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はぁー足取りが重い。 物凄ーく申し訳ないけど俺は2回告白を断ってる、そして今回ももしそうなら断ろうと思う。



理由は簡単だ、俺はもうこの10ヶ月で賄さんの存在が自分の中でとても大きなものになっているからだ。 



凄く、凄く好きだ賄いさんのことが。 少し前の俺は家族と一緒だから恥ずかしいし…… ぶっちゃけ今でもそうだが。 だけど賄さんとそういう仲になれるならば! とは思っているんだけど何しろ今まで一緒に暮らしていくうちに逆にそう言うことを、告白しようとすることに躊躇してしまっているんだ。



タイミングとかこれまでに何回かあった、けどもし賄さんが、いや! 俺に対して少なからずは好意を持っているってのはわかるんだ、なのに賄さんはそんな感じをたまに見せてくれるんだけど……


 


 

◇◇◇






「あたし…… 今のままで十分。 凄く楽しいから、宮下君のところに来れて良かったって思ってるよ」





◇◇◇





クリスマスの時賄さんにサプライズで腕時計をプレゼントした時に賄さんはそう言った。 



俺はそれを言われて硬直してしまった、何せその後告白しようと思っていたから。 今のままで十分…… それは今のまま、俺の中ではどっち付かずの状態が賄いさんにとって一番良いってこと。



だから告白なんてしたら賄さんとの関係に亀裂が入りダメになってしまうかもしれない、だから俺は賄いさんに告白したくても何も出来ない、だったらこのままでいいじゃないかと自分に言い聞かせていた。



考えるに多分賄さんの好意ってのは俺と同じく家族みたいな情とかそんなんと似たようなもんで心を開いてくれてるって思ってたのも多分それで。



俺は危なく自分で自爆するところだった、セーフ! セーフだったぞあの時の俺…… なのにプレゼントが腕時計とかって重くないか俺? 賄さんは結構喜んでくれて渡してから毎日つけてくれてるけど。




でも僅かばかりの希望が心の片隅に残っていてこうしてちょっと前の俺ならありえない告白なんて天にも登るような展開なのに待ったをかけているのかもしれない。



俺は同じく賄さんからクリスマスに貰ったレザーのブレスレットを見つめた。 賄さんは「何を渡したらいいか考えても全然わかんなくて…… 」と俺と同じく腕に付ける物で被り少し気不味そうにしていたのを覚えている。



まぁ俺は全然嬉しいんだけど告白も出来ないしもはやしてもいいのかすらわからないし。 なんて今は目の前のことをなんとかしなくちゃいけない。



化学室に近付くと女の子が1人壁に背中を当てて待っていた。 そして俺を見ると来てくれた! という感じでニコッと微笑んだ。



「良かった、来てくれてありがとうございます。 宮下先輩」



ちょうど去年のこの頃の俺くらいの身長でセミロングを緩く内巻きに巻いたパッチリとした大きな目で愛くるしい顔立ちで所謂可愛いと表現出来るような女の子が上目遣いで俺を見つめる。






◇◇◇






家に帰り夕飯を食べてスマホのゲームをして時間を潰しているとドアをノックされた。



「あたしだけど」

「ああ、どうぞ」



賄さんはどうやらお風呂上がりみたいだ、パジャマだし。



「お風呂入ってたんだ? 道理で来ないなって思った」



う…… これはキツイな。 賄さんは最近妙に色っぽくなった、去年の来たばっかの時とか動物園に行った時は背も高くて細くてモデルみたいだったのは据え置きで胸が前より大きくなって怒りそうだから言わないけどお尻も少し大きくなって。 



いやそんな言い方だから怒られるんだろ! つまり出るとこ出て更に大人の女性っぽくなっただ。



そして風呂上がりだから尚更色っぽい。



「うん、なんか今日宮下君ちょっと疲れてるような気がしたから少し時間置いた方がいいかなって思って」

「俺そんな疲れてた顔してた?」

「してたよ、お昼休み終わった時くらいから」



ギクッ!! それは呼び出された女の子からの告白を断って気疲れした時で……



「何かあったの?」

「いや…… 何も」



賄さんは「ふぅん」と言うと床に座っていた俺の前に手を置いて俺の顔を覗き込むように座った。 近い……



賄さんの肩から髪の毛がサラリと俺の腕に触ると同時にフワッとシャンプーの香りが俺の鼻をくすぐる。



「前にもこういうことあった気がする」

「え?」

「2回くらい。 フラッと宮下君いなくなったり帰りが遅かったり。 その後凄く疲れたような顔して」

「ほ、ほら、最近勉強した後ゲームし過ぎて寝るタイミングなくなって夜中までやってた時あったじゃん、その時じゃないかな?」



苦し紛れの言い訳。 そうすると賄さんは「そんな時だっけ?」と少し顔を横に向けて考える。



てか賄さんの刺激が強すぎる、最近そんな風に色気付いてきた賄さんなのにいつもと変わらない接し方だから俺はドキッとする。



「ねえ宮下君」

「へ? 何??」



こっちを向いた賄さんが少し顔を赤らめていたので更にドキッとした。



「あ…… の、あのね、そのね……」

「は、はい?」

「あ、あた、あたしなんかが何言ってんのってお…… 思うかもしれないけど」



しどろもどろになり口をパクパクさせていたかと思うと賄さんは顔を下に向けた。



「最近…… 最近の宮下君、ね。 ちょっと、ちょっとかっこよくなった」

「え?」

「から! …… 気を付けた方がいいと思う」

「…… 気を付ける? な、何を?」

「あ、や………… えっと、原田君に!」

「優に!? なんで??」

「裏切り者とか言われてるから」

「は、はあ……」



原田かよ!!




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