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83 自覚あります?

大変遅くなりまして・・・。転職してバタバタしております故、今後も緩くお待ち頂けると幸いです。

外で野宿する為のテント、周囲に灯りをともす為のランタン、それからシンプルな寝袋に簡易たき火セット、雑貨屋で店員さんから聞いた野営に最低限必要な設備はこれくらい。

もちろん、快適さや利便性、予算の都合などを変えれば他にも色々ある。



基本的に外で寝泊まりする事なんてほとんど無いハズだけど、一応ね。ログアウトするのは宿屋でするつもりだし、長距離移動するわけでもないから現時点では本来必要ないんだけど。

それでも何があるか分からないし、もしタイミング逃して街に戻る事が困難になった場合を考えて、おススメしてくれたものを購入してみたわけで。最低限必要なものだから、費用もそんなに掛からないし。


それに・・・街に戻るのが面倒くさくなったりしない、とは言い切れないしね。



「一応確認だけど、夜の森には入る気無いんだろう?もし森の中で過ごす事を考えているなら、モンスター除けの松明もあった方が良いんだけどさ」


「松明ですか。しばらくは草原でレベルアップを頑張るつもりなんですけど・・・」


「そんなら大丈夫かな?草原と違って森にいるモンスターは夜になると活発になったり、人の気配に積極的に寄ってくるやつも居るから。テント張ったり、たき火してると逆に危険だったりするんだよ。松明があれば寄ってこなくなるんだけどさ」


「なるほど。それならある程度レベルが上がったら、また松明を買いに来ますね」


「ああ、その方が良いと思う。無駄に荷物で圧迫させても意味ないしな」



いくらインベントリがあっても、魔物を討伐した後のドロップ品や道中で採取した素材を持って帰る事を考えれば、出来るだけ荷物は少ない方が良いもんね。

ただでさえ飲食物で圧迫されがちな私のインベントリは特に。




雑貨屋さんを出て次にした事といえば、訓練場でいつもの鍛錬。

外に出る前の準備運動を兼ねてってところかな。



軽いランニングで体を温めた後は、【瞬歩】と【縮地】を混ぜ込んでステップを踏み、その勢いのまま剣を振り下ろす。

うん、なんかイケそう。


何の根拠も無いけれど、自信が出て来た。

変にビクビクするほうが失敗しやすいし、これはこれで必要な思い込みだよね。

・・・一番最初のフィールドで、そもそもビビる必要無いっていうツッコミが聞こえてきそうだけども。




無駄に自信を持ったまま、草原フィールドの玄関口である東門の方へと歩いていくと、建築現場クエストでお馴染みの屈強な男性達の姿がちらほら。

私が知っている現場と様子が一変していて、どうやら解体作業が終わりを迎えそうな段階らしい。

既に建築物は全て瓦礫となっていて、ガンガンドンドンとハンマー等で大きな物音を立てることが無くなったせいか、少し活気が失われたような・・・。


後片付け作業のみという事もあってか、人数もだいぶ少なくなっているし、基本的に運びだし作業だから声掛けも必要ないからかな?



・・・っていうか、作業にあたっている人達の顔がとても鬱々としているのがちょっと気になるんですが。


解体作業の時はあんなに皆張り切っていたのに。

本当に片付け作業が嫌いなんだろうな・・・。結構重労働である事に変わりは無いと思うんだけど。



「ぐっ・・・お、重い~・・・、くぅっ!っはぁ!はぁ、はぁ・・・握力無くなりそう・・・」


「はぁ、んんっ!・・・よいしょっ!・・・はぁ、ふぅ・・・あれ、まだこんだけ・・・?」


「・・・えーっと・・・?これは・・・こっちだろ?あ?こっちか・・・?お???」




・・・あれだね。無計画に手出してるから作業がとっ散らかって全然進まないタイプ。

しかも全員揃って。


解体作業はちゃんと順序決めて行っていたのに、片付け作業は手当り次第になっちゃって余計に時間食ってるわ。

以前、職人さん達を統率していた親方さんとか、現場監督っぽい人とかの姿が見えないのも原因なのかな?それぞれの判断で動いているから、息が合わなくてしっちゃかめっちゃかな感じ。



・・・っていうか、もしかして作業しているのは職人さんじゃない人もいるっぽい?


