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エピローグ




 あの日、僕が目を覚ますと、全てが終わった後だった。

 起きた時には角も鱗も綺麗さっぱりなくなっていたけど、これは何時でも出せる状態だから問題はない。

 マイラさんから状況説明を受けて、大体の事を把握した。起きた途端レアが泣き出して、どうすればいいのか困ったりしつつ。


 昼過ぎ頃、四方から大量の魔物とゴーレムが現れて、侵攻して来たらしい。

 冒険者達は健闘したが、それでも守り切れず壁を破壊され、侵入されてしまったそうだ。

 ある程度の避難は済んでいたが、それでも全員とはいかず、マイラさん達が出張っていた辺りで僕らが遺跡から脱出。

 後はそのまま。


 それが、三日前のこと。

 今日はまた呼び出された訳だけど、昇格するらしい。

 もっと時間がかかると思っていたし、目標を達成出来た事は嬉しいけど、気持ちが追いついていないのが正直なところ。


 街や壁の修復はテキパキと進んでいて、たった三日で半分くらいは修復出来たそうだ。

 今も周囲を見渡せば、木材や石材を運んでいる冒険者、炊き出しを行なっている人など、普段は見ない光景が広がっている。


 「……やっぱり、避けられてるよね」


 その殆どが、僕に気がつくと怯えたり、興味本位で見てきたり、足早に離れてしまったり。


 「まぁ、それは仕方ないと思いますよ。俺もちょっと怖いですから」


 そう言ったリュークは、苦笑いを浮かべつつ隣を歩いている。

 怖いと言いつつも普段通りに見えるが、外に出ていないだけなのだろうか。


 「……」

 「レア?」


 「……ねぇ、ソラ。大丈夫……なの?」


 この質問に答えるのも、もう何度目だろう。

 三日間で、事ある毎に聞かれる。

 それも仕方ないと思うけど。


 「何度も言ってるけど、大丈夫だよ」





*





 魔王になった翌日の事。

 僕は、あの村へと帰って来ていた。


 六年で、獣や魔物が荒らしたりと、前よりも更に荒れているが、まだここに村があった事はわかるくらいだった。

 知り合いの墓を作る。

 その為に、ここまで来た。


 六年前。

 当時は体力的にも精神的にも余裕がなくて、墓を作ると言う考えに至らなかった。

 あの時は人間に復讐に囚われてボロボロになって、レアとノベクですら見ることが出来ていなかった僕が、そこに築けるわけもなく。


 「こんなに遅くなって、ごめん」


 涙が溢れてくる。


 「育ててくれてありがとう、母さん」

 「守れなくてごめん、シア」


 聞こえている訳もないのに、言葉が漏れる。


 「俺、あの言葉守れそうだよ、父さん」


 頭に浮かぶのは、六年前、ボロボロだった僕らを拾ってくれたマイラさん。

 新人教育で色々な事を教えてくれた、先輩冒険者。

 武器屋の店主に、図書館の司書さん。

 勇者の子孫が暮らす村、エント村の人達。

 ヴァルトさん達剛範。

 リューク。


 いろんな人がいる。


 「村を襲った奴は許せないけど」


 今も、復讐の念は僕を突き動かそうとする。


 「でも」


 ———人を憎むのは違うと知ったから。


 恨むのは、奪っていった奴らだけだ。


 「…………さて。また来るよ、父さん、母さん、シア」


 一頻り泣いて、立ち上がる。

 帰ろう。僕の居場所は、ここじゃない。





*





 「おはようございます、マイラさん」


 ギルドに着いた僕は、入り口で待っていたマイラさんに声をかける。


 「皆さんおはようございます。どうぞ、中へ」




 マイラさんについて行くと、奥の個室に案内された。

 中に入ると、60代くらいの男性と、30代前半くらいの男性が座っている。


 二人とも顔は知っていて、60代の男性がギルド支部のマスター。

 30代の男性の方がこの街を治める貴族だ。


 「朝早くから御足労いただきありがとうございます。魔王様。私は当ギルドのマスターを務めさせていただいております、グラッドと申します」


 僕らが挨拶するより先に、立ち上がって挨拶して来た。


 「いえ、僕はただの一冒険者ですから。畏まらないでください」


 「……なら、遠慮無く。マイラ、進行は任せる」


 ギルドマスターの素早い変わり身に、レアとリュークは面食らう。


 「私はトートベル・オスカーと申します。今回は見届けるだけですので、私の事はお気になさらず」


 貴族の男性はそういうと、口を噤む。


 「えー、では。今回来ていただいたのは、ソラさん達の昇格に関してです」


 そう言ったマイラさんは、僕らとギルドマスター、オスカーさんをチラチラと確認しつつ、ゆっくりと話す。

 明らかに緊張しているのがわかり、気の毒に感じる。


 「今回、ソラさん、レアさん、リュークさんの御三方は街の危機を救った功績を評価され、ソラさんとレアさんはAランクに、リュークさんはBランクに昇格となりました。おめでとうございます」

 「ありがとうございます」

 「また、ギルドの規定を超過した為、チーム朝焼けの空はAランクとなりました」

 「はい」


 これも事前に聞いていた為、驚きはない。


 「えー、また、ソラさんは魔族という事ですが、我々冒険者の仲間であることに変わりはなく、ギルドに守られています。例え国からの命令であったとしても、正当な理由なく除名、降格などの損害が生じる可能性のある決定をギルドがする事はありません」


