番外編end
「スズも結婚かぁー。 良かったじゃん、あっちに行った後よく悲しみのメー……」
「あーッ! あーーッ!!」
「いやビックリだし。 スズ昔より声のトーンがデカくなったよね? あっちに行った影響?? まぁそれはそうと宮下も結婚おめでとう」
「まぁまだ結婚式とかもまだだけどな」
「ちくしょーッ! 結婚してないの俺だけかよ!! 高野にワンチャンあるかと思ったんだけど」
「あるわけないっしょ、どんな思考回路してるわけ?」
鈴音が帰って来たので結婚も決まったことで高野と優とで適当なファミレスでお祝いしていた。
優とはたまに連絡を取っていたが高野とは俺が鈴音に何も言わないで別れたことに腹を立てて気不味くなって卒業以来久し振りに顔を見た。
会ってない間に結婚してるなんてな、まぁ俺らもいい歳だしな。
と思っていると優から物凄いヘイト染みた視線を感じる。
「何感慨深く浸ってんだよ? 俺なんかお前と違って全くモテないんだからな!」
「何も言ってないだろ?」
「聞いてくれよ賄さん、こいつってば急にモテ期が来たからって周りからチヤホヤされて賄さん以外の女とも付き合ってたんだぜ」
「へぇ」
こ、こいつ…… 鈴音には俺が何人かの女とこれまで付き合ったってもう告白済みだが本人から聞くのと他者から聞くのでは何か感じ方が変わるようで鈴音の目が座る。
「そりゃあちんちくりんだった宮下がこんだけ背も高くなってイケメンになってたらモテるわよねぇ〜」
「へぇ〜」
高野がノッてくると更に鈴音は目を細めて声が低くなる。
「い、いや、俺もあの時期鈴音と別れた時自暴自棄みたいになっててさ、ちょっとおかしかったんだよ」
「あたしは椿君しか考えてなかったのに」
ま、マズい……
「男ってさ、そこら辺のメンタル弱いから多少は仕方ないとこあるけど。 多感な年頃だったじゃん」
「でもさ、こいつ社会人なってもバリバリ彼女居たよな」
「い、いないいない! そんなにいなかったって」
「へぇ、ふぅん……」
ヤバい、鈴音が段々落ち込んできた。
「こらバカ! いつまで言ってんのよ、そんなんだからあんたは彼女も出来ないの! ほらほらスズ、元サヤに収まったんだからさ、やっぱ宮下もスズにベタ惚れだったってことじゃん」
すかさず高野がフォローを入れる。
お祝いだったのに危なくお通夜な雰囲気になるところだった。
「そうそう、俺もこいつには賄さんしかいないなぁって思ってたよ」
「今更なんだけど……」
俺の脚に向かいに座っている鈴音の靴が当たった。 鈴音が頬っぺたを少し膨らませて俺に脚でグイグイ攻撃されている。
「椿君、ちょっと後でお話が」
鈴音からゴゴゴゴゴッと聴こえそうなくらいの圧を感じる。
あッ、これ終わったら尋問タイムだ。
「そういえばスズは宮下といつ結婚式挙げるの?」
「えッ? ええっと……」
ナイスフォロー高野!
