踏み始めた。
大柄な体格が地団駄を踏む姿は、我がままを叫ぶ幼子のように歪で滑稽だ。
キシアの説明を聞く限り、王族の方が勇者になることの方が稀。
フランゲルの主張の方が世間一般には頓珍漢だ。
自身の身の上に問題はないようだと、ルドーはほっと息を吐いて少し安心する。
それにしても同い年のはずなのに、フランゲルは随分と行動が幼稚だ。
キシアに反論できない事実を並べられた途端暴言を吐き始めるあたり、本当に王族なのかとルドーは疑いたくなる。
しかも今の口ぶりから、フランゲルも勇者の役職持ちらしい。
こんなフランゲルと勇者として同列は、正直勘弁してほしいと思う。
ルドーに難癖をつけてきた理由も、どうやら双子勇者としてルドーがリリアと共に注目されていて目立っていたから。
フランゲルはきっと今まで王族としてちやほやされて育ってきたのだろう。
勇者として女神に選ばれ、意気揚々とエレイーネーに来た。
それなのに蓋を開けてみれば、フランゲルは全く目立っていなくて気に食わない。
だから目立つ注目株のルドーに、こうして難癖をつけてきているのだ。
どこまでも身勝手な理由だが、この様子ではフランゲルは普通に説明しても納得しそうにない。
どうしたものかと完全にルドーが呆れている所に、聖剣が声を掛けてきた。
『なあ』
「なんだよ」
『先公いねぇし、うるせぇからやっちまおうぜ』
「うーん……」
『向こうさんはやる気満々だぜ、ホラ』
指し示すようにバチリと走った雷が、ルドーの視線を誘導する。
フランゲルはここで、気に入らないルドーを分からせようとしているようだ。
両手剣を構えて高笑いを始めたフランゲルの周囲が、真っ赤な炎に包まれ始める。
聖剣に言われなくとも、目の前で火炎魔法を展開し始めたフランゲルのことは見えている。
だが相手はこれでも自称を信じれば王族。
ルドーはがっくりと肩を下げ、心底面倒に感じていた。
ボウボウとフランゲルを囲んで膨らんでいく炎。
周囲が明るく照らされ、熱気がルドーの肌を舐める。
舞い上がる熱風で、制服のケープが小さくはためいた。
「なんでだよ……俺何もしてないのに。リリ、下がってろ」
「お兄ちゃん……」
リリアを後ろに押しのけながら、ルドーは身に降りかかる不幸に嘆く。
エリンジといいフランゲルといい、血の気の多いやつしかいないのだろうか。
ただここは昨日のような森の中ではなく、だだっ広い運動場だ。
収まっては来たものの、エリンジの砲撃魔法の爆発の影響で、未だに土煙が周囲に舞っている。
風で拡散された炎が土煙に当たって、所々霧散して消えているが、フランゲルは気付いていない。
霧散して拡散している火炎魔法は、せっかくの高威力が相殺されて削がれてしまっている。
フランゲルは威力が下がっていることに気付かないまま、両手剣を構える。
圧倒的な火炎魔法で焼き尽くそうと、フランゲルはルドーの方を向いてニヤリと笑った。
「さっき一人倒れたばっかりだし、やめなよー!」
「魔法訓練もまだ受けておりませんのに、下手をするものじゃありませんわ」
「うるさぁい! 一番目立つべき勇者は俺様だああああ!!!」
メロンやキシア、周囲の生徒も先の今で流石に止めようと声をかける。
だがフランゲルは残念ながら応じる様子はない。
雄叫びを上げながら、フランゲルは両手剣に大きな炎を纏わせて振りかぶり、ルドー目掛けて襲い掛かってきた。
このままだと、横に並んだ他の生徒にも被害が及ぶ。
ルドーは大きく溜息を吐きながら肩を落として、渋々前に歩き出す。
「加減してくれ」
『おう』
背中に背負った鞘からを引き抜いた聖剣に頼みながら、ルドーも走り出した。
雷魔法の失敗で慣れてはいても、流石に火傷を負うのは勘弁願いたい。
火炎魔法に当たらないように注意しつつ、ルドーは走りながら聖剣を構える。
「ふははははははは! 丸焼きになりたまえ!」
フランゲルが両手剣を大きく振り回し、その動きに合わせて炎が布のように纏ってルドーに襲い掛かる。
だが動きが単調で大きく、どうにも読みやすかった。
「よっ、ほっ、っと……」
身を伏せるように小さく屈み、大きな炎を交わしながら、一歩一歩前に詰める。
走り込んで大きく聖剣を横に振り上げ、ルドーはフランゲルの懐にあっという間に潜り込んだ。
「なんだとぉ!?」
驚いたフランゲルが、攻撃を防ごうと両手剣を横に構える。
すかさずそこを狙って、小さくコツンと軽く剣を交えた瞬間、雷魔法を発生させた。
バシャァンと雷鳴が周囲に響き渡る。
「どわああああああああああああ!?」
雷鳴の中から、フランゲルの大きな悲鳴があがった。
フランゲルは両手剣を伝った雷魔法にビリビリと痺れ、骨が浮くように雷光を光らせる。
ルドーの聖剣を防いだその姿勢のまま一言も発さず、バタンと倒れて動かなくなった。