 下手をすれば討伐隊を組まれる可能性なんかもあった為、これは嬉しい。

 勿論殺されるつもりはなかったが。


 「以上になります」


 マイラさんがそう言うと、オスカーさんが立ち上がる。


 「見届けました。私に異存はありません。……ソラさん、この街を、住民を守っていただきありがとうございました。それでは」


 言うだけ言うと、オスカーさんは退室してしまった。


 「おう。俺からも言わせてくれ。お前がいなければ、被害はもっと広がっていただろう。本当に、感謝する。それから、さっきも言ったが俺らは冒険者として仲間だ。困った事があればなんでも相談しろよ! それじゃ、後は任せる」

 「え!? ちょっと待ってくださ……あぁもう!」


 グラッドさんもオスカーさんと同じく、言いたいことを言うだけ言って部屋を出て行ってしまった。


 「あー、ソラさん」

 「なんでしょう?」


 今日はこれで終わりだったと思うが。


 「えっとですね、紅空の彼方が話し合いたいと」

 「受けます」


 受けない理由がない。






 「こちらです」


 ノベク達は別の部屋で待っているそうで、その部屋まで案内された。

 扉を開くと、奥から人が飛びついて来た。


 「っと」


 それを身を引くことで回避し、その人物を無視して部屋の中に入る。

 二人も飛びかかって来た人に引きつつ、僕の後に続く。


 「まっ、待って!」


 そう言って服の裾を掴んできたのは、涙目のミュイラ。


 「邪魔」

 「ごめんなさい! 私が悪かったわ! だから、私の話を聞いて!」


 必死に叫んでいるが、全く心に響かない。


 「俺はお前と話にきた訳じゃない」


 抑えている魔力を解放し、威圧に近い事をする。

 勿論ミュイラとトーチ以外には行かないように注意しつつ。


 「ひっ」


 掠れるような音と共に力が弱まった為、無理矢理引き剥がす。

 最後まで抵抗していたが、剥がれた途端ヘナヘナと倒れ込み、動かなくなった。

 そんなミュイラを今度こそ無視し、ノベクの前まで進む。


 「すまなかった。俺はソラの言葉を、レアの言葉を聞こうとしなかった。……本当に、すまなかった」


 僕が目の前に立った途端、ノベクは口を開いた。

 そして、深く、頭を下げる。


 「顔を上げて」


 声をかけても、ノベクは顔を上げない。

 レアとリュークに視線を向けると、二人は頷いていた。


 「ねぇ、ノベク。……僕らのパーティーに入らない? 僕はまた、君と冒険したいな」


 腰を少し落として、手を差し伸べる。


 ノベクは、目を見開いて顔を上げた。


 「……俺なんかで、いいのか? 俺は!」

 「いい、じゃない。ノベクじゃなきゃ、駄目なんだよ」


 言葉を遮られたノベクは、レアに視線を向け、頷いているのを見て。






 ———泣きそうになりながら、僕の手を取った。





一応これにて完結です。


もし宜ければ、評価・いいね・感想・アドバイスなど頂けると嬉しいです。

一言だけでもモチベに繋がりますので是非。

後、人の感想とか考え方に間違いなんてものはないので自信持ってください。



※ざまぁ要素と「人を恨まない〜」辺りが分かりにくくなってしまった気がするので補足。いらない方は飛ばしてください。


教会の偉い人B「魔王!? 下手に手を出すわけにもいかん……ん? こいつのパーティーメンバーに聖女いるじゃん! 情報収集させよ」(情報弱者)

ミュイラ(え、いや、やらかしたあと何で無理なんですけど……。でも出来ませんって言うわけにも行かないし……)

教会の偉い人B「行け! 出来れば味方に引き入れてこい!」

↓

断れず、泣き落としに

↓

本人に相手にされない所か、ほぼ敵対


と言う流れ。この後どうなってしまうんでしょうね。

多分聖女の称号は剥奪だと思います。


「人を憎まない〜」は人族、と言う種族全体を恨むのではなく、色々な人がいるわけだから、個人だけを恨むよ、と言う事です。

 トラウマレベルの光景を見せられて全部許す、は個人的にないなと思ったので。

 魔王ですし。






あとがき


当初思っていたよりも大分時間がかかってしまいました。

2021年の内に終わらせる予定だったんですけどね……どうしてこうなってしまったのか()


一応続きは考えてありますが、今の所書くつもりはありません。でも見たいって方が居てモチベが回復したら書くかも。

まぁその場合書くとしても先にこの話にほとんど関わってこないからカットした部分を復活させないといけないんですけどね。


前書きとかはある程度消します。そのうち。


キャラの名前とか地名とかには意味はないんですが、主人公と男幼馴染だけ名前に理由があるんですよね。凄くどうでも良いことなんですが、作者がこれになるだろうなぁと思って書き始めたので。

ソラ と ノベク

ソラ と ノベ ク

そうだねクソラノベだね((

はい。


思ったよりも書く事が思いつかなかったので終わります。


それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました!



日を置いてから自分で何回か読み直し、加筆修正推敲します。

反省点↓ 2022/02/17時点

・誰が喋っているのか分かり辛い

・期間が空いた影響で文章の書き方が統一されていない

・更新頻度遅い

・薄味

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