厳つい男性ってだけで職人さん判定したけど、よく見たら装備が冒険者よりだな。革の胸当てとか職人さんは付けてなかったもの。


ただでさえ片付け作業を苦手としている職人さん達に日雇い冒険者が混じっているのなら、それは意思疎通出来なくてしっちゃかめっちゃかになるわな。

完全に他人事で観察している私でもちょっと気の毒に思うくらい。



まぁ、そんな事を思っていても今日は手伝うつもり無いのですがね。

何せ今日は初フィールド進出。もう私のノリは外に出ることに向いているから。ゴメンよ。うん・・・、頑張って下さい。




東門から一歩外へ踏み出すと、途端にそよ風が優しく私の髪を躍らせていく。

現実と違って長髪にしているからか、首元を撫でる髪の毛が少しくすぐったい。


街中は石造りの建物が多く、そこまで背丈の高いものは無かったからゲームにログインする度、地味に空が広くて気持ち良いなぁなんて思っていたのだけれど・・・。


視界に遮るものが無い草原に出ると、それはより顕著に感じられる。

チュートリアルの時にも同じ事を思った事を覚えているけれど、しばらく街中にいたせいか改めて感動している私です。




・・・うん、草木の香りっていうのも改めて感じられているかも。

土や鉄の香りは散々街中で味わっていたけどさ。あと肉を焼く時の炭の匂いも。



思わず深呼吸する私。

森林浴ならぬ、草原浴だけど充分気持ち良い。何も無い所で浴びる太陽光っていうのも合わせるとさらに。




さてさて、そろそろ癒しの時間は終わりにして、行動に移すとしようか。

今日の目的はとりあえず、ひとつでもレベルを上げることかな。たぶん最初は必要経験値も少ないだろうから、ほぼほぼ確実に出来るだろう。


きちんと整備された道路ではなく、多くの人が通って土が踏み固められて出来た道を辿りながら周りの様子を少し窺う。

当然ながら他のプレイヤー達も草原フィールドに繰り出しているから、出来れば少し人目に付きにくい場所があれば良いなぁ、とキョロキョロ見回す私。

広大なフィールドなだけあって、多少遠出していくとかなり人もまばらになってきた。



もう少しだけ歩いて、遠目に人が居るのは確認出来るけど細かい動作までは把握出来ないような場所まで来た所で足を止める。



うん、ここら辺なら良い感じっぽい。


草原に出現する魔物は昼間は主に一角ウサギ。チュートリアルでも倒した魔物だね。

【気配察知】によれば、周辺にはポツポツと魔物がいるとの情報が。レベル1だからまだ何の魔物なのかはハッキリと分からないけれど、とりあえずの出たとこ勝負。


ひとまず目視出来る所まで歩いていくと、やはりそこには一角ウサギが。


幸いにも初心者に優しく1匹だけのよう。

一呼吸入れてアクティブ状態になるところまで詰め寄る私。



範囲に入った途端、あの醜悪な表情に切り替わる様はやっぱり少し怖い。

飛び跳ねながらこちらへ向かってくる一角ウサギに正面から向き合ったところで気付く。




私・・・武器装備してなくね?



「っ!ちょっ、まっ!―――ぁっぶな!」



剣を構えようとして、装備し忘れていた事に気付いた瞬間に突進攻撃してきた一角ウサギを、咄嗟に【瞬歩】でギリギリ避けつつ何故か拳で殴りつけた私。

狙ってないけど綺麗にカウンター入って吹っ飛んでいきましたね・・・。



でも、マジで危なかったぁ・・・。

初手死はちょっと勘弁ですよ?いや、1発くらいなら受けても死なないと思うけど。


動揺を隠しきれ無いまま慌てて剣を装備し直したところで、吹っ飛ばされた一角ウサギが振り返ってもう一度私に向かってくる。心なしか殴られて怒り狂ってるように見えてしまったよね・・・。




今度は飛び上がって来た所を剣を振り下ろして一刀両断。


ふぅ・・・、いや焦ったぁ~。

っていうか、よく咄嗟に拳が出たな、私。・・・あれか、【格闘術】のおかげだろうか。そういや人形相手にしてる時なんだかんだよく素手でも殴ってたっけ。魔物相手に披露する気は全く無かったけど。


それよりも、むしろ戦闘する気マンマンなのに、なんで剣を装備していないんだ私は。






・・・ちょっと私、[剣士]としての自覚も自信も無さ過ぎでは?




浮かれて色々と空回っている事だけはたった今自覚しましたけれど。





お読み頂き有難うございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 投稿お疲れ様です。今回もすごく面白かったです!転職大変だと思いますが思い頑張ってください!
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