27 草むしり
忘れないうちに屋台で串焼きやら、サンドウィッチっぽいものやらを買いだめして例のお屋敷へ。
相変わらず大きくて広いお屋敷だ。
昨日まではあまり手入れされていない少し寂れた雰囲気があったが、きっとあれからも執事さんが手入れしたんだろう。
門構え周辺は綺麗になって多少彩られているし、お屋敷全体もなんだか艶が出てきたような。
少なくとも寂れた感はきれいさっぱり消え去った。
事前に執事さんに連絡を入れたら、門は開けておくので庭の方へ、ということだったので特に声も上げず敷地内に入る。
表側の庭には姿が見えないので、裏手に進んでいく。
覗くようにして確認すると、そこには執事服のまま棒とロープなどを組み立てているヘンリーさん。
「こんにちは、お邪魔しています。カケルです」
「あぁ、これは。おはようございます、カケルさん。お出迎えできませんで申し訳ありません」
「いえ、とんでもない。早速ですが何か手伝いましょうか?」
「もうこんな時間なのですね。カケルさんはお昼はお食べになられましたか?良ければ一度休憩にしようかと思っていたので、ご一緒にどうでしょう?あまり凝ったものはご用意出来ていませんが」
「ご迷惑でなければ、それは是非。お願いしたいです!」
「もちろん構いませんとも。では室内へ移動しましょうか」
裏口から入る前にヘンリーさんが【生活魔法】の浄化を使用したので、私も習って使ってみる。
実は初使用だったり・・・。
基本服は汚れないし、汗もかかない。
細かくいえば、多少は汚れるけど、軽く払うとすぐ落ちるのよな。便利仕様万歳!
ただ、今は薬草に囲まれていたし一応ね。鼻が麻痺ってて分かんなくなっているだけかもしれないけれど、薬臭いと思われたくないし。食事前なら尚更。エチケットは重要です。
食事は使用人が取る部屋で一緒に食べた。
ヘンリーさんは恐縮していたけれど、私が強引に押し切った。だって食堂なかなか広かったんだもん。
昨日ちゃんと見たから覚えてるよ。あんな所で食事なんて息が詰まるわ。
別々で食べるのも嫌だったしね。一人で食べたらまた美味しく感じないかもしれないじゃない?
そう伝えたら困ったように笑って、一緒に食べてくれた。
ちなみに、チラチラとヘンリーさんの食事マナーを真似して食べたらちょっと笑われた。
「勉強熱心なのですね」と言われて、バレた事に恥ずかしい思いはしたけれど、おかげで解説混じりで教えてくれたので結果オーライ。
ついでに皿洗いを手伝いつつ、洗う時のコツも教えてもらった。
【生活魔法】の洗浄だけでも普通は良いんだけど、上流階級の人達が使うような食器はその後にもひと手間必要らしい。
【生活魔法】の乾燥を使っても、水アカは残るんだって。
だから、主に金属製の食器を使用する上流階級の家では一つ一つ手作業で磨いていくらしい。
家によっては磨く専用の使用人がいるとこもあるんだとか・・・。
大変だね、お金持ちって・・・。
その後お茶も入れてもらい、一息つく。
入れ方はまた後で休憩取った時に詳しく教えてくれるというので、今回は見るだけ。
一応、一朝一夕でマスターできるとは限らないって昨日言われているので、焦らず。
「はぁ~、本当においしいです」
「ふふ、ありがとうございます。私も久々にお淹れ致しましたので、褒めて頂けると嬉しいものです。腕が鈍っていないということになりましょうか」
「普段は別の方なんですか?」
「ええ、紅茶の好まれるのは主に女性の方が多いので・・・。基本的にはお茶会や私室では侍女かメイドが淹れますから、あまり私が淹れる機会は少ないのですよ。男性は珈琲ならよく飲まれますがね。紅茶と珈琲とでは手順が異なりますから」
「・・・男が紅茶を飲んでいると差し障りありそうですか・・・?」
私は紅茶党なのでそれだと困っちゃうな・・・。
お酒も飲めないし。
「いえ、あくまで嗜好品ですからね。それで区別されることは無いかと。単純に一般的に紅茶は甘くして飲むもの、というのが男性が好まない理由かと。砂糖を入れずに飲まれる方もいらっしゃいますから問題はありませんよ」
良かった・・・。
まぁ、コーヒーが飲めないってわけじゃないんだけどね。ただミルク入れないとキツイ。あの酸味が苦手なんだよね。
