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幼馴染の勘違いオタクを無害なモブにしたかっただけなのに、冷徹に教育していた私が絆されました  作者: remia
第8章:計画が終わる春

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第49話:エピローグ&プロローグ

 暴走する母親たちから逃れるように、私は拓実の腕を引いて自室へと駆け込んだ。


 ドアをバタンと閉め、荒い息を吐き出す。



「もうっ! ほんと、あのニヤニヤコンビはデリカシーってものがないんだから!」


「ははは。まいったな。まさか結婚式とか孫とか、あそこまで話が飛躍するとは思わなかったよ」



 ――は?

 もしかして……こいつ自分がやったことわかってないの!?



「……『まいったな』じゃないわよ!? あんたがバカ正直に『ずっと隣にいてくれ』なんて告白のセリフまで親に暴露するからでしょ! 頭おかしいんじゃないの!?」


「え? でも、嘘をつくのは良くないし、正直に報告するのが筋じゃないのか……」



 また出たわね。素直すぎるバカ!

 聞かれたことにバカ正直に全部答えるなんて……こいつ、好感度MAXになった途端に全情報を開示してくる初期設定のNPCなんじゃないの!?



「そういうのをデリカシーがないって言うのよ!」


 私はベッドから立ち上がり、拓実の顔面をガシッと鷲掴みにした。

 そのまま、伝家の宝刀、アイアンクローをキメてやる。



「い、痛っ! 凛子、頭蓋骨が! なんで付き合った初日からアイアンクローなんだよ!?」


「黙りなさい。あんたの恋愛ステータスが初期値のままだからよ! 恋人なんだから、私に恥をかかせないように、少しは空気を読むことを学びなさい!」


「ぐあぁぁぁ、俺のHPがゼロになるぅぅぅっ」


「なんでもかんでもラノベやゲームに例えるのもやめなさい! 来月には高校生になるのよ!」


「解せ――」


 ――あっ、ちょっと!

 あんたが動くからバランスが……っ!



「わっ!?」


 抵抗しようと拓実が腕を振り回した拍子に、私の足がカーペットに引っかかり、もつれ合うようにしてベッドの上へと倒れ込んでしまう。



「痛っ……」


「ご、ごめん凛子。大丈夫か?」



 心配そうに私を覗き込む拓実――その顔が、鼻先が触れそうなほどすぐ目の前にあった。



 ちょっと!! 近い、近すぎよ!!

 あぁもう、なにこの状況!? 一瞬で顔も心臓もオーバーヒート寸前じゃないの!



「あ、あの……凛子?」


「ち、違うわよ! これはバランスを崩しただけで――」



 ガチャリ。



「あらあら〜。早速かしら〜?」


「拓実、さすがにちょっと早いんじゃないかしら。順序というものが……」


 ドアの隙間にはトーテムポールみたいに縦に並んだ二つの顔。

 完全にタイミングを狙っていたとしか思えない間合いで、あのニヤニヤコンビが覗き込んでいた。



 なんで毎回毎回あんたらは覗くのよ!? 子供にだってプライバシーがあるでしょ!?



「い、いや! ち、違います!! これは事故で!!」



「凛子ったら、誤魔化さなくていいのよ~」


「うふふ、凛子ちゃん、大きいベッドはもうちょっと待っててね」



「ほ、ほんとに、違いますから! 拓実!! あんたも何とか言いなさい!」



「そうだよ。俺だって凛子とはそういうことをしたいと思う。でも、今じゃないだろ」



 違ぁぁぁぁぁぁう!! そうじゃない!!

 なんなの、そのクソ真面目な回答は!?

 まず、この状況に恥じらいを覚えろ! そして誤魔化せ!

 親相手に自分の性欲を真顔で語るな!!



「だから、母さんたちも――」

「拓実、もういいから黙りなさい!!!」




「やっぱり仲良しねぇ」

「若いって素晴らしいわね」


「お母さんたちも、いい加減にして!!」



 ニヤニヤと笑いながら、母親たちはパタンとドアを閉めて撤収していった。



 静寂が戻った部屋。残されたのは、顔からマグマを噴き出している私と、「なんで怒られたんだ?」と言わんばかりにクソ真面目な顔で首を傾げるバカ彼氏だけ。



 ……やっぱり、こいつにはデリカシー教育が急務だわ。


 この『素直すぎるバカ』を放置しておけば、高校で私との出来事をペラペラと無防備に言いふらしかねない。

 そんなことになれば、私の社会的尊厳は完全に崩壊して、高校生活で大恥をかくことになる。


 せめて、高校では絶対に別クラスにならないと。

 離れている間にこのバカのデリカシーを教育し直さないと、私の平穏な生活が持たないわ。


 やっと『人間矯正計画』が終わったと思ったというのに、次はデリカシー教育って……。


 まったく……このおバカな幼馴染の世話焼きは、高校生になっても終わりそうにないわね……。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。


当初描きたかった物語はここまでになります。

50話以降、高校生編の構想もあるのですが、一度完結とさせて頂きます。


続きに関しては、しばらく時間をおいて考えてみます。


凛子と拓実の一年間にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。

また、機会があればお会いしましょう。


最後に、コメントで感想をいただけると大変励みになります!

気に入って頂けた方も、そうでない方も是非お声を聞かせて下さい!!



2026.6.15 remia

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