第9話:自由時間その3 智子たちの美容大作戦
調子がいいので本日2話目です♪
裕也から雪子たちの正体などについての話を聞き終えたクラスメートたちは、普通なら信じないような話のはずなのに、目の前にいる存在のおかげか、それとも持ち前の順応力なのだろうか、普通に納得していた。
「まあ、こんな感じなんだけど、もしこの状態を見ないでオレがこのことを話していたらみんなは信じる?」
裕也が話し終えて多少ざわついているところにたずねる。
「どうだろうな……まあ、信じたと思うよ。別にこの世の中何がいたっておかしくはないだろうし。」
みんな同じ意見だったようで、速人が代表して発言したときにうんうんと頷いていた。
全ての話を終えたところで、裕也や速人たちは雪子たちの部屋を後にした。そして、智子たちは――
「私たち流の肌の手入れは簡単に言えば自分たちの持ってる特殊能力を利用したものなの。私は対象の身体の表面を凍らせる『冷凍法』、薫ちゃんは同じように対象の身体の表面を石化させる『石化法』、麻美ちゃんと彩さんは美容向きの能力じゃないから私や薫ちゃんが手伝っているのと、一般向けの化粧品の併用ですね。」
さっきの話の続きということで、雪子から肌の手入れの『特殊な方法』について説明を受けていた。
「それで、私の『冷凍法』か、薫ちゃんの『石化法』の2通りがあるけど、どっちを試してみたいかしら?」
雪子が一通り説明した後、智子たちにどっちにするかとたずねた。
「それじゃ、『冷凍法』のほうでお願いします。」
智子を含むここにいる女子の大半が『冷凍法』を選択したのに対し、
「あの……『石化法』のほうをお願いしたいんですけど………」
一番後ろからついてきていた宮本 静香一人だけ薫の『石化法』を選択したのだった。
「わかりました。それじゃ、えーと、『冷凍法』は6人ね。3人ずつやるから、先にやりたい子3人はそこに寝転んで。」
雪子が布団を指差し、智子と女子A、B(名前考えても今後出てこないと思われるのでアルファベットで)が布団の上に寝転ぶ。
「服はそのままでいいんですか?」
女子Aが寝転んでからふと気づいたことを聞いてみる。
「服は脱がなくてもいいけど、脱いだほうが効果が出る可能性は高いわ。」
雪子がそういうと、3人とも服を脱ぎだした。
「じゃあ、あたしらが外で見張ってるよ。男が来たら大変だしな。」
彩と麻美がそう言って部屋の外へ出て行った。
「それじゃ、準備できたわね?凍ってる間はほとんど仮死状態に近くなるわ。次に目が覚めたときに、成功ならきれいになってるし、失敗なら凍傷が残る可能性もあるわ。本当にやっていい?」
雪子が最終確認を智子たち3人にする。
「はい、大丈夫です。」
智子たち3人は短くそう答えると、目を閉じ、それを見てから雪子は3人に冷気を浴びせ、表面を凍結させた。
約30分後、雪子が凍結を解除し、目を覚ました3人は、見違えるほど肌が白くきれいになっていた。どうやら成功したらしい。
その後、残りの女子3人(C、D、E)も同じようにやってもらい、きれいになったと喜んでいた。
そして、ただ一人『石化法』を選んだ静香は――
「……じゃ、他のみんなと同じようにそこに寝転んで。」
薫が静香にそう言って、静香は布団に寝転んだ。
「……私のやり方は普通のヒトには今までやったことがないからうまくいくかわからない。それでも本当にやる?」
薫もまた最終確認をする。
「はい、お願いします。どうにかなっても自業自得ですから。それに私、正直あまりきれいじゃないんで、うまくいったら儲けものってくらいの気持ちでやろうとしてますから。」
静香はそう話すと、やはり目を閉じた。そこに薫が目を見開き、静香の身体を石化させた。
約15分後、石化から元に戻り、目を覚ました静香は、本人も驚くほどきれいになっていた。
「……案外うまくいくものですね。安心しました。」
薫もほっと一息ついた。
用が済み、雪子たちの部屋を後にしようとした智子たちに対し、
「もしまたやりたくなったらいつでもいらっしゃい。旅行が終わって帰ったあとなら私は流星荘ことアヤカシ荘の101号室、薫ちゃんは隣の102号室に住んでるから。」
雪子が笑顔で智子たちにそう言い、智子たちは「はい。ありがとうございます!」と言って各自の部屋へ戻っていったのだった。
雪子たちによる智子たちの美容大作戦は見事成功、今後いつでもやってあげるということは、この旅行が終わったあとは智子たちがこまめにアヤカシ荘へ通うということか……?
まだまだ続く親睦旅行、果たしてどうなるのか?