33 薬師ギルドの女性
【長剣術】がレベル4になったところでノーランさんが帰宅するというので、私も訓練場を後にする。
冒険者ギルドにたむろしている人達の中に、ちらほらと[テイマー]の人が連れている生き物が居たのでしっかり鑑定。
ただやっぱり、人ごみの中に連れてくるのが気まずいのか、広場よりも圧倒的に数は少ない。
私が見かけた限りでは、広場で兎だとか犬だか狼だかを連れて、のほほんとしている様子の人が多い。
なんだろう、アニマルセラピー的な?
勝手に私も眺めては癒されてる。
昼間に見かけることが多いから、そこを狙いたいところ。
目標としては、外に出る前に【鑑定眼】に出来たら最高。
少なくとも3つの鑑定をレベル10にしたいかな。しっかり癖付けていかないと。
ギルドにはやっぱり薬師ギルドからクエストが出ていたので、ちゃっかり受注。
ちなみに前回の分は訓練場に入る前に、ちゃちゃっとメニューから操作して報酬ゲット。
いちいちサイン済みの依頼書を出す必要も無いみたい。
意外と言ってはなんだけど、こうやってメニューからクエスト処理している人もちらほら居る様子。
人ごみが嫌なのか、スピード重視なのかは分からないけど、おかげで私も目立たなくて済んでいる。
ちなみに今日は妖艶美女ローザさんはお休みのようで、あの異様な雰囲気はない。
っていうか、受付嬢ウォッチングしているのは固定の人達っぽい。
何度かここで見かける人ばっかり。
一応他にもたくさん人は居るけど、皆それぞれ行動はゆっくりなものの用事を済ませた後は、ギルドから出ていっているみたい。
視線は受付嬢に向いたままだけど。
前見た方が良いと思うよ・・・?
外へ出て薬師ギルドへ向かう道中。
意識して見てみると、意外と生き物がいることに気付く。
というか、どうやら【生物鑑定】は死んだ動物とか魔物でも良いっぽい。肉屋さんとかで釣られている一角ウサギであろう肉とか皮とか、魚を売っている所とかでも鑑定出来たし、ちゃっかりレベル上がってた。
【生物鑑定】が一番ネックだと思っていたけど、これは嬉しい誤算。これなら他の二つとそう差もなく上げていけそう。良かった。
薬師ギルドの裏側にまわり、前回のようにノックして待機。
「はいはーい!どちらさまー?っと、アンタ!また来てくれたんだ!おいでおいで、ちょうどお願いしたい作業があるのよ」
「こんばんは、お邪魔します」
相変わらず腕を引っ張って案内してくれる女性。
少し睡眠取れたのかな?前回よりもいくらか健康そうな見た目になっている。それでもまだ隈とか肌ツヤとかは回復しきってはいないみたいだけど。
「それじゃ、今回お願いしたいのは調合の下準備の薬草をすり潰す作業ね。アンタ【調合】のスキルレベルは1?」
「はい、まだ一度も作業したこと無いので」
「オッケー。そしたら薬草は最初は10枚入れて、この棒ですり潰していって。もし途中でレベル上がったら、入れられる量が変わってくるからその都度調整して?すり潰す目安は、薬草がしっかりペースト状になるまで。見本はこれね、迷ったら見比べて。今日は三馬鹿達に休みあげちゃったから、何かあったら私に声掛けて。ここまで何かわかんないことある?」
「すり潰したものはここに入れれば良いんですかね?」
「あ、そう。ここに入れて、満タンになったらここら辺に置いといて。新しい容器はこっちからね。薬草のストックはここから。・・・もしもだけど、前回の様に作業が終わっちゃうことがあったら、また薬草の切り取りお願いしても良い?」
「ええ、もちろん構いませんよ。とはいえ、終わるかどうか分かりませんけど」
「ふふ、大丈夫。今日はアイツら休みにしたから、そこまでノルマも厳しくは無いの。ただ出来るなら負担は減らしておいてやりたいじゃない?だから進められるところまでガンガンお願い」
部下思いの良い上司さんだなぁ。
そうとなれば、私はこの上司さんのサポート頑張りましょう。私個人的には、この人にも休みをあげたい。疲れて目が爛々としていた前回よりも、今は優しい慈愛に満ちたような目を見ていると何だか甘やかしたくなるのよな。頑張っている女性にご褒美あげるのが私の密かな趣味なので。
あ、加減を間違えると勘違いされるので要注意だよ?
よし!気合入れて集中!あわよくば終わらせてやる!!
しばらく無言で作業に取り掛かる私。
鑑定系もしっかり並行して行う。すり潰す前の薬草と、ペースト状になった薬草で鑑定回数稼げるっぽくて効率良い感じ。
途中で薬草じゃないものが入っていたのには驚き。
まさかそんな罠があるとは思わないじゃない?
