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「じゃーな」

「ああ、じゃあな」



はぁ、今日は疲れた。 予想はしてたけど高野の奴目の敵みたいに睨んできやがって。 まぁいいや、とっとと家に帰って飯食って風呂入って寝よう。



そう思って何か後ろからヒヤリとしたものを感じて後ろを振り返るが誰もいない、気のせいだったか。



「そっちじゃないよ」

「え? は?!」



横の道の陰から高野が出てきた。 まさか賄さんも? と思って見るがいないみたいだ。



「スズは先帰ったよ」

「マジか、高野と2人か」

「いやいやそれこっちのセリフなんだけど。 あんたと2人っきりとか幼稚な連中に誤解されたらイヤだからこっち来てよ」



手招きされる方に高野と歩く。 



あーあ、帰れると思ったらまた高野かよ。 そんなに俺って信用ないのか。



そんなことを考えながら歩いていると高野が喋り出した。



「ねえ、宮下ってスズのことどう思ってんの?」

「どうって…… 賄さんは賄さんだろ?」

「そうじゃなくて好きなの、嫌いなの?」

「嫌いだったらもっとこう…… 気不味い感じになってるだろ? だからってそういう風に好きか嫌いかって聞かれると好きな方…… か?」



そもそもそんな好きとかハッキリ言えねぇし! お前そんなこと問われてどう思うってんだ。



「何同じこと言ってんだか」

「え?」

「なんでもない、それにしたってスズもスズよ、そうなったら私に一番で知らせて欲しかったのに。 友達じゃんか私達!」



んー、これは嫉妬ってやつか? 俺を責めに来たけど考えれば考えるほど大の仲良しの賄さんにないがしろにされたと思って。



んでもって少し遅くはなったが正直に話してくれた賄さんに言いたいこともあるけど心苦しくて俺に八つ当たり? だとしたら今日は厄日だなぁ俺。



「ねえどう思う!?」



しまった、全然話聞いてなかった。 



人気のない路地の曲がり角に入った時俺は立ち止まると高野も立ち止まる。



「…… そうなんじゃない?」

「やっぱそう思う? じゃあ明日からスズは私の家に住ませようかな」

「いやいやなんで!?」

「全然話聞いてないんじゃん!! はぁー、こんなんどこがいいのかなぁ」



だよなぁ。 ん…… こんなんどこがいい? それって賄さんは俺をいいと思ってることか?? 賄さんって普段こいつと何話してるんだろう、というか第三者からのこういう情報提供はしっかりとした裏付けってことで受け取っていいんだよな?



「そっか、賄さんちょっとは俺のこと話してんだ」

「は? はぁ〜!? んなわけないでしょ! あんたのことなんか話題に出るわけないじゃん」



いやー、逆にこの状況で俺の話題出てなかったらこういう展開ないと思うけど。



「ああもういいわハッキリ聞く! あんたスズと暮らしてスズのこと好きなんでしょ!?」



うぐッ、ストレートに聞いてきやがった……



「嫌いならもう2度とスズに近付かないでよ!」

「家も一緒で席も隣同士なのにどうやって近付くなっていうんだよ?」

「あー細かいよねぇ男のくせに!」



無茶苦茶だよこいつの言ってること。 どうせ好きとか言ったら「キモッ! 鏡見たら?」とか言うんだろ? でもラチがあかないし……



「はあ…… わかったよ、言えばいいんだろ言えば」

「何その態度? 真剣に答えなさいよ!」

「…… 好きだよ」

「な、ななッ!?」



な、なんだよその顔は? 人が恥ずかしながら好きって言ったのがそんなにキモかったか?



だけどそんな高野の顔をよく見ていると俺の顔より視線が上を向いているようだった。



「へぇ〜」



曲がり角にいた俺の背後から聴こえた軽薄そうな声の主に振り返ると……



「流石(さすが)先輩」



高野が言うと流石先輩は高野にとびきりのスマイルをする。



「やあ、俺のこと知ってるの?」



流石先輩は俺でも知ってる3年生でイケメン、高身長、運動神経抜群でモテることは言わずもがな、それでいてチャラい。



「そりゃあまぁ…… はい」

「君なかなか可愛いね」

「いや、そんなことないです」



高野に対してもうチャラ男モード全開の先輩……



「てかなんか凄いタイミングで居合わせちゃったね」

「あ! えっと別に告白とかじゃないです、ね? 宮下!」

「そ、そうですそうです」

「まあまあ、そう恥ずかしがらなくてもいいよ、俺もこれから彼女に会いに行くしさ。 宮下君だっけ? 上手くいくといいね」

「え?」

「だから違うんですってば!」



流石先輩は高野の否定を「ははは」と笑い飛ばして爽快に去って行った、流石だ……



「あんたのせいで誤解されたじゃないのよー!!」

「俺のせいかよ!? お前がそういう風に持っていったんだろ!」

「…… てゆーかマジで好きなんだ? スズのこと」

「い、いや…… はぁ、ああ、好きだよ。 これで満足か?」

「…… じゃんか」

「は?」

「なんでもないしッ!! じゃあね! これ以上あんたと居たらまた誤解されそうだし!! あー、恥ずかしい」



そう言って高野は早足でその場を去って行った。



なんなんだよあいつは? つーか余計なこと賄さんに言わないだろうな?? 



それから家に帰り部屋に戻る時階段のところで賄さんに会った。



「おかえり、遅かったね今日」

「あ、うん。 ただいま」



階段を登って行くと後ろから何故か賄さんもついてきた。 賄さんも部屋に行くのかな? と思っていると……



「ね、ねえ、今日のこと」

「今日のこと? …… あッ」



もしや例の化学室のことじゃなかろうか? ええ〜、賄さんからその話題しちゃうの?



「……… つ、付き合ったら…… ああいうこと学校とかでもしちゃうのかな?」

「そ…… それは人による?? のかもしれない」



なんだ? それってどういう意味?? 



「あ、ううん! すっごく緊張したよね、見つかるんじゃないかって心臓バクバクした」

「俺もだったよ、まったく高野のお陰で大変だったよね」

「しーちゃんも悪気があったわけじゃないから。 あたしがこんなんだからさ」

「まぁ気持ちはわかるよ、友達の賄さんが変な奴に騙されてるんじゃないかって心配なんだよ」

「あたし騙されてなんかないよ絶対!」

「え? あ、ああ…… そ、そうなの?」



ガシッと肩を掴まれて言われた。 言い方に力が篭っていたので少しビックリした。



「うん絶対そう」

「う…… うん?」



俺が返事をすると階段を降りて行った、部屋に行くのではなかったみたいだ。



ところで今の騙してるの下りって誰のこと? 俺のこと? 







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