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86 女性(?)の怒り

女性の怒りが凄まじいというのは、古来からずっと続く永久不変の事実。

代表的な例だと、恐ろしい顔といえば真っ先に浮かぶであろう般若の面なんかは、(のう)の世界で怒りや嫉妬心・恨みを抱えた女性の顔を表現したものとして有名なくらい。


それって、少なくともそれくらい昔から、女性が怒ると怖いぞって認識があったってことよな。

どの国でもどの時代でも、いわゆる男尊女卑に近い文化は長く続いていたハズなのに。


近代になって、脳科学だとか心理学だとか色々な研究がなされて、男女の違いについて詳しく正確に判断出来るようになってきたから、表立っての男尊女卑の文化は無くなって男女平等の意見が叫ばれるようになったけれど・・・。


ただ、研究されればされるほど女性の怒りっていうのは、とてつもなく厄介だって事が証明されているのよな。

正確には女性脳の人って言った方が良いか。男性でも女性脳の人は一定数いるらしいし。


怒った時には、動体視力が上がって相手の一挙一動を見逃さずに詰めてくるとか、過去の記憶を正確に思い出して芋づる式に怒りが連鎖していくとか。

実際にそれらを計測して、能力が大幅に上がった事を証明した研究があったとかなんとか。




もう脳のつくりがそうなっているんだから、それを社会的にどうこうしようと思っても矯正するのは難しい事なんだと思う。そう考えると、『女っていっつもこうだ』とか『男ってどうしてこうなの?』なんて嘆くより、あるがままを受け入れる方が本当の意味で男女平等って気がしないでもない。

とても個人的な意見なので、他人にこの意見を押し付ける気は全く無いけれどね。


といっても、人と人との関わりが希薄になった近代では男女云々って意見すら叫ばれなくなったけど。




まぁ、小難しいような研究論とか文化や歴史なんかは置いといて、あくまでもイメージとして大多数の人が思い浮かべる「女の怒り」と共に連想される言葉は「ヒステリック・ヒステリー」なんじゃないかな?


怒っているはずなのに、本人は怒りの感情だけじゃなくてどこか悲嘆(ひたん)している様子もよく見られると思うんだけど。分かりやすいのは、泣き(わめ)きながら怒っている人とかね。


ちなみにあれ、なんで泣いているのか本人もよく分かっていないパターンが多かったりするらしい。

理由が分からないから、ずっと続いて治まらなかったりするんだとか・・・。




それで、何が言いたいのかというと、




ハーレムターキーの(メス)達の怒りが凄まじくて現在大変押され気味です!




最初は一つの群れに対して攻撃を仕掛けたんだけど、どうやらタイミング悪くリポップした他の群れも刺激してしまったっぽい。

戦闘中に紛れ込んできた、別の群れの(オス)をうっかり攻撃しちゃったみたいなんだよね・・・。

全然気付きませんでした、えぇ。ちょっと調子に乗って、視界に映った個体を片っ端から【スラッシュ】当ててたもんだから・・・。


熟練度上げたくて、つい・・・。



そんなこんなで、多数の魔物相手にてんやわんやしながら、引き撃ちならぬ引き斬りしながら何とか猛攻を凌いでいる現在です。

幸いと言うべきか、怒り状態のハーレムターキーは直線的な攻撃ばかりなので、集中して見極めれば多数相手とはいえど、そんなに致命的な事にはならずに済むんだろうけれど・・・。



この雌達、ひたすらにうるさいんだよね。

人間の女性で言うなら、正に泣き喚きながら物とか投げてきているような状態。


しかも個体ごとに微妙に音程が違うみたいで物凄く不協和音。ただでさえ甲高い音で不快だっていうのに。

おかげで見事に集中を乱されております、こちら。



実は鳴き声に精神攻撃属性とか入ってんじゃないの?ってくらい。



これが現実の人間の女性とかの相手なら、対処方法はある程度思いつくけど魔物相手(ゲーム内)じゃひたすら耐えつつ数を減らしていくしか出来ません!



ちなみに、現実ならその場から逃げるのが一番効果的らしいです。実は。

いつまでも視界内に怒りの対象がいると、どうしてもその怒りは治まらないので、何だかんだで視界から消えるのがとても効果があるんだって。


逃げたら誠意が示せないとかそんな事を考える前に、まずは冷静に話し合いが出来る様に一旦落ち着かせるのが解決する近道らしいよ。


交際相手や結婚相手と喧嘩した時は、一旦外に出て何か食べ物でも買って少し時間を置いてから帰ると効果的。泣き喚いた後だとお腹空くから、余計にね。

まぁ、全員に当てはまるわけでもないから、そこはお相手の性質を見極めて欲しいところではありますが・・・。



そんな話は置いといて、魔物相手じゃ逃げる事も叶いませんよねぇ・・・。

何せ相変わらず凄い表情でしつこく追いかけてくるもの。・・・しかも普通にこの表情怖いのよな。

いっそ般若より怖いわ。VRがリアルなせいで、ちょいグロテスクなのが余計に。




「っっと!―やばっ!」



【受け流し】のタイミングをミスって、攻撃をもろに受けたせいで衝撃により体勢を崩された所に別個体が攻撃を仕掛けてくる。


――っ回避!間に合えっ!