「そうだぞ椿、俺もちゃんと呼べよ?」
「ちゃんとご祝儀くれよ」
「なんつー意地汚さッ! こっちは祝ってやるっていうのに。 賄さん、こいつとの結婚考え直した方がいいぜ!」
「それはありえないけど」
「冷たッ!! 冗談なのに」
鈴音は優の冗談に低い声で真顔で答える。
「あははッ、もとあと言えばあんたがスズを怒らせるようなこと言ったんだもんね! ねぇスズ」
「お、怒ってないよ」
なんかこういうのも久し振りだ、鈴音が居なくなってから高野も俺と鈴音のことでちょっと距離が開いたっていうか。
「ねえスズ、馴れ初めとかのエピソード大丈夫? ここらで練習しといた方がよくないない??」
「ええッ!? ここで? 椿君達もいるし……」
「なんだなんだぁ〜? ちょっとあっち行ってコミュ力上昇したと思ったらこの手の話になると昔のスズじゃんね! 宮下」
「お、おう……」
いや俺もめっちゃ恥ずかしいんだけどその件……
「な、なんかやっぱり賄さんって凄く美人で可愛いよな」
「なんだお前はいきなり」
何故か優が紅潮している。
「さてさて、スズが宮下に惚れたのは何故ぇ〜ッ!?」
「お前めっちゃ軽いな」
「賄さんめっちゃ可愛いな」
「ほ、ほんとにここで言うの!?」
鈴音は俺達に注目されたので仕方なく観念したように話し出した。
「あたしが椿君を好きになったのは…… ええと、その」
鈴音から言葉が出てこない、まさかよくよく思い返してみたらなんで好きなんだっけ? とかのパターンかと思って変な汗が出て来た。
「ほらほら、頑張ってスズ」
「あ、あたし……」
チラチラと鈴音と目が合うけどこんな時ウインクでもすれば良いのだろうか? と焦る。
「あたし椿君のことが好きッ!」
「いや声デカッ!! しかもそれ馴れ初めじゃ」
かなりデカい声で鈴音がそう言ったのでファミレスのガヤ音が一瞬止まる、そして俺達の空間も一瞬停止する。 だが……
「つ、椿君は?」
「お、俺も好きだよ」
俺は控えめな声でそう言ったと同時にファミレスの空気も戻る、しかも何故か拍手付きで。
「えへへ」
「あ、あれれ? スズ〜ッ??」
「2人の世界に入りやがった」
鈴音は言ったのを満足してるかのようにまるで周りが見えていないようだった。 が、後から高野につっこまれて恥ずかしさのあまり何度もテーブルに頭を打ち付けていた。
その帰り……
「椿君あたし死にたい……」
ファミレスから出る時に俺と鈴音に向かって他の客からおめでとう、お幸せにとエールを貰ってまた鈴音が恥ずかしさMAXになったのは言うまでもない。
「でもこれでさ、結婚式の時とかなんか言う耐性ちょっとついたんじゃないか?」
「…… そういう考え方もあるけど椿君はあたしのこと本当に好き?」
このタイミングで本当に好きとか言われると俺は全然好きなのに鈴音は何か冷めてしまったんじゃないかと思ってしまう。
「当たり前だろ? どうして??」
「あたしってあれから12年経ったのに全く成長してなくない?! ううん、再会した時はちょっとだけ流暢に話せますよ的な雰囲気出してたから余計に恥ずかしい、どっちかっていうとあの頃より今の方がドキドキしててあたし成長したどころかなんか…… だから椿君をあたしにがっかりしたんじゃないかって」
ホッ、そういうことか。 でも俺もそれが聞けてちょっと安心した。
「同じだよ」
「??」
「俺も鈴音と再会してから前より鈴音にドキドキしてる、こんな風に思うことってもうないんだろうなって思ったけど違った。 それは鈴音だからで俺は鈴音にしかこんな気持ちにならない」
「椿君…… あのね、あたしが椿君を好きになったのはね…………」
それから高野や優と居た時は恥ずかしくて言えなかったことを鈴音は俺に話した。
「はぁ…… 言えた、椿君しかいないけど」
「…… 鈴音、式ではもうちょっと端折ろう。 俺も聞いてて恥ずかしくなった」
「ひ、酷い椿君!」
「違うって。 そうじゃなくて」
あまりにも話してた時の鈴音が可愛くて愛しくてそんな鈴音を他のやつらに見せたくなくて…… だから独占欲みたいなのが出ちゃったのかもしれない。
そう鈴音に伝えると鈴音は脚をジタバタとさせて俺の服を摘んで額を胸にくっ付けられた。
「もう…… 大好き」
そして式の日も決まってそれからはいろいろとすぐにことが進み結婚式当日。
「汝健やかなるときも病めるときも喜びのときも……」
牧師が決まり文句の誓いの言葉で俺と鈴音に問う、だけどそんなの言われる前からとっくに決まってる。
「はい、誓います」
番外編含めてこれで終わりです。 タイトルは他でも掲載していたので総合性を取るために少し訂正させていただきましたm(__)m




