53 明日の準備
シークレットクエスト疑惑の会話を聞いておきながら、当たり障りなくこの場を去ろうとしている私です。
何故ならもうすぐログアウトしなければならないから!
そろそろ寝る時間なのですよ・・・。気持ち的には全然夜更かししたって良いんだけど、翌日の事を考えるとちょっとね・・・。
それならとっとと就寝して早起きした方がずっと良いハズ。
なのでそろそろ会話を止めたいんだが・・・。
「大体アンタ普段から力加減おかしいのよ。一体どんだけ備品を壊せば気が済むの?」
「何言ってんだ、お前だってしょっちゅう壊すじゃねえか!?俺は替えがいくらでもある武器だけだろ?お前は魔法付与されてる的とか人形とかばっかり壊してんじゃんか!」
「アタシが壊したのはたったの3回じゃない。アンタは数が多すぎんのよ」
「だとしても!修繕費は俺とどっこいどっこいだろ!ギルド長が涙目だったぞ!」
「・・・それは初耳」
「俺もこの間聞いたばっかだけど・・・」
2人はどうやら壊し屋筆頭・・・?
個人的にはちょっとその被害額が気になるところです。
あとギルド長は苦労性な雰囲気。
まぁ、そんな事は後で良いとして。
「ノーランさん、ヘレナさん、私はそろそろ時間なのでお暇させてもらいますね?」
「ん?おぉ、そっか。わりぃ、ほったらかして。あ、さっきの訓練だけどな、大体【ブレイク】100回分の熟練度になってるから。んで、今度レベル10になったらまた俺の指導が受けられるようになるぞ。それが最後になるかな?もし新たに【大剣術】を取得したら、また俺の指導が受けられるけどよ」
「ええ、わかりました。ちなみにまた指導とか関係なく訓練にお付き合い頂く事は可能です?」
「おう!それはいつでも歓迎すんぞ。お前の訓練に付き合ってたら対人戦のコツ掴めるかもしんねぇし」
「・・・手加減する努力だけはお忘れなく」
むしろ私が彼に手加減を教えることになりそうな予感・・・。
一応ヘレナさんが居る時間帯を狙おうか・・・?
「出来る事ならアタシが居る時間帯にしておきなさい・・・」
さりげなくポソッとヘレナさんが私に助言してきた。
やっぱり貴女もそう思います・・・?ちょっとどころではない不安感が拭えないのよな。
いや、ノーランさんには防御に徹してもらうとか方法はあるんだろうけど。
ヘレナさんに声は出さずに同感の意を伝えて訓練場をあとにする。
ちなみに全然関係ないけど、ヘレナさんが耳元に近寄って来た時に良い香りがしてちょっとドキドキしちゃった。
嗅覚がきっちり再現されていると、色々と誘惑が多くて大変。
大体が焼き串の匂いの誘惑だけど。
【抵抗:誘惑】とかってスキルあったりしたら是非取得したいところ。
誘惑を受け続けてずっと我慢していたら取れたりするかな?
そもそもゲームシステム的に、何をもって誘惑とするかの判定がわからんけど。
少なくとも食欲への誘惑の判定はきっと無いんだろうな・・・。
割とどうでも良い事をつらつらと考えながら宿屋に到着。
ベッドに寝っころがってログアウト。
急いでお風呂の準備して夕飯作り。
なんとなく野菜が食べたくなってボウルにレタスと水菜をドン。
今回は青じそドレッシングでさっぱりめ。
サラダのドレッシングは同じメーカーの色んな種類が冷蔵庫にストックされている。
地味に気分屋なせいでコレ!っていう種類だけに絞ることが出来ないのです。
コブサラダか青じそが一番好きなんだけどね。
一番好きなものですら味的に正反対な事で、ある程度は察して貰えるだろう。
こってり系でもさっぱり系でもどちらでも良いのです。
節操なしって無意味に友人から非難されたのは今でも理不尽だと思う。
味覚が節操なしってどういうことさ。
メインディッシュ(?)はクロックマダム。
ついに明日は家に桜子が来るので、予行練習。
ちなみにレシピを確認した時にはホワイトソースを使用したものが主流っぽかったけど、チーズ・ハムorベーコンのシンプルタイプもあったのでそちらを採用。
こちらのほうがゲーム内で食べたものに近い味だったし。
某空に浮かぶ城の長編アニメに出てくるトーストにも似ているから、余計にこちらのシンプルタイプが気に入っています。
別にソースを作るのが面倒くさいなんて思ってないよ・・・?
