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35 助っ人

ん、中々良い出来じゃないかな?



ゲーム中にヘンリーさんに教えてもらった、紅茶の淹れ方を実践している私です。

もちろん、ヘンリーさんが淹れてくれた紅茶の方がずっと美味しかったけど、今まで自分で淹れていたものよりかは香り高くなったし、渋みも少なくなって良い感じ。


まぁ今までの淹れ方が酷かったっていうのもあるかもしれないけれど。


いつも茶葉の量も適当だったし、時間も感覚任せだったからね・・・。

そりゃ適当な味になるわな。




ふぅっと一息入れたところで、ゲームでの薬師のレアさんとのやり取りを思い返す。



あれからレアさんには、これから10日間出来るだけ薬師ギルドに仕事を手伝いに来て欲しい、と依頼された。

私自身そのつもりでいたから、すぐ首を縦に振って承諾。


どうやら冒険者ギルドに申請すれば、冒険者を短期雇用出来るシステムもあるらしいので、申請やら手続きやらはレアさんにお任せ。

冒険者ギルドは人材派遣会社の一面も持ち合わせているので、結構働き方には柔軟に対応出来るっぽい。



クエスト的には10日間の内、5日間薬師ギルドで手伝えば一応クリア扱いになるらしい。

メニューから確認したらそう記載されていたので。


ゲームで5日間という事は、現実では2日間いけばOK。

今の私にとってそれは余裕。



・・・そういえば、これ普通に働いている人には中々厳しい内容か。

日中は働いて、夜にゲームするにしても睡眠時間とか合わせると結構無理難題だわな。



ふむ、これはラッキーだったな。

儲けクエストかも。



報酬とか全然聞いてなかったけど。





まぁ、ある程度もらえれば良いんだ。そうだ、そうとも。

別に報酬目当てで手伝いに行くわけじゃ無いもん。


何も考えていなかったわけじゃ・・・ないよ・・・?





夕飯を食べ終えて、一息入れる為の紅茶も飲んだ、片付けたらそろそろまたゲーム始めようか。


ちなみに夕飯はクロックマダム。

あれから練習続けているのです。先に予習しておかないと、いざ本番で失敗しそうだから。

本番は桜子に振舞う予定の朝食。

朝だから手際よく進めないとバレそうだしね。


あの子異常に寝起き良いから。




食器類を片付け終えて、いざログイン。






ゲーム内で今は昼過ぎ。

中々活気のある街並みを見るのは久しぶりかも。


広場まで出向いて、鑑定祭り実施中。

【鑑定眼】取得は私の中で優先事項高めなのでね。


ひたすら肉や魚を見つめる私は第三者から見たら、かなりの不審者だったかもしれない。

ちょっと反省・・・。



トコトコと歩いてやってきたのは、ブランドンさんの所。

薬師ギルドへ行く前に少し顔を出しておきたかった。




「おう、カケルか。今日はどうした?防具の相談は済んだのか?」


「はい、あれからウィリアムさんに助言を頂いて方向性は決まりました。有難うございます。・・・今日はちょっと違う内容のご相談というか、お話というか」


「ん?何だ、何かあったのか?」



ブランドンさんには昨日、薬師ギルドでレアさんからブランドンさんの恋人だと聞いたこと、

それから商人ギルドからノルマを増やすように言われて、現状の体制では中々厳しい状況なこと、

冒険者では雑な仕事をする人が多くて逆に手間が増える可能性が高いこと、

職人の中で手伝ってもらえるような人材がいないか相談に来たことを伝えた。



本当は〈まんぷく亭〉の女将さんに相談しにいったんだけど、「それならブランドンのとこ行ってきな。あいつはそれなりに人材を抱えているし、顔も効く、何より嫁さんを助けんのは旦那の甲斐性の見せどころだろ」と言われたのでこちらへ来た次第。


女将さんはブランドンさんとレアさんの事知ってたんだね。意外でも何でもないのは何故だろう・・・。

なんか相変わらず、女将さんに隠し事とか通用しなさそうな雰囲気。





「あいつ・・・そんな大変なら相談くらいすれば良いのに・・・。ったく、変なとこで頑固なんだからよ。ってか、そうか、中々まともに連絡もよこさなかったのは忙しすぎたからか・・・。ああくっそ!俺はそんな頼りない男じゃねぇぞ、商人相手だからって変に気ぃ回しやがって、あんにゃろ。・・・よし!カケル、わりぃが俺はここを長期間離れるわけにはいかねぇけど、アイツの事頼むわ。人材に関してはこっちでも掛け合っとく、暇してる奴らかき集めとくわ!」


