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楽しい将来設計

「機織り機がほしい」

 カラはいきなり要求した。

 マデリーンはいきなりの要求に一瞬ついていけなくなった。

「なんで?」

「今までやっていた仕事よ、それがいきなりできなくなったんだもん、禁断症状の一つも出るよ」

 機織りに禁断症状があるとは知らなかった。

「冗談はさておき、何?」

「ちょっと作りたいものがあるの」

 カラはそう言うと、マデリーンに訊ねた。

「一番丈夫な繊維を用意してほしい」

「だから、何を作るの?」

「真田紐よ」

 マデリーンは日本の有名な真田紐を知らなかった。紐を何に使うかもわからない。

「うん、あれなら手早く作れるわね」

 カラは何事か考えているようだ。


 カラはその日、機織り機を自作した。 

「まあ、期限は半年、それなら五か月あるし、楽勝よね」

 カラは糸を寝台の柱に掛けた。そして、薄板に糸を交互に挟み込む。そして、そのすぐ後に幅広の櫛を差し込んだ。

 もう一方の糸の端はカラのベルトに挟み込む。

 いざり機と呼ばれる現柴田の形状だが、元々カラは知っていたわけではない。

 機織り子の形状から最低限できることをやったらこの形になっただけだ。

 ヘアピンを杼の代わりにし、平織りに布を織っていく。

 真田紐は細長い織物だが、カラが作るのは従来の真田紐よりやや太めだった。

 それでもさして時間がかからずサクサク織進んでいく。

 櫛をトントンと曳いて、織り目を詰める。

 カラの作業の意味は、はたで見ている誰にも分らなかった。


 最終的に二メートル半の長さの紐ができた。

 それの両端に三角形の金具を取り付けて、三角形の頂点にあたる場所に別の紐を結ぶ。

 それを見てタロが呟く。

「なんだ、これ?」

「スラックライン、綱渡り協議で使われるものを自作してみました」

「綱渡り?」

「そう、たまにはレクリエーション要素を付け加えるのもいいと思って」

 適当な支柱に結び付ければ使えるといって、これからその支柱になりそうなものを物色するという。

「それ、筋トレか?」

 タロが軽く悩むが、カラはそれに説明する。

「バランスが悪い状態だと、倒れないように全身の筋肉を使うの、ほらそれを応用したスリッパがあったでしょ」

「ああ、ダイエットスリッパ」

 足の接地面積を狭くしてある、履くだけで痩せるスリッパを思い出した。

「それに言ったでしょ、ここは軍隊だって」

「なんか関係が?」

「バランス感覚を一番必要としている競技は、レスリングなんだよね」

「なるほど、すべて理解した」

 さすが元スポーツ選手、ツボを押さえている。

「訓練になる遊具として売り込むのもいいなあ、それにうちのほうに注文出してもらえれば、うちの家計も助かるし」

 一石二鳥か、恐ろしい子。タロは心中でのみそう呟いていた。


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