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番外編


「椿君」

「ん? どうかした鈴音」

「ううん、呼んでみただけ」

「そっか」



あの後賄さんとは下の名前で呼び合う仲になっていた、おっと今は鈴音だな。



社会人になってそれとなりに女の人とも接して冷めた部分もあったのにこうして鈴音と再会して俺の鈴音に対しての感情は学生の時に戻ったよう……



そしてそんな鈴音も再会して間もなくは大人っぽい振る舞いになっていたけどこうして下の名前で呼び合った頃から変にモジモジとしていた。



これはなんだろう? 俺達は退化してしまったんじゃないだろうかという錯覚に陥るけど何故だかそれが嫌な気分でもなくどこか心地良さもあった。



「椿君あたしちょっと緊張してきた」

「大丈夫だよ、うちの親も鈴音と久し振りに会ったって言ったら連れて来てってはしゃいでたし」

「そ、そんな…… あたしなんて大したことないしますます緊張する」

「そんなことないよ、す…… 凄く綺麗だし」



そう言うと鈴音の顔が真っ赤になって歩みが止まる、俺も言っててめちゃくちゃ恥ずかしいけど。



「でもほら、俺も一緒だし平気だよ」

「なんか椿君凄くモテる人みたい。 カ、カッコいいけど……」

「いや鈴音ほどじゃないよ、昔から鈴音は綺麗だったし」

「あたしも椿君のことずっとカッコいいって思ってたよ、それと可愛い」



なんでかお互い褒め合いになってしまっている。



そんなことをしながらちびちびと歩いていると家に着いたので家に上げると……



「鈴音ちゃーん、久し振り。 あらあら前よりも美人になっちゃって」

「まさかまた鈴音ちゃんが我が家に来るなんてな、ゆっくりして行きなさい」

「おじさんおばさん…… お久し振りです、正直また来るなんて図々しいかなって思いましたけどなんだか……」



ホロッと鈴音の目から涙が一粒落ちたと思ったらジワァッと一気に目が潤み始めた。



そんな鈴音の様子を見てうちの母さんも涙を流した。



「ご、ごめんなさいッ! あ、あれ? すみません」

「いいのよ鈴音ちゃん、あたしも鈴音ちゃんが居た頃は娘が出来たみたいで嬉しかったのよ、ねぇあなた」

「そうそう、また一緒に住みたくなったら住んでもいいんだぞ?」



いやいや…… って当たらずとも遠からず、ここの家とはならないけど俺と鈴音と結婚したい、今日はそのことでお互い休みを利用してうちの親にちゃんと言おうと思って来たのだ。



「今日来たのは話があるんだ」






◇◇◇






「じゃあ椿は自分の部屋で。 鈴音ちゃんが使ってた部屋もほぼそのままだから使っていいわよ」

「はい、ありがとうございます」




親に話をすると「そうだろうと思った」と言われ拍子抜けした、そんな風に見えてたらしい。



鈴音となら大歓迎だと。 俺も嬉しかったし鈴音も凄く喜んでいた、鈴音の両親にはうちの親よりも早くに報告した。 あっちも大賛成してくれて良かった。



「椿君あたし」

「入って来ていいよ」



別にもう勝手に入って来ても構わないのにノックをして入ってくる鈴音は学生時代の頃のよう。



鈴音は俺が腰掛けていたベッドに座り肩を寄せる。



「椿君好き」

「何急に?」

「前は素直になりたくてもいろんなこと考えててなかなか言えなかった。 だけど今は違う、いっぱい椿君に好きって言いたい」



そう言って俺に体重を掛けて寄り掛かる。



「俺も好きだよ鈴音」

「…… いっぱい椿君に甘えたい」

「いいよ」



鈴音が俺の手を取って指を絡める。



「大好き椿君」



俺は鈴音をもう何があっても離したりしない、もし仮に離れそうになっても俺は鈴音の手を掴んで絶対離さない、どんな時でも。



「あたしもそう思ってる」

「え?」



口にしてないのに鈴音は俺の思ってることを察したのかそう言った。 



お互いすれ違ったこともあった、けどそういうこともあって今がある。 少し都合の良いように聞こえるかもしれないけど離れていたって俺の心の中ではずっとどこか鈴音が居て鈴音の心の中にも俺が居たから俺達はこうして今2人で居るんだ。




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