「っ、わかりました。ちょっ、落ち着いて下さいね?これからほとんどの期間は薬師ギルドに居ると思いますので、何かあったら連絡下さい。・・・レアさんの様子が知りたいとかでも構いませんから、ね?」


「・・・ぐっ。いや・・・う、でも・・・よ、よろしく頼む・・・」


「はい、それでは」




ブランドンさんが気合入れ過ぎて、空回りそうなくらいだったので、先制攻撃して落ち着かせる。

力加減間違えて、私の肩思いっきり掴んでくるくらいだから、よっぽどだよ。


もう明らかにレアさんが大事で心配でしょうがないって雰囲気だったから、微笑ましいんだけどね。

ただ、ちょっと眼が爛々として怖かったのは内緒。


あのまま突っ走って行かせたら、人の首根っこ捕まえてでも連れてきそうな感じだったんだもの。

本当にレアさんの事が好きなんだろうなぁ。



思わず、ものすごい生暖かい目で見ちゃってたと思う、私。

おかげでブランドンさんは少しクールダウンしていたから、結果オーライ。







その後は予定通り薬師ギルドへ。

明るいうちにここを訪ねるのは初めてかもしれない。なんだかんだいつも夜に来ていたから。


「あ、この間の・・・。もしかして、地獄マラソンの助っ人ってあなたなんですか?」



出迎えてくれたのは、以前来た時にもいた三人組の男性の内の一人。


というか『地獄マラソン』って何でしょう?




中に入れてもらうと残りの男性二人も健在。

私を見た瞬間にちょっと目がキラキラしたのは何故?




「なぁなぁ、アンタがこれからしばらく助っ人に来てくれるって言う冒険者だったのか?」


「このすり潰し済みの薬草全部アンタがやったって本当か?」


「そうだ、切り取り作業までやってくれたんだってな?本当にありがとうな!」




なんか・・・前回と違って随分好意的な反応・・・?

この短期間に一体何があった?



「ええと、これから10日間なるべくお手伝いに来るように言われている冒険者は、私で間違いありません。カケルと言います。それから薬草の処理は昨日?今日?の夜に私がやったものですね」


「そっかそっか、アンタだったら確かに助っ人になるな!いやぁ、他の人達だったらどうしようかと思っててさぁ。アンタの後に来た人達が結構アレだったから・・・。アンタは仕事も早いし丁寧だったからなぁ、俺達の中でハードル上がってしまったのもあるんだけどさ」



どうやら私が来た後の人達がイマイチだったせいで、相対的に私の評価が上がった感じらしいね。

喜んで良いのか微妙な話だけれど。




「今日はレアさんはお休みなんだ。さすがに『地獄マラソン』の前にはしっかり休んでおかないと潰れちゃうから・・・。指示出しは俺らに任されてて、アンタには今日は薬草の採取をお願いしたいんだけど、大丈夫か?」


「ええ、大丈夫です。【採取】のスキルも一応持っているので。・・・ちなみにお聞きしたいんですけど、さっきから言っている『地獄マラソン』って何なんです?」


「あぁ・・・、たまにな、あるんだよ。尋常じゃないくらいの量の薬の納品依頼が。大体が流行性の病気とかなんだけど、ストックでは全然間に合わなくて作ったそばからはけていく、終わらない調合のマラソンの事を『地獄マラソン』って言ってるんだ。これが中々堪えるんだよなぁ・・・。今回は10日間で結構長いから、体調崩さないように気を付けないとなんだ」


「なるほど・・・。ん?・・・まさかですけど、10日間24時間働きっぱなしって事にはなりませんよね?お休み取れますよね?」


「あー・・・、一応?休みはある。休みっていうか仮眠取る時間が、最低限は。俺はこの『地獄マラソン』今回で4回目だけど、大体いつも5日間くらいで終わってたから、今回は正直どういう流れになるか結構未知数なんだよな」


「確かになぁ、いつもならドーピングで無理矢理突っ走るけど、今回はさすがに厳しそうだよな。・・・あ、アンタにまでそれを求めることは無いと思うぞ?あくまで出来るだけ、時間が許す限りだから。異人さんてのは長時間こっちに居られないってのは、ちゃんと聞いてるから心配すんな!」