「……いや、防いだ後の行動考えて無さ過ぎだろ」
『攻撃が来ることそのものが想定外だったみたいだな、舐められすぎて笑える』
呆気ない幕引きに、ルドーは思わず突っ込んだ。
聖剣がクツクツ小さく嘲笑う声が頭の中に響く。
思ったよりもルドーの動きに反応がなく、あまりにも軽い剣の衝撃。
フランゲルの剣の腕も、体格の割にそこまでではなさそうだ。
白目をむいてピクピク痙攣しているフランゲルを見ながら、ルドーは呆れ気味に大きく溜息を吐く。
ようやくフランゲルの敗北に気付いたのか、後ろで様子を見ていた三人から悲鳴が上がった。
「あぁっ、フランゲル! ちょっとあなたたち、運ぶの手伝いなさいよ!」
聖女がどうとか文句ばかり言っていた桃色髪の女子が、横に居た男子二名にビシッと指示した。
両手を大袈裟に顎の下に合わせ、悲劇に見舞われたように芝居がかった動きをしている。
心配する素振りは見せてはいるが、桃色髪の女子は自分からは助けようとはしていない。
リリアと同じ聖女なら、回復魔法くらいは出来ると思っていたが、違うのだろうか。
「ハイハイハイ、運ぶの手伝いますよ!」
「ふぅー、やれやれ。主人公は辛いね?」
目にハイライトのない鳶色髪の男子、あと変なポーズを常にしているナルシストっぽい言動の潤と銀のツートンカラー髪の男子が、二人掛かりでフランゲルを運ぼうと、それぞれが肩と足を抱えて担ぎ始める。
呆れかえったジト目の三白眼で、ルドーは手も貸さずその様子をじっと見ていた。
そのままフランゲルを運びはじめたが、ルドーの前でナルシスト男子が唐突にピタリと足を止めた。
「あぁと、君。聖剣は主人公の物だよ? ほら返してくれる?」
「えぇ? どういうことだよ」
『こいつのもんになった覚えねぇぞ』
ナルシスト男子に言われた意味が分からず、ルドーは聖剣と共に混乱する。
一瞬聖剣の本当の持ち主かとルドーは思考が飛んだが、聖剣の発言からそれもないようだ。
しかしそんなルドーの様子も気にしないで、ナルシスト男子は悩ましい溜息を吐いて話し続ける。
「わかんない? 君は脇役、主役は僕なわけ。本来は僕が手にするはずだった聖剣なんだよ? ほら、分かったらさっさと差し出すんだ」
「いや、意味わかんないって……」
フランゲルを二人掛かりで担いだまま、ナルシスト男子はビシッと決め顔で指を差してくる。
そのまま聖剣をよこせと言わんばかりに、指差した手を上に広げてルドーに向けてきた。
一体いつフランゲルを運び出すのだろうかと、横で桃髪色の少女がじっと見つめているが、ナルシスト男子は気付いていない。
後ろでハイハイ言っていた男子が、必死に運び出そうとその場で足を踏み鳴らしている。
何を言われているのか分からないルドーと周囲の面々は、ただただ困惑するのみ。
なんともいえないカオスな情景がその場に展開されていた。
「ほらほら、出来ないなら僕が直接持っていって……」
「あっ、馬鹿! 無暗に触んな!」
『きめぇ、こいつ!』
ルドーは制止の声を掛けたが、ナルシスト男は聖剣を強引に奪おうと柄に手をかけた。
途端に先程手加減したフランゲルの時の比ではない、強烈な雷魔法がナルシスト男子に放出される。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
ビシャアアアンという雷鳴と、一瞬にして真白になる運動場。
バリバリと激しい音と雷光に、ナルシスト男子の情けない悲鳴がしばらく続いた。
「きゃああああ!?」
ナルシスト男子も黒焦げになって、その場にバタンと倒れて動かなくなり、桃色髪の女子が悲鳴を上げて飛びのいた。
なんとか黒焦げでもピクピク動いているから、ナルシスト男子も一応生きていると思う、多分。
ナルシスト男子が倒れ、運んでいた気絶したフランゲルもバランスを崩して一緒に倒れた。
ハイライトのない目をした男子だけが、うんうん唸りながら、ひたすら運ぼうと足を踏み鳴らす混沌とした状況が作り出された。
誰も何もいう事が出来ず、シーンという沈黙が耳に痛い。
うんうんハイハイ言っているハイライト男子の声が虚しく運動場に響く。
「……この聖剣、現状俺以外持てないんだよ。無暗に触ると酷いぞ」
「もっと早く言うべきじゃないかなぁ?」
やっと絞り出したルドーの言葉に、アルスが苦笑いしながら突っ込んだ。
絡まれたとはいえ、聖剣の雷魔法に焼かれて、黒焦げになった男子が二名。
ネルテ先生が戻ってきたらどう言い訳しよう。
「……なんで負傷者が増えているのかな、君たち?」
ルドーが言い訳を考える間もなく、ネルテ先生が戻ってきてしまった。
流石に怒っているようで、ニッコリ笑顔の圧が怖い。
そのまま叱責やら校庭の現状と、全員からの事情聴取で、初日の魔法訓練の開始はかなり遅れてしまった。