鑑定してみたら、毒消し草との結果が。葉の形は確かに似ているけれど、確かこれ一株に葉が2枚しか付いていなくて、見分けるのは簡単ってなっていたはずだけど・・・?
普通の薬草は、葉が最低でも5枚付いていて根っこから採取するのが一般的。根っこは体力回復薬じゃなくて、魔力回復薬に使えるらしい。
対して、毒消し草は根っこには何も薬効が無いので、葉だけ採取するのが一般的。
だれか間違えて採取しちゃったものかな?
まぁ、ここで気付けて良かった。
葉を切り取っちゃうと、なかなか気付けないくらい似ているからね。
薬関係でミスはちょっと避けておきたいよね。いくらゲームとはいえ。
おかげでしっかり鑑定しつつ進めているので、【植物鑑定】がゴリゴリ上がっていく。
もちろんスキルレベルが上がっていくのはそれだけじゃない。
【調合】もゴリゴリ上がっていって、一度に処理できる量が増えて、またレベルが上がって量が増えるという上昇スパイラル。
おそらく【調合】スキルがレベルアップしていくと、扱える量が増えるだけじゃなくて、スピードも上がるっぽい。明らかにすり潰すための時間が短縮されている。
【流れ作業】とか、【指さばき】【集中】とかも上がっているから絶対とは言い切れないけど。
一体何が作用しているのか、全然わかっていない。今現在困っている事は無いから良いんだけどね。
そうこうしているうちに、薬草のストックが最後の一箱に。
・・・なんか絶対スキルが作用してんだよなぁ。時間感覚がおかしい気がする・・・。
まだ3時間くらいしか経っていない事がおかしいもの。
体感だとたぶん5時間以上経過している感覚なんだけど・・・。あんまり私の感覚に自信ないから何ともいえないんだけど。
最後の一箱分を終えて、周辺を整理整頓と清掃。
結局、薬草の葉に混じって毒消し草が12枚と眠り草、痺れ草が2枚ずつあったので、それぞれ種別でまとめて置いておく。開いた木箱の中には、3,4箱くらい結構根っこの端とか土とかも入っていたので生活魔法で掃除。
これ、もしかして前回私がやった分とかじゃないよね?そうだったら申し訳ない。
ちゃんと土とか入らないようにやったつもりだったけど。
葉の入れ方的に私じゃない可能性が高いけどね。
ある程度綺麗になったので、物置のほうへ移動。
扉を開けて中を覗くと、前回来た時と同じくらいの量の薬草の山。
もしかして、毎日この量を捌いているのか・・・。
そりゃノルマだなんだって必死になるわな。
そういえばこの裏にある畑は一面薬草畑だったな。
薬を作るだけじゃなくて、栽培まで行っているなら仕事量ハンパなさそう。
プレイヤーが来て消費量が上がったからなんだろうな・・・。
思っていたよりしわ寄せ具合がえげつない気が・・・。冒険者ギルドは職員増員とかしていたけど、こっちは増やさないのか?それとも増やせないのか。
何にせよ、私が出来るのは少しでも負担を減らすことだけだ。
少し背伸びして気合を入れなおす。
こうなったら、時間とか気にせず、とことんやってやろうじゃない。
気合を入れたは良いものの、ここでも薬草に混じって違う植物がちらほら。
前回に比べて、土が付いているものが多かったりで、少し手間取る。
ちょっとだけイライラしつつも、作業の手は止めないように。
3箱ほど終えたところであの女性から休憩のお誘いがあったので、一旦退出。
そういえば、まだ名前聞いてなかったな。
「え・・・?ブランドンさんの婚約者ってレアさんだったんですか!?」
なんとこの女性、レアさんは武器鍛冶師のブランドンさんの婚約者だったらしい。
元々はあの兄弟の親代わりであるお婆さんに、弟子入りしていたことで二人と交流はあったらしい。
「私も師匠から認めてもらって独り立ちしたのは良いんだけど、そうなるとあの兄弟と離れることになってさ・・・。そしたら何か無性に寂しくなっちゃって。あぁ、私自分で思っていたよりあの二人と一緒に馬鹿やってるのが楽しかったんだなぁって。そしたらブラッドも同じように思っててくれたみたいでね、イチイチ口実を作っては私に会いに来てくれてたのよ」
それから二人っきりで会うことも増えて、しばらくしてから、ブランドンさんから結婚を前提に交際の申し込みをされたんだとか。
ちなみにレアさんがお婆さんの所に弟子入りしたのは10才頃というから、実質兄弟とレアさんは幼馴染ということになるのかな?
良いね~、青春だねぇ。
「ただ、ほら・・・。師匠に報告はしたものの、ウィルに言うのはちょっと何か・・・気恥ずかしくてさ。あの子も気付いているのか、いないのか、よくわかんなくてさ。・・・普段は何考えているかくらい何となく読めるんだけど、こればっかりは私も正常に判断出来なくて・・・。はぁ~、どんな顔して会えば良いんだか・・・」
うん?
