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「いやー、やっと学校から解放されるぜ」

「だな、お前の僻みも聞かなくて済むし」

「ひでぇぞ椿!」



今日で学校は終わり夏休みだ、進路とかいろいろあるけど休みだ。



「優、どっかに遊びに行く?」

「じゃあ俺の家に来いよ」



ということで優の家にお邪魔しに行こうかと思うと……



「宮下ぁ〜!」

「なんだ高野じゃん。 あ、賄さんも!」

「ちょっと原田、なんだは何よなんだは!? てか宮下に話し掛けたのにあんたの反応は別に求めてないし」

「んだよひでぇな!」

「ところで宮下今暇?」

「ああ、これから優の家に遊びに行こうかなって思ってたんだけど」



優が居るのに賄さんと一緒の高野が話し掛けてくるなんて珍しいな。



「んー、そっかぁ。 じゃあなんも予定なしってことだね」

「いやいや、椿は俺と遊ぶから予定ありだろ」

「ないようなもんっしょ。 だったらさ、うちらと遊ばない?」



な、なんだって!? ついに高野から一緒に遊ぼうなんて誘いがきてしまった。 優が居るけどいいのかな? それに賄さんはそれでいいのか??



「あ、遊ぶ遊ぶ! それって賄さんも一緒ってことだろ!?」

「まぁそうだけどねぇ。 ね? スズ」



高野が賄さんに言うとコクンと頷く。 いいんだ? どういう心境の変化なんだろう? あれだけ俺や高野以外とはそんなに関わろうとしなかったのに。



「やったぜ! 当然椿もOKだよな? な!?」

「ああ。 いいならいいぞ」



と高野に目配せするとうんうんと大丈夫みたいだった。 



「なあー、知ってっか高野、賄さんと椿って親同士仲良いんだってさ」

「そんなの知ってるし」

「でさ、去年だったか夏休みに椿の家に行ったら賄さんも居たしでビックリだった」

「そんなこともあるでしょ」



高野は事情を知ってるから優の言うことを無難に流しながら聞いている。 だが賄さんはいまだ一言も喋ってない、大丈夫だろうか?



「賄さん、俺一回賄さんと遊んでみたかったんだよなぁ」



優がそんな賄さんに無謀にも話し掛ける。



「ひッ!」



優が怖気付く声をあげる、賄さんを見ると上から蔑んでいるような目で優を見るからだ。 



優はビビッているがあれは賄さんがどうしていいか戸惑っている時の表情だ。 なんせいきなり話し掛けたしな、まぁ優はそんなの知る由もないが。



「…… そうなんだ」

「あはは、はい……」



ボソッと呟く賄さんに何故か敬語になる優は去年の夏休み最初の頃の俺を見ているみたいだった。



わかるぞ優、心折られそうになるよなそれ。



「怖ぇよ賄さん」

「そうか?」



コソッと優は俺に言うと賄さんはその様子を目線だけこちらに向けて見ていた。 



せっかく話し掛けられて話したのに引かれてショック…… みたいな感じだろうか賄さんは。



でも慣れてない人だと賄さんは返す度にぶった切るようなことしか言わないので仕方ないんだけど。



「あはは、スズに警戒されてやんのー」

「うるせぇ! で、ここまで来て結局どこで遊ぶんだよ?」

「んー、どうしよっかスズ?」



賄さんが決めるのか? それって大…… いやまぁ賄さんのことだからカラオケとかにはまず行かないだろうしワーキャー騒ぐような場所はまずありえなそう。 



「あそこ」

「あーまたここね。 いーよ」

「遊ぶって…… 図書館じゃん」

「そだねぇ、ちょっと漫画少なくて食べる物置いてない漫喫だと思えばいいでしょ?」

「じゃあそれって図書館じゃん……」

「だあーッ、うるさいなぁ原田は! スズが決めたんだからいいでしょ!」



そんな優を見ていた賄さんは……



「やめる?」

「い、いえ…… ここでい、ここがいいです」



またしても冷え切った口調の賄さんに圧倒されて図書館に行くことにした。



「はぁー、久しぶりにこの漫画でも読んでみるか。 つーかマジで漫画あんま置いてないのな」

「ホントだ、読んだことあるようなのばっかだな。 俺もこれ読んでみるか」



漫画を数冊持ってくとちょうど4人座れるテーブル席に賄さんと高野は座っていた。 賄さんは本を既に選んで読んでいるが高野はスマホを弄っている。



「高野は読まねぇの?」

「あー、ここの漫画大体読んだし。 それ以外に読みたいのあれば気分で読むよー」



てことは何度かここに賄さんとこいつは来てるのか。 



「賄さんは何を読んでるの?」



俺が試しに聞いてみると賄さんは本の表紙をこちらに見せた。 『裏世界の支配者達 暴かれる陰謀』…… そうだった、賄さんこういうの好きだったんだ。



「面白い?」

「うん」



賄さんは油断してたのかはたまた高野が空気だったのかニコッと微笑んだ。



「お、おい! 賄さんが笑った」



優がそんな賄さんを見て驚愕していると賄さんはやってしまったと言わんばかりに口元を手で隠した。



「当たり前でしょー、スズだって結構笑うんだから。 ねぇ宮下?」

「え? あ、ああ?」

「お前そんな賄さんと仲良いの?」

「何バカなこと言ってんの? 見りゃわかんじゃん」

「な、なにぃ〜!?」



…… おいおい、そんなこと言っちゃっていいのかよ?



ユサユサと俺の肩を掴んで思わず大声を出す優の頭に本の角が当たる。



「いってぇ!」

「ここ図書館なんだからね、静かにしなよ」

「くそ〜、椿! いつの間に賄さんと仲良くなったんだ? …… ま、まさかちょっと背が高くなっていきなりモテるようになって、それで賄さんを!?」

「ブ〜ッ! スズはそういうので判断しません」

「え?! じゃあ俺は? 俺はどう賄さん!」

「……」

「うッ……」



改めて客観的に見ると賄さんめっちゃ怖い目付きで睨んでるなと思う。 睨んでるわけじゃなくて賄さんは必死になんて言おうか考えてるだけなんだけど。



「普通……」

「普通って…… どういうことだってばよ?」

「良かったじゃん原田、嫌われてないってことじゃん」

「そうだな」

「え? 何これ? 喜んでいいの? ははッ」



優はなんとなくその場の雰囲気で笑うが普通って…… 賄さんらしいけど。



でも思ったより優と高野も楽しそうだ、賄さんも普段ならこういうことなんてないから楽しんでるのかな?





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