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学校の日の賄さんの朝は早い、俺がまだ寝ている時間に起きてうちの母さんと朝ごはんやら弁当の準備して家のことも手伝って。 そんな中俺は賄さんが居なかった時よりも10分だけ早く起きているが……
「あんたのだらしなさ知ったら鈴音ちゃんも幻滅するわよねぇ。 あ、もうしてる?」
「あ、ええっと別に」
「そうだぞ椿、鈴音ちゃんを見習ってお前も早く起きて家のことでもやったらどうだ?」
「そういうあなたこそ」
「うぐッ」
はぁー、ぐうの音も出ないからここから消えたい。 「別に」なんて言ってる賄さんも親が帰って来た途端すっかりお子ちゃまになっちまってる俺に少なからずガッカリしてるかもしれない。
だって実際子供なんだししょうがないじゃないかと言っても賄さんは逆に前よりしっかりしてるような気がするし何故か取り残された感がする。
どっかで見たことあるけど一般的には女の子の方が精神的な成長が早いと。 だからか?
…… てかそんなの引き合いに出すとか情けなくないか俺!?
いやでも賄さんとはかなり仲良くなった気はするけどもし賄さんが来た時のまんまの時だったら今頃どうなってたんだろう? なんて考えても仕方ないな。
「そろそろ学校行かないと」
「え?」
「あ、そうね。 椿もさっさと支度する」
「はいはい」
賄さんが先に出て行き俺が少し遅れて玄関を出ると家の塀からヒョコッと頭が見えた。 玄関のドアが開いた瞬間からこちらを見ている。
「あれ? 賄さん??」
「あ、宮下君」
「こんなとこで何してるの?」
「…… 今日は良い天気だなって思って」
そうか? めっちゃ曇ってるけど…… 賄さんにとってはこれが良い天気なの?
「それとね、別にあたし幻滅とかしてないからね?」
「幻滅?」
「うん。 あ、行かなきゃ」
そう言うとダッシュで賄さんは走り去って行った。
幻滅って…… あ、もしかしてさっき母さんが言ってたこと? わざわざそんなことで??
もう賄さんの姿が見えなくなった道をしばらくボーッと見ていた。
◇◇◇
「よぉ椿」
「なんだよ?」
「昨日のテレビのあれ見たか?」
「あれ??」
朝から俺の顔を見ると友達があれ見たかなんて話してくるけど疑問系で返してる俺にわかるわけがない、というか昨日はテレビなんか見てなかったし俺が気になるのは賄さん…… ってそんなに気にするな、変に思われるぞ。
「うい〜、おはよー」
「あ、先生来たわ」
「相変わらずやる気なさそうだよなぁ」
HRの時間か。 ん?
先生はボックスを持って教壇にそれを置いた。 そして当然それは目をひきクラスの奴が質問する。
「先生何それ?」
「あーこれね、いきなりだけど席替えすることになりました」
「え〜! マジでいきなりなんだけど!?」
「でもいっか」という雰囲気になる。 まぁこの席もつい3ヶ月前に先生が突然席替え提案してこうなんだし。
あれかな? 賄さんが割と前の方の席だから後ろかその周辺の誰かが黒板見えにくいとか先生に言ってたりして。
そんなことで思い浮かぶのは前園だけどまぁ席が変わるならあいつもそれはそれで満足だろうな。
「じゃあくじ引きだから廊下側の人から引いてね」
俺の番が回って来てくじを引いて見てみると心の中でガッツポーズを取った。
やった今回は窓の近くで一番後ろの席だ、超楽じゃん。 後は俺の周囲は誰かな? と気になっているとみんな引き終わったみたいだ。
「じゃあさっさと移動するー」
先生がパンパンと手を叩いて促した。
「え?」
「ッ!? ……」
近くに来て俺の顔を見て一瞬ギロリと睨んで何も言わないその人は賄さんだった。
「ま、賄さんなんだ俺の隣……」
「…… そう」
全然嬉しそうじゃない…… 学校ではそういう感じなのわかってるけどもうちょっとこう何か反応があると思ったんだけど。
授業が始まる前、俺は男子にグイッと肩を掴まれ引っ張られて行った。
「おい椿、賄さんと一緒なんて羨ましいぞ」
「あー、ラッキーだけどさ。 なんか」
「わかるぞ椿」
うんうんといった表情で優が入ってきた。
「何が?」
「俺は見てたぞ、賄さんと一緒の席になって調子に乗って話し掛けたら賄さんに冷たくあしらわれたとこ。 ラッキー半分、気まずさ半分なんだろ?」
「あ、ああ」
そういうことにしておこう……
今回は賄さんは後ろの席だし誰にもデカくて黒板見えないとか言う奴もいないだろうし隣だしこれはこれで良かったのかも。
そして授業が始まり隣の席に座ると教科書を見ていてまったく俺と視線が合うこともなく授業が進んでいった。
「あッ」
しまった、賄さんの方に消しゴムを落としてしまった。 これはスルーされても仕方ないなと思っていると賄さんが消しゴムが落ちた方に姿勢を落とすと……
「はい」
「あ…… ありがとう」
拾ってくれた。 けどこれ以降はまた何もなくその日が終わる。
まぁ…… 隣になったからって賄さんは賄さんなんだし別に何も期待することなんてなかったよなぁ、何浮かれてたんだろ俺?
そう思って家に帰えって来て夕飯を食べて風呂に入ろうとして着替えを部屋から取ってくる時……
「あ、宮下君」
賄さんが部屋から出て来て呼び止められた。
「お風呂上がったらまたケーキあるから食べてねっておばさんが言ってた」
「あ、うん。 わかった」
それを聞いて風呂場に行こうとしたらまた呼び止められる。
「宮下君…… 席一緒だね」
「そうだね、俺隣だと微妙かもしれないけど」
「微妙? ううん、宮下君隣で凄く良かったなって」
「良かった?」
「あ、ええと…… 宮下君だし。 でもごめん」
賄さんが申し訳なさそうに謝ってきた。 何がごめんなんだろう?
「あたし学校ではああだから。 嫌がってるわけじゃないの」
「わかってるよ、変に勘ぐられるかもしれないしね。 それに俺も親と居るとそうかもしれないしさ」
「でもあたし知ってる、2人の時は宮下君優しかったから」
「へ? それって」
「ッ!! お、お風呂入ってきたら? あたしケーキ食べたい」
賄さんはバタンとドアを閉めてしまった。




