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「賄さん楽しかった?」

「うん、あたしは。 みんなはどうかわからないけど」



高野と優と別れて賄さんと俺は今一緒に帰っていた。 賄さんは周囲を少し気にしながら歩いてるけど人通りが多いところも俺と一緒だった。



「良かったの?」

「何が?」

「今までずっと避けてたじゃん、こんな風に一緒に帰るとか」

「うん、でもあたしもこのままじゃダメかなって思ったから。 しーちゃんもあたしのために今まで付き合ってくれてたけどホントはさっきみたいに友達だって思ってくれる人と何も気にしないであたしが遊べたらいいなってずっと思ってたと思う」

「そっか」

「でも原田君ちょっと怖がってたみたいだったしそもそもあたしと原田君って友達って言えるほどでも……」

「それでいいんじゃない?」

「え?」

「今はそれでもこれからじゃん。 それに優だって賄さんと遊んでみたいって思ってたんだからさ。 あいつもそれなりに楽しそうだったし」




そう言うと賄さんは立ち止まった。



「あたしも少しは変われるのかな?」

「賄さん…… 俺もそういうのってよくわからないけど。 うん、変われるよ。 賄さんがそう思うならね」

「褒めて」

「ん?」

「み、宮下君に褒められると頑張れるような…… 気がする」



う…… 嬉しい。 けど褒めるって何すれば?



「偉いね?」

「パパは頭撫でてくれた」

「こ、こう?」



賄さんの頭を撫でてみた、賄さんが俺にやったように。



「えへへ、恥ずかしい」

「俺も」



それから賄さんは確かに少しずつだけど変わっていった、クラスの女子とも前より多く話すようになっていって友達も増えていく。 まぁ前薗とは相変わらずだったが。





そうして月日は流れてあっという間に受験のシーズンになった、賄さんは高校はどうすればいいのかうちの親に相談したがうちの親もあっちの両親との連絡を取って賄さんが行きたいところでいいということになったので賄さんはどこの高校に入るのだろうと思っていたが……



「え? 俺と同じだね」

「うん、しーちゃんもそこに入る予定だったしあたしも宮下君と一緒の高校だったならそこがいいし」



あれ? 賄さんの好きな人も同じ高校なのかな? そう考えたけどそれはあんまり聞きたくいやと思い賄さんもとりあえず同じ高校に入るんだということで俺は嬉しかった。



そして受験も無事に終わり春になって高校に通うようになると賄さんとは違うクラスになったが賄さんは新しいクラスでちゃんと友達も出来たみたいだ。



「あ、宮下君」

「どうしたの賄さん?」



隣のクラスから賄さんが俺のとこに来た。 そして賄さんは近付いてコソッと俺に言った。



「どうしたのじゃなくて次の時間宮下君現国でしょ? 教科書持って来てる?」



そう言われたので確認してみると……



「あ…… ないや」

「でしょ? 昨日勉強してからあたしの部屋に置きっぱなしだったもん。 はい」



賄さんは後ろに回してた手を俺に見せると教科書があった。



「ありがとう」

「うん」



俺に教科書を渡すと賄さんは廊下で待っていた高野と友達のところに戻っていった。 するとクラスの男子が俺のところにやってきた。



「なあ宮下、思ってたけどお前あの賄と仲良いよな? つか超美人だよな」

「まぁ同中だしそれなりにな」

「なんか付き合ってるみたいに見えるけど違うのか?」

「違うよ、賄さん好きな人居るみたいだしさ」

「へぇ、そりゃ残念だな、まぁお前もそれなりにモテるみたいだし問題ないか」



何が問題ないんだよ? 俺が好きなのは賄さんだから問題大ありなんだよ。



授業が終わり昼休みになると別のクラスから優がやってきた。 優も同じ高校だけどクラスは賄さんと高野以外はバラけてしまった。



また賄さんと同じクラスになりたかったなと思ったけど同じ高校だしまぁいいか。



「おーい椿、売店行こうぜ」

「えー、宮下君今日うちらとお弁当食べようよ」



どうやら本当にモテるようになってしまったみたいでこうしてクラスの女子からもお声が掛かる。



「こ、この! 椿、お前だけバラ色の学園生活じゃねーか!」

「はぁ、ごめん。 優と食べるって言ってたからさ」

「え〜!」



やんわりと断って売店でお昼を済ませると賄さんと高野達が俺のクラスの廊下に居た。 高野は俺を見掛けると少し怒ったように話し掛けてきた。



「あ、やっと戻ってきた」

「何してんの?」

「何ってお昼一緒に食べようかなって思って誘おうとしたのにあんたが居ないからさ、ねぇスズ」

「あ、うん」

「へえー、宮下君って近くで見ると結構いいじゃん。 背も高いし、180以上ある?」

「うん、まあそんくらい」



賄さん達と一緒に居るのは高校で仲良くなった木ノ下ゆかり、こいつとは初めて話すな。



「ふぅーん、やっぱいいかも!」



木ノ下の手が伸びてきたと思うと高野が割って入った。



「ちょっと待った! ゆかり、あんた何しようとしてんの?」

「触ってみようかと。 ダメ?」

「ダメダメッ! 何されるかわかんないわよ!?」



ひでぇ……



「別にそれもいーかも! なんて」

「お、俺ならいいけど!?」



そう言った優を木ノ下はチラッと見るが……



「…… なんかこっちは普通。 いや普通かな??」

「んなッ!!」



哀れ一蹴。



「ダメだよゆかり、原田君も一応あたし達の友達なんだし」



賄さんが優を慰めるなんて変わったよなぁ。



「お、おお…… 賄さん、やっぱり俺賄さんだけ」

「一応って言われてんの聞いてないのあんたは」



そんな中賄さんは俺のとこに来ると……



「ねえ宮下君、次は一緒にお弁当食べよ?」

「うん」








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