カリカリめに焼いたトーストとピザ用のチーズがとろり溶ける食感は中々癖になる。
ちょいと高カロリーなのでしょっちゅうは食べない方が良いんだろうけどさ。
今回は練習も兼ねているからちょっと見逃して欲しい。
量は多くないしね。
サラダとクロックマダムを食べ終えて、就寝に向けて準備。
お風呂に入りながら明日のスケジュールを脳内で整理。
練習で使ってしまった食材の買い出しも必要だし、ちょっとサボリがちだった掃除もしないと。
あぁ、シーツ類の洗濯もしなくちゃだよなぁ。
・・・もしかして明日はゲームする余裕無いかも?
自分の計画性の無さで娯楽時間が減るのは度々あるけど、今回はちょっと落ち込む。
それだけ今のゲームが楽しいって事なんだけどさ。
本末転倒もいいとこだよね。失敗失敗。
お風呂掃除もついでに済ませてあがる。
眠気もそこそこ迫ってきているので大人しく就寝。
朝起きてから早速掃除。
シーツを引っぺがして洗濯機に放り込んだら寝室からスタート。
仕上げにルームミストを巻き散らかして除菌兼消臭。
リビングも普段はロボット掃除機だけに任せてるけど、棚とかテーブルの上とかもしっかり拭き掃除。
PC周りは一番サボってきた所なので念入りに。
洗濯機が呼ぶ前にベランダも清掃。
窓ふきは前に通販で買った便利グッズのおかげで迅速に終了。
シーツを出来るだけ広げながら干して、太陽光に仕事してもらう。
天日干しが結局一番除菌作用が高いらしい。
衣服やタオル類を洗濯機に放り込んで2回目を回して、冷蔵庫チェック。
買い出しが必要な物を頭にメモしてついでに中を拭き掃除。
ちょっと夢中になり過ぎてピッカピッカになったのはご愛嬌。
キレイになるぶんには良い事だよな、と自分に言い訳。時間を使い過ぎた事には目をつぶる。
買い出しに来たスーパーでおばちゃん達に絡まれつつ、何とか引き剥がして帰宅。
会話相手がいなくて寂しいからってなんでターゲットに私を選ぶ?
いつの時代でも女性の井戸端会議は終わりどころが見えない。
愛想よくしておこうと思って笑顔で会釈したのが間違いだった・・・。
普段は深夜に買い出しに出るから油断してた。失敗。
気を取り直してキッチンの掃除。
一般的に一番手こずりやすいキッチン周りは私の場合そうでもない。
何故なら普段あんまり使わないから。
油モノとかほとんど使用しないから、市販の洗浄用洗剤でも割とすぐに落ちるのです。
水アカとかも市販の専用洗剤を使用すればピッカピカになる。
洗剤とか掃除グッズとか買い集めてたら、思いのほか効果があり過ぎて掃除の楽しみが減ったのは計算外だったけど。
その分ゲームに時間を費やせるから全然良いんだけどね。
洗濯物を乾燥機に突っ込んで一休み。
紅茶を淹れてアイスにしてゴクっと。
思い切って飲み過ぎてすぐ消費してしまったので、2杯目はミルクを入れて。
後は乾燥機から出した洗濯物をシワ取り機に入れれば大体終わりかな?
天気も良いからシーツはもう乾いているだろうし、早めに取り込んで一旦ゲームしようかな?
