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ダイエットに失敗した話  作者: きざはし
3/12

梨子はとりあえず引き出しにしまった

注文していた薬が届いた


くるくる回る。地球が回る。時計が回る。季節が回る。つめたい宇宙の風が吹くたびに。



届いた。きっかり一週間で届いた。

手っ取り早く楽に痩せるためにダイエット薬を注文したのだ。

包みを開けて品物を取り出したとき思った

これ気持ち悪い、怖い─


灰色の瓶の中に青い錠剤が入っている。

青なんだけども青って簡単に言える色じゃないって思った。

辛い時に見る夢の極彩色をそのまま現実に持ってきたような・・・・

しかも読めない変な文字のラベルが貼ってある。英語でもない。

普通飲み方の説明とか入ってるよね・・・・

ネットの通販サイトには逆さまに宙を泳ぐ陽気なマッチョマンと土から生えた水着の褐色ガールが商品の紹介をしていた。

体脂肪を猛烈に燃焼させてスタイルがよくなる。体重が落ちる、ついでに性格も陽気になって

友達もできるし恋人も見つかる・・・・そんなことが載ってたと思う。マッチョマンは目から光を放っていた。

怪しい通販サイトからわたしは薬を買った。別に怪しくても飲むつもりだったし。

まさか毒や麻薬を送って来るとも思えない。

いや、そういうことじゃない。

もっとなにか別の気持ちわるさを感じる。

わたしは毒でばったり死ねるのなら別にいいやって思うし、麻薬で頭がおかしくなるのもべつにいいやって

思う。おいしくもない空気を吸って吐いて何十年と暮らせる気がしない。辛い。

なんでもいいけどでも頭だけはっきりしてて身体が動かないとか困るなって思う。

そうなったらわたしなんて捨てられる。ひとりぼっちで糞尿に埋まって死ぬのはいやだなあ


わたしはもう一度薬の瓶をしっかり見てみる。


重たい存在感のある変な青色、生まれて初めて見るような色。知らない色

ラベルに書いている文字はプラレールのように曲がって伸びて別れて繋がっているように見える。

不気味に感じるものはだいたい知らない意味を暗示しているものだ。

人骨なんかは生きてる人間が知りえない死を暗示するから不気味だし

白いなにかが踊っている都市伝説、

あれは踊るなにかが非常に暗示的でしかも何を示しているのかを誰も知りえない─

(だからこそ知ったものは)


わたしはこの薬をどうすべきだろうか?怪しい薬に興味が沸いている。

飲みたくはない。捨てたり送り返したりする気もしない。

少し考えて、わたしは自分の机の引き出しに薬をしまった。

それからユーチューブのエクササイズの動画を見ながらなんとなくトレーニングを始めた・・・・


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