スケジュール
カラは障害物競走の日取りを確認すると、訓練スケジュールを立てることにした。
今日の日付から、当日までの日付のノートを用意したのだ。
そのうえで、献立をタロに依頼することにした。
競争一週間前までは普通の訓練だが、一週間からは競争を意識した訓練メニューに変えなければならない。そして食事の献立もそれに合わせないと。
基本的訓練で、障害物の大半は何とかクリアできるはずだ。
そして、彼女達は、訓練のため私語をを有給休暇扱いにしてもいいという申し出もあったが、カラはそれは一週間だけでいいと申告しておいた。
基本的に彼女達の仕事は事務ではなく、モノを運んだり掃除をしたりといった肉体労働が基本なので、それに訓練を加えるだけで、十分と判断したのだ。
「ううん、基本的に低糖質が望ましいんだけど、おやつを削るわけにはいかないし、だとすれば普段の食事のパンを削るしか?」
パンを低糖質に作ることはできるのだろうか。
そんなことを考えつつ、カラは訓練メニューを書き加えていく。
「握力強化には?」
腕立て伏せを掌をつけずに指先だけで行ういわゆる指立伏せが有効だが、できる人間だけやったほうがいいだろうか、うかつにやらせるとけが人が出そうだ。もともと人数はぎりぎりなのだし。
「ゴムはあるんだし、にぎにぎ運動かな?」
ゴム状のものは存在するし、ゴムとして使用されている。それをボール状にして、何度も握るのがけがもなく安全かもしれない。
必要とされる運動器具を考えていく。
「でも腕立て伏せはいるし。後は、やっぱり走り込みは必須だよねえ」
グラウンドを走りこませるとき、カラは自分は自転車で先導すると決めていた。何しろ恐ろしく体力がないから。
その時、他基地選抜メンバーは一堂に集められ、延々走りこまされていた。
「次は重しをあちらまで運べ」
次から次へと過酷な命令が下される。
特別給というそれが彼女達のわずかな支えだった。
この過酷な訓練は、競技翌日まで続くこととなる。あまりの過酷さに倒れこんだ彼女達に容赦なくたたきつけられる罵声。
それを聞きながら彼女達は目を閉じた。
「勝負に勝ちさえすれば」
一人が唇をかみしめながら呟く。
「そうよ、特別ボーナス、そのためには」
勝利の暁には、年収に匹敵する特別ボーナスが手に入る、そのためならどれほど過酷でも耐えられる」
彼女達はそう言ってゆらりと立ち上がった。
まだ訓練メニューの半分もこなしていない。
「カラ、これが訓練メニュー?」
マデリーンがカラの手元を覗き込む。
「最終日はほとんど何もしないの?」
「そうね、身体をほぐす体操ぐらいよ、筋肉をつけるには、休養期間も必要なの、それに試合前日は休むのが今じゃ常識よ、スタミナを試合にすべて注ぎ込むためにもね」
カラはそう言って、タロに頼む食事メニューを考えていた。