数時間しか出来ないけど、もはや中毒にも近いから少しでもログインしたい。
訓練するだけになるかもだけど、それでも全然良いもんなぁ。
そうと決まれば即行動。
早速シーツを取り込んでベッドメイキングを済ませ、干したての温かい状態を味わいながらギアをセットしてログイン。
ゲーム内は深夜。
空腹度を解消する為に広場で買い出し。
いつもの焼き串と目についたサンドウィッチっぽいものを購入。
パンで肉を挟んだものみたいだけど、こういうのもサンドウィッチって言うのかな?
っていうか、こういう発想があるのなら誰かハンバーガーとか作ってくれないかな?
ジャンクフードも久々に食べてみたいかも。手軽に食べれるしね。
買い出しを終えて冒険者ギルドへ。
いつも通り目立たぬように訓練場へと静かに移動。
今回も人はおらず貸切状態。
指導員が居ない時間帯はやっぱり人は来ないみたい?
むしろヘレナさんだけが目当てなんだろうか・・・?
一応ノーランさんの指導を受けていた人もいたから、そうでは無いハズだけど。
さてさて、今日は何から始めようかな?
やっぱ最初は【ブレイク】をMPの限り打つところからかな。そしたら最後には少し回復してまた使用出来るようになるかもだし。
早速的に向かって【ブレイク】を放つ私。
そういえば前回の指導の時にノーランさんが言っていた、100回分の経験値を含めると現時点で【ブレイク】使用回数は200回弱になっているはず。
次の派生スキルが出てくるのは何回使用したらなんだろう?
キリが良いところだったら300回とか500回とか?
・・・もし1万回とかだったら結構大変だなぁ。
MP増やした方が良いのかな・・・。
実戦にも出ていないのに余計な心配をしてもしょうがない、って思い直して杖を取り出す。
型の動きをなぞって精神集中。
やっぱ落ち着く。
剣を振るのも楽しいけど、やっぱ一番集中出来るのは杖を扱っている時だなぁ。
それなりに夢中になって一通りの型をやり終えた後は、杖をしまって短距離走。
前回ヘレナさんに言われたスピードの緩急とかを意識しながら。
ついでに古武術とかで縮地走法とかって言われる走り方で。
【瞬歩】が取得出来たなら、こっちも何かしらスキル認定貰えるんじゃないか?って。
スキルとして取得すると一気に効果が高まるのは【瞬歩】で確認済みなので、是非とも縮地が存在するなら取得したい。
ひたすら10メートルダッシュを繰り返すようにして、訓練場の壁沿いを走ること5周。
訓練場は中々の広さなので、1周で800メートルから1キロくらいはありそう。
ちょっとさすがに一回休憩でも入れようかな?
あの入口まで行ったら一旦食事休憩にしよう。
そう決めて入り口まで辿り着いて足を緩めた所でアナウンス。
―スキル【縮地】を取得しました―
―スキル【持久力】を取得しました―
おっ!
きたきたきた!
やっぱ【縮地】あったんだね!良かった!
もう一つ予想外にスキルゲットにも驚いたけど。
焼き串を食べながら、スキル欄に【縮地】の文字が有る事を確認してニヤニヤ。
狙って取得出来ると結構嬉しくなっちゃうね。
食事休憩を終えて早速スキルの確認。
重心を利用して走り出す。
???
今何かおかしくなかった?
ちょっともう一回。
!?!?!?
やっぱりおかしい!
最初の3メートルくらいが特に。
ほぼほぼ瞬間移動じゃないの?ってくらい、あっという間に通り過ぎてしまう。
そこから徐々にスピードが落ちてくるんだけど、それも今までよりじゅうぶんに速い。
いや、でも本当に最初の3メートルが衝撃過ぎて・・・。
3メートル限定の瞬間移動か・・・。
いやカッコイイな!?
瞬間移動だよ!?漫画やアニメでお馴染みの!
まさかゲームで自分が体験できるとは思わなかった。
くぅ~~~。
VRゲームって楽しいね!
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増:スキル
【縮地】【持久力】
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