いや、まぁ、10日間ってことは現実で3日間ちょっとって事でしょう?さすがに私も80時間ぶっ通しでゲームとか無理ですもん。やれって言われても断るけども。

実際問題、体調的に問題があるとログインすら出来ないシステムなんですけどね。

ちゃんと安全設計されているんです。このゲーム。


最大継続ログイン可能時間は8時間。その後は30分以上時間を置かないと再ログイン出来ない仕様だから、結局出来ないけど。


ちなみに現実で8時間近く経過するとアラームが鳴るんだけど、デフォルトのアラーム音が中々心臓に悪い。あれだ、緊急速報とかで流れるやつ。あれって油断していると本当にびっくりするよね。警告音だからしょうがないんだけど。




「んじゃ、そろそろ作業に入ってもらおうかな。案内するからついてきてくれるか」




案内されたのは裏口から出た所にある薬草畑。

入ってくるときに毎回見てはいたけど、改めて昼間に見るとかなり広大だ。

一見、雑草畑に見えることが残念だけど。そして、採取ポイントだけあって地味にキラキラエフェクトが目に痛い。


そういえば、夜は特に光っていなかったんだけど、なんでだ?採取ポイントは基本光って見えるハズなんだけど・・・。



「ん?そりゃ、昼間に毎日採取してるからだろ?さすがに夜にはまだ復活してないさ。畑の薬草は採取してから1日経たないとポイント復活しないんだよ。ちなみに言うと、これは特別な畑だから1日で復活するけど、他はそうじゃないからな?この畑だけで家三軒分くらい金かかってるらしいぞ」



なんと。

高級畑だったのか・・・。

雑草畑とか思ってごめんなさい。


ちなみに至って普通の畑だと、採取した後はまた種まきをする必要があるし、その後また採取出来るようになるまで10日間かかるらしい。

ここの畑は高級畑だけあって、魔道具的な何かの作用があるらしく種まきは不要で放っとけば1日で復活すると。


「俺は[ファーマー]じゃないから詳しい事はわからん」とざっくり説明されたところで話は終わってしまった。

それもそうよな。いずれ興味が出てきたら調べてみても良いかもしれないけど、私も今はそこまで知りたい訳でも無いから、一旦置いておく。




「採取する時は、根っこからな。ここで軽く土を落としておくと後が楽だ。んで、採取し終えたらアンタにはお馴染みか、この木箱、ここに入れてくれな?あとは・・・そうだな、出来ればそん時に薬草かどうかの確認してくれるとありがたい。混じっちゃっても、後でダブルチェックする為に仕分けの時間は設けるんだけど、一応な。これも後で楽できるかどうかのポイントになるから」


「ええ、重々承知しています、昨日その洗礼は受けましたので・・・」


「あぁ、そうか、昨日処理してくれたのアンタだったもんなぁ・・・。まぁ、それならしっかり理解してくれているんだな、よろしく頼むよ」


「はい、任されました」


「おう、んじゃ俺らは中にいるけど、休憩とかは適宜取ってくれ。お茶とか飲みたくなったら中のキッチンとか自由に使ってくれて構わないから」


「はい、ありがとうございます」


「ん、じゃな」







さてと・・・。

そんじゃいっちょ、やってやりますか!



―――――――――――――――――――

名前:カケル

種族:人族

レベル:1

メイン職業:剣士

サブ職業:薬士


HP:100

MP:35


STR(腕力):12

VIT(体力):11

INT(知力):6

MID(精神):10

DEX(器用):11

AGI(敏捷):10

LUK(運) :10


LP:0P

SP:0P


≪称号≫

【人との縁を結ぶ者】【研鑚する者】【異変に気付く者】


≪スキル≫


戦闘:(戦闘技術・さばき)

【長剣術 Lv4】【杖術 Lv2】

【棒術 Lv1】【体術 Lv1】

【ナイフ術 Lv2】


戦闘:(技・強化)

【回避 Lv3】【器用強化 Lv4】

【ブレイク】【剣速 Lv1】


技能:(鑑定・隠蔽)

【植物鑑定 Lv13】【生物鑑定 Lv4】

【道具鑑定 Lv7】【気配察知 Lv1】

【観察】


技能:(生産・収集)

【調合 Lv5】【採取 Lv5】

【解体 Lv1】


技能:(思考・感覚)

【集中 Lv8】【鍛錬 Lv4】

【リズム感 Lv4】【流れ作業 Lv5】

【精密作業 Lv4】


技能:(抵抗・耐性)

【抵抗:閉所】【抵抗:暗所】

【抵抗:孤独】


その他

【生活魔法】【愛嬌】

【習得率上昇(小)】【説得】

【指さばき Lv9】


≪加護≫


【妖精の気まぐれ:風】




お読み頂き有難うございます。

誤字脱字報告受け付けております。是非ご指摘ください。


感想、報告、レビューお待ちしております。


ご協力お願い致します。


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