足元を固める
ウィリアムは エドガーに盛大に愚痴り、ぼやき、反省の弁を述べた。
エドガーは、無意識のうちに醸し出した男のエゴをローズから嫌われたと知ってショックを受けた。
自分は、ウィリアムよりよっぽど紳士的であったと思っていただけに。
二人はカゲとズームと言う年長者から慰められたり いさめられたりで気を取り直した。
とどめの一発は、「対等に付き合える同世代の女の子と友だちになることによって、男は女性の機微を知り、将来 伴侶と巡り合った時に円満な家庭を築く一助となすのです」というズームの一言であった。
「まったく ローズ様に感謝しなくては、国王の情操教育に貢献していただきましたことについて」カゲ
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というわけで 塔の中の人と部屋割りの配置転換はスムーズに進んだ。
ウィリアムは 4階を自分の居室として本格的に整えた。
カゲは自分が年老いたサラマンダーと契約していることを打ち明けた。
よぼよぼのサラマンダーにはほとんど力が残っていなかったが、カゲにとっては大切な友であった。
カゲに頼まれて、ティンカー達の同意もあって、ローズは少しだけサラマンダーに祝福と言う名の力を分け与えた。
その結果、サラマンダーは、ウィリアムや影の者達のために、2日に一度風呂を沸かすことができるようになった。
そこで4階に、浴室と、カゲとサラマンダーのための居室を加えた。
カゲは塔の4階に自分の研究室を構え、4階と5階の守衛を務めることになった。
そして ウィリアムは隔日にゆったりと入浴できるようになったので、ローズの浴室を使いたいとねだる必要がなくなった。
(5階の浴室は、再びローズの寝室からのみ出入りできるように ドアがつけなおされた。
当然のごとく 中廊下側の浴室の壁=ドアがあった場所の壁全体を強化して再び穴をあけられないようにした。)
影の者達は、サラマンダーのことは知らなかったので、
神の愛し子様のお力により自分達にも入浴の機会が巡ってきたことを大いに喜び ローズに感謝した。
ヒロポン国は慢性的水不足だったので、燃料となる木も水も貴重品扱いであり
入浴は 王様だけの贅沢となりつつあったから。
ローズは 実際に湯を沸かしているサラマンダーの手柄を奪ったみたいだと居心地悪くなったが
サラマンダーは きにしなくていい、むしろローズのおかげで自分の寿命も100年くらい伸びたんだから、風呂の湯沸かしはそのお礼だと言った。
(ちなみに ウィリアム達の風呂の水は、ローズが作り出した水の中に含まれる魔力を精霊達が飲み干した結果できた再生水である。
このことは 潔癖なローズの心情を思いやった精霊達の秘密であり
ローズには「風呂の排水処理については任せて」
ウィリアム達には「ローズ様が作り出した水だよ」 と言う説明だけがなされていた。
もっとも 勘の良いローズは すぐにそのからくりに気が付いて顔をしかめたものの、
水不足のヒロポン国における合理的な対処法と納得していた。
城の周囲の農家の者達は、川の水量が心持ち増えたと喜んでいる。)
ベッドに関しては、影の長の応援で、ウィリアムがローズに話に行き、
あっさりと元ウィリアムの寝室・現ローズの寝室にあったキングサイズのベッドはウィリアムの元に、ウィリアムの控室にあったシングルサイズのベッドが、現ローズの寝室へと交換が成立した。
この時点で、ウィリアムはローズをなし崩しに嫁にしようという下心を放棄した。
下心やスケベな発想を持っていては、ローズからの信頼は得られないと
ウィリアムも覚悟したのである。
「生理的反応は時と場所と方法を、わきまえに基づいて選んで発散し、妄想はNG」という、影の者達が受ける訓話を
長からしっかりと施されたエドガーとウィリアムは、
「この教えは、王国全土に広めるべきだ!」
「早く結婚したい。そのために 女性が安心して暮らせる国にして 男女の健全な出会いの場を作ろう!」と思いを新たにしたらしい。
前回チグリスがDKに現れた出来事に関しては
ローズは神の愛し子だから 精霊や妖精達からも愛されており その姿も見える
ウィリアムも 国王として精霊達から認められつつあり時としてその姿を目にすることがあるようだ、と説明することにした。
そして 5階のDKは、ローズとウィリアムの共同の部屋、
5階の控室は フクフクの荷物置き場、5階の第一応接室は倉庫となった。
それ以外の5階の部屋は すべてローズ専用になった。
これはローズが精霊達と語り合っている所に 人が来ないようにする為でもある。
だからウィリアムも 内階段から廊下を通ってDKに入るだけにして
その他の場所を覗かないことを約束した。
そして 内階段のドアを開けるときには、必ずノックしてローズに入室を知らせるようになった。
フクフクは1階から続く共用の階段を使って、5階への出入りをしている。
共用階段側から、居住区に入るドアロックの管理と監視は、妖精ロッキーが行うことになった。
フクフクが ドアをノックして名乗るとロッキーがカギを開けるのである。
不審者がドアに近づけば 警報が全館に響き渡る。
この音がまたすさまじいので、5階へ続く階段の警備は極めて厳重に行われ、
ローズが認めた者達であっても 事前確認なしの訪問はNGとなった。
ローズの寝室には ミニテーブルとソファなどの応接セットやサイドテーブルなどが持ち込まれた。
ベッドが小さくなったおかげだわと ローズは喜んだ。
ウィリアムは自分の髪の一部を切ってローズにわたし、
ローズはそれを依り代としてポセイドンと連絡を取り合うことができるようになった。
といっても ローズにとって ポセイドンが畏れ多い神であることにかわりはない。
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