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虹魔狼

一部誤字脱字誤変換を修正しました。残っていましたらご報告いただけるとありがたいです。



 その後、ある程度の情報共有と戦闘での打ち合わせを済ませた僕らは、エント村で村長に近くで変化があることを詳しく伝え、いざとなれば代わりにギルドに伝えてもらう様頼んだ。

 あまり考えたくはないけど、僕らがもし死んだ時に情報が全く伝わらないことは避けなきゃいけない。

 勿論、死ぬつもりはないけどね。


 「いた」


 銀色の毛並みに赤い瞳、6m程の狼の魔物。

 僕らが過去に戦った個体より、一回り大きい。


 周囲は開けていて、木の一本もなく、草もほとんど生えていない。

 所々には岩肌が見えており、なだらかな傾斜がある。


 「……リュイ、行くぞ」


 そう言って、リュークとリュイが飛び立つ。

 これは打ち合わせ通りで、多方面から攻撃をして撹乱しつつ攻める事にしたのだ。


 「〈剛力〉〈疾風〉〈堅牢〉」


 能力強化系の魔法を使い、剣と盾を取り出す。


 「炎よ、塊となりてかの敵を燃やし尽くせ〈連炎弾〉」


 レアが放った五つの火球の後ろを走り、見えないように接近する。


 「〈土壁〉〈戦場〉〈風切〉」


 跳んで避けようとした虹魔狼の足元の土を、土壁にすることで盛り上がらせ、体制を崩しにかかる。

 更に気付かれないように発動していなかった〈戦場〉を発動し、逃げ道を封鎖しつつ、〈風切〉で更に行動を制限する。


 虹魔狼は回避出来ないことを判断してか、魔法での防衛・迎撃に切り替えたようだ。

 遠吠えと共に土の壁が現れ、虹魔狼の四方を囲んだ。


 (視界を封じるのは悪手だろっ!)


 僕の場合は〈探知〉のお陰で目で見えなくても問題ないが、虹魔狼は視界から情報を得ていると思って間違いないはずだ。

 目潰しが効かなかった事例はないし、隠れれば見つからない。


 レアの魔法は防がれてしまったが、敵の目を封じたと考えればかなりの戦果だ。


 「ふッ!」


 土壁を蹴り破り、破片と共に肉薄する。

 虹魔狼は上に跳んで回避しつつ、僕に向かって電撃を放つ。


 「浮遊」


 その電撃を浮かせた大きい破片で防ぎ、腹に斬りかかる。

 しかし、その斬撃も爪で防がれ、鍔迫り合いで押し合う形になった。

 火花が散り、虹魔狼の力で足が土ごと後ろに下がってしまう。


 純粋な力では勝てないのは目に見えている為、全力で上に押し上げる。


 そこに、空から矢が飛来した。

 狙いは的確で、空に打ち上げられた無防備な虹魔狼の首に突き刺さり、悲鳴をあげる。


 「〈風切〉」


 追い打ちに風切りを放ち、虹魔狼の腹から鮮血が飛び散った。

 それでも倒れず、壁を蹴って距離を取ることを選んだ様だ。


 (でも……)


 外にはレアがいる。


 「星屑よ、空の彼方より飛来せよ。その姿は彗星の如く〈流星〉」


 「流石にそれはやばいっ!〈土掘〉」


 土を掘り、地下に避難する準備を始める。

 空を見ると、大きな……隕石とも言える巨大な岩が降ってきており、リュークとリュイが避難していた。

 それでもしっかり手加減はしているようで、前に見た時よりも小さいサイズだ。


 近付くに連れて辺りが暗くなり、影に覆われる。


 掘った穴に入り、更に深く潜っていく。

 それから数十秒後、地響きと共に揺れが起こり、落ちた事がわかる。


 「〈土掘〉」


 真上に掘ると、掘った時間よりも早く地上に出る。

 周囲は衝撃でかなりへこんでおり、巻き込まれた虹魔狼は潰されて無惨な姿を晒していた。

 それでも、爪と一部の素材は残っている為、しっかりと回収する。


 そうこうしていると、レアとリューク、リュイが近寄って来た。


 「お疲れ!」


 そう言って、レアが満面の笑みで声をかけてくる。


 (可愛いけど……)


 「やりすぎだよ、レア。……リュークには流石に言ったんだよね?」


 僕がそう聞くと、レアの視線が泳ぐ。


 「あはは……。ごめんね? 私もいいところ見せたくって」


 てへ、と可愛こぶっているレアの頭を小突き、ジト目を送る。


 「まぁまぁ……俺は大丈夫ですから。……流石に一言言って欲しかったですけど」


 そう言って、リュークがフォローする。


 「もっと怒っていいよ、怒られる事を許容した上でやってるから」


 「リューク君、遠慮なく言ってね。仲良くしよっ!」


 お前が言うな……と思う部分はあるが、良好な関係を築きたいのは確かだ。

 命を預ける仲間だし、仲がいいに越したことはない。


 「え、あ、そうですか……?」


 「うん。…………今回も無事に終わったし、帰ろうか」


 リュークにそう言って、帰り道を歩きだす。

 レアは行きと同じく、リュークの後ろに乗せてもらっていた。


 「〈整地〉」


 土魔法でへこんでしまった部分に、衝撃波と共に吹き飛ばされた土を被せてならす。

 〈戦場〉のおかげで広範囲に広がったわけでもなく、すぐに終わる。

 地形を変えて放置、なんて事は上のランクを目指す上であってはならない事だからね。


 地均しを終え、帰りの空き時間に何をするか考える。


 (折角だし、魔法の練習でもするか)


 あのワイバーンが使っていた盾の魔法。

 あれを、詳細に覚えている内に再現したい。


 〈探知〉を疎かにするわけにはいかないから、あくまで二の次にはなるけどね。


 (属性は多分無属性だろうけど……)


 魔法はイメージがかなり大事だ。

 実物を知っているのといないのとじゃ、精度にかなりの差が出る。


 「魔力よ、盾となりて我が身を守れ〈空盾〉」


 そう唱えると、ワイバーンが出していたものより3回り程度小さい、薄い盾の様なものを出せた。


 (制御、が、効かない!)


 無理矢理近くに押さえつけていたが、飛んでいってしまった。


 「……要練習って感じだなぁ」


 少なくとも、当分は実戦投入は出来そうにない。


 (まぁ、根気良く頑張ろう)


 何もせずとも覚えられる力なんて物は、殆ど無いんだから。





 「でも、ソラも私にいきなり人探して来てとか言って来たし、お互い様じゃない?」


 「言われて見れば確かに。それは本当にごめん」






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