咄嗟に転がるように受け身を取って立ち上がる私。

ギリッギリで避けられて一安心、と考える前に更に攻撃が来たのでほぼ反射で斬り捨てる。


いや、マジで危なかった・・・。

あのまま連鎖攻撃で嵌められるとこだったでしょ、あれ。ハメパターン入るってやつ。

ソロでやっていると一番気を付けないといけないやつよな。


っていうか、ホントに攻撃喰らった時のあの衝撃は厄介だなぁ。ソロだとこれからもかなりキツイんではなかろうか・・・?

おそらく痛みを感じる代わりの仕様なんだろうけれど・・・、いっそそのまま痛みに変換してくれた方が私的には助かるかも。いや、実際に耐えられるのかどうかは分からないんだけどね。


打撃系なら割と平気だけど、刺突系とか魔法とか痛みのベクトル違いそうだし。

・・・魔法で丸焼きとか絶対耐えられんよな。




そんなこんなで、余計な事を考えられるくらいには段々と余裕が生まれてきた。よし、残りは四体。


落ち着いてしっかり【スラッシュ】で確実一体ずつ葬って、やっとの思いで戦闘終了。




「ふはぁ~」


思わず気の抜けた息を吐く私。いやー、マジで焦ったねぇ。

ソロだとロクに回復行動も取れないのが本当に難しい。回復薬を取り出しやすい方法考えないとなぁ。



忘れないうちに回復薬を飲んで、解体ナイフを取り出して後処理、後処理。



―キャラクターレベルが4に上がりました―


―スキル【回避】がレベルアップしました―


―スキル【体術】がレベルアップしました―


―スキル【受け流し】がレベルアップしました―


―スキル【解体】がレベルアップしました―




お?

思わぬトラブルで結構苦労したけれど、それ補う程のウマウマ経験値だったみたい。

一角ウサギ相手ならレベルが上がるのは、もう少し先だと思ってたから、終わり良ければ全て良しってやつだね。



ドロップ品を全て回収した後は、また散策&レベル上げ。

回復薬も残り少なくなってきたから、徐々に街に向かって行きつつで。


道中のちょいちょいある採取スポットで、薬草とかもしっかり採取。

主な採取スポットは森の中らしいので、あんまり数は手に入らないんだけどね。それでも無いよりマシだし、スキルも上がるし回復薬も安上がりで済むもの。


・・・相変わらず解体ナイフで掘り起こしているのはご愛嬌。

いい加減スコップ買わないとなぁ。雑貨屋さんではうっかりスルーしてたや。






そうやって徐々に街に向かっていると、チラホラとプレイヤー達の姿が確認出来るエリアまで来た。

街の南側は不人気といえど、近場だとそれなりには活発だ。

ゲームを始めるタイミングは人それぞれという事もあって、たまにログイン初日っぽい行動とかしている人もいるしね。プレイヤー達のレベル差はピンキリだと思われる。


もちろん、サービス開始初日に始めた人達が一番多いから、大体行動範囲は皆被っているけれど、極端な過疎地域とかは今のところ無さそう。街の南側を除けば。

あんまり美味しくない地域って認識がどこかで共有されちゃってるのかな。前に聞いた掲示板とかで。


少し前にフィールドボス討伐云々ってアナウンスあったし、そろそろ次の街ツドルへ向かうプレイヤー達が増えてくるかもしれないなぁ。そうなったらここは少し落ち着くんだろうか。




―ピンポーンー


≪お知らせします。プレイヤーによって『生産の街ツドル』限定クエスト・『異人の弟子入り』が開始されました≫


≪これにより全ての街の生産ギルド・職人・現地住人に弟子入りする事が可能になりました≫


≪『弟子入り』はそれぞれジョブ(サブジョブ)に関連した場所にしか所属は出来ませんのでご注意下さい≫


≪『弟子入り』イベントにて取得できるスキルや称号もありますので、ご興味のある方は是非積極的にご利用下さい≫


≪詳しくはお知らせをご覧下さい≫








弟子入り。


ふと私の頭の中によぎった顔は薬師ギルドのレアさん。



ふむ・・・、アリだな。

今すぐどうこうって訳じゃないけれど、いずれはって話なら全然アリ。

むしろ弟子入り関係なく、ちょこちょこ顔出したり相談させてもらおうと思ってたしね。


いずれ時間が経ってこの街を離れることになっても、たぶん私は定期的にここへ戻ってくる気がする。

なんとなく安心するんだよね。この街。ここで生活している人たちにも。


・・・まぁ、他の街がどんな感じなのかまだ知らないんですけど。





そんなこんなで、街の近くまで戻ってくると段々と長閑だった草原の雰囲気と打って変わって、人々の気配がひしめき合う喧噪が感じられる。

しばらく静かな場所に居たから余計に騒がしく聞こえる気がする。



・・・いや、実際にめっちゃ人多いな!?


何事ですか!?







お読みいただき有難うございます。

誤字脱字報告受け付けております。是非ご指摘ください。


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