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「「行ってきます」」

「2人とも行ってらっしゃい」

「「あ」」



玄関を出たとこで2人とも気付いた。



同じ家から登校するということに。 これは微妙にマズい気がする。



「宮下君先行きなよ」

「それなら賄さんが行きなよ」

「いいよ、あたし歩くの速いから」



そしたら先行ったところで結局追いつかれてしまうような気がする、そういえば賄さんって結構運動神経良くて脚も他の女子より速いんだった。 



前に体育の授業で脚の速さぶっち切りだったとか、伊達に背が高くて脚も長いわけじゃない。



「だったら尚更賄さん行きなよ」

「うーん…… わかった。 あ!!」



賄さんが表情が変わった。



「賄さん?」

「しーちゃん……」

「え?」

「しーちゃん家に迎えに来るかも。 ごめん、やっぱり先行く!」



賄さんはそう言って走ってくと見る見るうちに遠くなっていった。



めっちゃ脚速いな賄さんは。 男子でもあれだけ速く走れる奴なかなかいなそう。



学校に着くともう賄さんは居て高野と一緒だった。 俺はあんまり会ってなかった同級生と久しぶりに話していると……



「賄さんこっち睨んでね?」

「ホントだ、なんか怒ってんのかな?」

「でけぇとか言ってないのに」

「バカ、聴こえんだろ」



あれ? 本当に睨んでる…… ように見えて本人はただ見てるだけなんだろうけど。



「あんたらなんか陰口言ってない?」

「げ、高野」

「なんも言ってねぇし」



お節介な高野が来ちまったし。 俺は知らんぷり知らんぷり。



その日はまぁ問題なく終わり俺は家に帰っていた。 賄さんは高野と一緒に帰るとこだったし多分自分の家に寄って俺の家に帰ってくるんだろうな。



すると軽快な足音が背後から聴こえてきたので後ろを振り向いた。



「ハアッ、ハア〜。 追いついた」

「賄さん!? 高野は?」

「お家のとこで別れたよ、もしかしたら走ったら追いつくかと思ったら追いついた」

「わざわざ走ってこなくても。 誰かに見られるかもしんないのに」

「ここまで来たから多分大丈夫」



まぁもう家はまた鼻の先だけど。



「それより今日あたしのこと何か言ってたの?」

「なんのこと?」



あ、高野が絡んできた時のことかな?



「ええと…… 男子が久しぶりに見たけどやっぱ賄さんは綺麗だなって」



賄さんこっち見てたよね? とか言わない方がいい気がした。



「え? そんなこと? なんだ、てっきりまた大きくなったとか言われてたのかと思った」

「あははッ、ちょっと大きくなったって気付かないよ」

「それなんか微妙にイヤな気分」

「ごめんごめん」



ムスッとした顔をされたので慌てて謝ると賄さんは俺の一歩先に出た。



「ナナフシ」

「え?」



ナナフシだって? めったに見たことないナナフシだって??



「ここだよ、ほら」

「どこどこ?」



賄さんが木の枝を引っ張って自分に寄せると俺にも手を取れと催促していたので手を伸ばすと賄さんは手を離して木の枝は元の場所に戻った、手を伸ばしてみるけど届かない。



あ、これ嘘だ……



「賄さんそれ仕返し?」

「なんのこと?」



賄さんはしてやったりな顔をしている、絶対仕返しだこれ。 というかナナフシとか唐突過ぎだろ、引っかかる俺も俺だけど。



「あのさ、なんか変な感じだね」

「変?」

「こうして学校から帰ってるの。 宮下君の家に一緒に帰るなんて思ってもみなかったな、ちょっと前までは」

「まぁ一緒と言っても家まで目前じゃないと人目に付くからさ」

「うん、でもこういうのもいいね」

「いいの?」

「うん」



なんだろうリア充的な気分になってしまう、これが付き合ってたら下校デートって奴か。 でもそうじゃないんだよなぁ〜。



もし仮に、仮の話で付き合ったとしたら親にもつっこまれるしクラスの連中からもつっこまれていろいろ恥ずかしいしあれこれほじくり返すように聞かれるのもイヤだし。 浅はかな気持ちだったな最初の俺は。



賄さんは今や不意に俺にボディタッチしてくれるくらい仲良くなって…… 仲良くなれば男女でもそういうことくらい普通にするのか? いやでも賄さんだぞ??



例えば今日クラスで話してた女子と男子、普通に男子の肩掴んでじゃれてた女子もいた。 ああいうのと一緒か? だったら賄さんが俺に好意を抱いてるって好きの意味で都合良く捉えてた俺は物凄い勘違い野郎の可能性が。



「え? 宮下君??」



急に肩を掴まれた俺はドキッとする。



「どこ行くの? お家だよ」

「あ……」



考え込んでて通り過ぎるとこだった、めっちゃ恥ずかしい。



「わざとだって思ったら素で通り過ぎてたの? ぷッ、くくッ」



俺の反応を見て賄さんが笑いを堪えていた。 しまった、わざと臭いリアクションした方がよかったわ。



「た、たまにはそんなことだってあるよ」

「あるかなぁ? まぁいいけど」

「賄さんだってこんなに喋るのに学校ではムスッとしてるじゃん」

「それ関係ある? …… でも学校であたしが素で話せるのはしーちゃんと宮下君だけだよ。 だから」



「だから」の後がまったく出てこないのでどうしたのかと思ったら半袖の裾を掴まれた。



「暑いからお家に入ろ?」

「なんかはぐらかした?」

「はぐらかしてないもん」    





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