この様子だと、ウィリアムさんの現状はご存じでない感じ?あの人最初に私をブランドンさんの恋人だと勘違いしたんだが・・・。
「ちなみにですけど、ウィリアムさんはレアさんとの事気付いていないっぽいですよ?お師匠さんのお婆さんから、そろそろ恋人を紹介されるんじゃないかって言われて、そわそわし過ぎて自分の所に訪ねてくる人全員に、ブランドンさんの恋人か?って質問していたらしいですから」
私が伝えると目を見開いてポカーンとしているレアさん。
まぁ、そうなるわな。
「・・・嘘でしょ、あの子。普段おとなしい癖に変なところで行動的なんだから、もう。はぁ~、なんか踏ん切り付いたわ。他の人にあらぬ疑い掛け続ける前にちゃんと報告しに行くことにする。いつまでも先延ばしにするのは良くないものね」
「そうしてあげて下さい。ウィリアムさん自身はおそらく歓迎する気満々でしょうから」
「ん、あの子ならそうでしょうね。うん、覚悟決めるわ!」
「では、私はその為に休みを取れるようにお手伝いしましょう。気合入れて作業続けます」
「ありがと。本当に助かってる。ちなみに今はどれくらい進んだの?」
「えっと、薬草のすり潰し作業は終わったので、今は切り取り作業に移っています。前回に比べて多少手間取ってはいますけれど、中々順調ですよ」
レアさんのフリーズ状態を見るのはこれで2度目。
結構こっちも驚くのよな。いきなり固まられると。
レアさんの顔の前で手を振って意識を呼び戻す定番の動作をする私。
「アンタ本当に何者なの?だって【調合】レベル1だって言ってたじゃない!?意味わからないんだけど!?」
「正直、私にもわかりません・・・。【スキル鑑定】持っていないので、何がどう作用しているのか不明なんですよ」
「おバカ。そんなんじゃこれから困るでしょうに。一応冒険者なら戦闘系のスキルとかもあるんでしょ?【スキル鑑定】無かったら使いきれないじゃないの。自分の力量を把握出来ていないなんて危険なんじゃないの?」
「ごもっともです。なので今は、外に出る前に鑑定系のスキルを3つ上げて【鑑定眼】の取得を目指しています。なのでこちらでの作業は私にとっても儲けものなんですよ?【植物鑑定】と【道具鑑定】のレベル上げが捗るので」
「あぁ、そりゃそうね。これでもかってくらい量だけはあるものね。でも中々遠い道のりじゃない?普通にレベル上げてポイントで取得した方が早いでしょうに」
「んー、でも【植物鑑定】は先程レベル12まで上がりましたし、結構目途は立ってきている感じですよ?これからの作業でもう少し上がりそうですしね」
「・・・アンタって、やっぱり変」
何でさ。
どうせなら、仕事に真面目って言ってよ。
普段仕事で画面とにらめっこして、正解のない修正作業している身からすると、この単純作業はとっても楽なんですよ?
成果が目に見えるって、モチベーション維持には大事だよね!
―――――――――――――――――――
名前:カケル
種族:人族
レベル:1
メイン職業:剣士
サブ職業:薬士
HP:100
MP:35
STR(腕力):12
VIT(体力):11
INT(知力):6
MID(精神):10
DEX(器用):11
AGI(敏捷):10
LUK(運) :10
LP:0P
SP:0P
≪称号≫
【人との縁を結ぶ者】【研鑚する者】【異変に気付く者】
≪スキル≫
戦闘:(戦闘技術・さばき)
【長剣術 Lv4】【杖術 Lv2】
【棒術 Lv1】【体術 Lv1】
【ナイフ術 Lv1】
戦闘:(技・強化)
【回避 Lv3】【器用強化 Lv4】
【ブレイク】【剣速 Lv1】
技能:(鑑定・隠蔽)
【植物鑑定 Lv12】【生物鑑定 Lv3】
【道具鑑定 Lv7】【気配察知 Lv1】
【観察】
技能:(生産・収集)
【調合 Lv5】【採取 Lv5】
【解体 Lv1】
技能:(思考・感覚)
【集中 Lv8】【鍛錬 Lv3】
【リズム感 Lv4】【流れ作業 Lv3】
【精密作業 Lv2】
技能:(抵抗・耐性)
【抵抗:閉所】【抵抗:暗所】
【抵抗:孤独】
その他
【生活魔法】【愛嬌】
【習得率上昇(小)】【説得】
【指さばき Lv8】
≪加護≫
【妖精の気まぐれ:風】
お読み頂き有難うございます。
誤字脱字報告受け付けております。是非ご指摘ください。
感想、評価、レビューお待ちしております。
ご協力お願い致します。




