改善案
料理の内容はまず、メインの肉料理、これはソテーされ香辛料を振ったたものだ。そして、付け合わせの野菜、これは根菜の揚げ物だけだ。
そしてスープ、葉野菜を刻んだものが入っている。カラの家の、個人消費用の畑でも育てていたものだ。
そして、白パン。精製した小麦粉で作ったそれは一般庶民にとってはご馳走だが、それこそカラにとってはいただけない代物だった。
「これは普通のお店の献立ならともかく、肉体を使う人の食事としてはちょっとですね」
カラは食べながらそう評価した。
料理を出すカウンターで料理人が物凄い目でカラを睨んでいる。タロはそれを見ないふりで芋に似た揚げ物をつまんだ。
「具体的にどこがどう悪いわけ」
タロは、味をチェックしているが、カラは特に味わっている様子はない。
「まず、蛋白質ですが、これはだめですよアミノ酸の桶って知ってますか」
必須アミノ酸は蛋白質を含んでいる食品の中ですべてそろっているわけではない、しかし必須アミノ酸をすべて取らなければ吸収は阻害される。そのため複数の蛋白質を取ることでよりたんぱく質を取りやすくする。これは高校の家庭科で習う。
「一種類だけでは、必須アミノ酸は足りないんですよ」
そう言えば、そんなことを聞いたような気がする。
タロは栄養のバランスより、まず味を考える。そのため、あまり栄養というものを考えたことはなかった。
「そして、ミネラルやビタミン、野菜の種類が少なすぎです、もう二三種類要りますね、あと、パンは全粒粉でないと」
「白パンだとまずいの?」
「全粒粉はあれですよ、玄米みたいなもんです、だから、穀物からもミネラルやビタミンが取れない」
スポーツ選手には玄米食を愛用している人は結構いる。
「詳しいね」
「だって、スポーツ栄養学の講義は何回も受けたし」
スポーツ栄養学を習うことは、国旗を背負う選手なら常識だった。
カラ自身調理実習を含めた講義を何度も受けている。
この献立はあきらかに悪い例として出されそうだ。
タロとしては思わず天に感謝しそうになった。
カラが恐ろしく有用な知識を持っていたからだ。
スポーツ栄養学の講義を受けたことがある。その知識と自分の調理能力があれば、十分この献立を改善することができるだろう。
「じゃあ、改善点としては、野菜の種類を増やす、それと、パンの種類を変えるね」
「後、蛋白質の問題ですね」
「ピカタにでもすれば、二種類になるよな」
溶き卵を衣代わりにしたソテーの方法を提案する。
「それもありですけど、他にミネラルを増やす方法を考えないと、そう言えば、ここ、麦しか穀物がないですよね、他の穀物がないか調べてみるのはどうです?」
「いいんじゃない?」
カラはミネラルを問題視しているらしい。いや、ミネラルが必要というのはさすがにタロも知っているが。
「そう言えば、料理人人口って男が多いのに、なんで家庭科は男子は受けないんだろうな」
「最近は是正されてるって話ですけど」
「え、そうなの、初めて聞いた」
はたから見れば同年代の二人だが、ジェネレーションギャップは存在した