ちなみに貴族のお茶会の時はこれでもかってほど砂糖を入れて飲むものなんだとか。砂糖はそれなりに貴重でそこで多く贅沢に使えるのがステータス、みたいな価値観らしい。
基本は女性ばかりの会だからそういった見栄を張るマウントの取り合いが必要不可欠。
そもそも女性は甘いもの好きが多いし、甘い紅茶に甘いお菓子ばかりで、稀に男性も交えたお茶会などで振舞われたときにトラウマになってしまい、余計に男性が紅茶を好まなくなりやすいとのこと。
さすがに私もそんなお茶会は嫌だ。
歴史的にも昔の貴族の人達は、味の良し悪しよりもいかに高価な食材を使った料理を食べるかって風潮あったらしいしね。
あぁ、でもそれは今も変わらんね。
世界三大珍味とかいって大して美味しくも無いもの好んで食べるもんな。お金持ちは。
やっぱり上流階級の人達っておかしい。
一息ついてお腹も満腹になったので、作業開始の時間。
ヘンリーさんは先程の組み立て作業の続きをするというので、私は草むしり。
優先的に取り除いた方が良い場所があるとのことなので、目印だけ付けてもらった。
花壇と畑にする部分はしっかり取り除いて、特に土は均さなくて良いとのこと。どうせ掘り返すから。
その他の部分は主に代官を始め、使用人達や護衛の訓練場にもなるから、時間があったら均し作業もお願いしたいと言われた。
そんな風に言われたら最後までしっかりやりたくなるじゃない。
途中で終わらせるのは嫌ですよ、私は。
私の使い方をもう把握されていそうな予感がする。さすが執事。
草むしり用に手袋とマジックバックを借りて、早速作業開始。
ちなみにマジックバックとはいっても、ウエストポーチみたいな形状。
背負う形ではないので、むしった草を入れるのがなかなかやり易い。こういうのも良いなぁ。
ただ小さくてランクが高いものはお値段が一層跳ね上がるらしい。
そりゃそうよな。
ちなみに、小さくてランク低いものは割と安めなので、高いものだと偽って転売する輩もたまーにいるんだとか。バレると重罪だからあまり市場では見かけないらしいけど、一応注意するようにとヘンリーさんに言われた。
私、一応【道具鑑定】持ってるもん・・・。
騙されたりしないと思いたい・・・。断言できないのは、なんでだろう?基本そんなに他人をすぐ信用するタイプじゃないハズなんだが・・・。
あぁ、プレイヤーはともかく現地住人はすぐ信じそうだな、私。今までの交流を思い返すと自分でも納得。
少し警戒することも覚えておこうか。あの受付嬢、ローザさんを筆頭に・・・。
そんな割とどうでも良い事を考えながら黙々と草むしりする私。
今日はなかなか天気も良くて風が心地良いもんだから、気分も上々。
こうなってくると自然と鼻歌も出てくる。
本来は躓いてしまった人達への応援ソングなんだけど、歌詞はあまり覚えていられない人間なので、ただただメロディが似合うこの曲をチョイス。
現実なら白い眼を向けられてしまう行為かもしれないが、ここはゲームでしかも滅多に人が通らない広いお屋敷の私有地。いくらかボリュームを上げてお届け。
とはいえ、私は歌う職業ではないので、音を外した瞬間になんか恥ずかしくなってすぐヤメた。
いつもより低い声でイマイチのれなかったし。
なので音楽は脳内再生でお送りしています。
たまに口笛は出ちゃってるけど。
そんなこんなで草むしりを続けていると、とある一画になんだか違和感。
なんかやけにキラキラしたエフェクトがかっているポイントが。
疑問に思って近づいて気付いた。
これ、雑草じゃなくて薬草だ。
さっき散々見たからすぐわかった。念の為に鑑定してみてもやっぱり薬草の判定。
私有地の庭にも生えているものなのか・・・。
てっきり、フィールドの森の中とかにしか無いものだと思っていた。
辺りを見回して注意してみると、他にもいくつかキラキラエフェクトがポツポツと。
あれらも薬草なのかな?
せっかくの資源だ。採取しておこう。
えーと、確か採取のポイントは切り取ったりしないで、根っこから取るハズ。
スコップみたいなものがあれば簡単に取れたんだろうけど、今は持っていない。
仕方がないので解体ナイフで代用。
一応これでもイケるんだね・・・。
ちょっとやりづらかったけど無事に採れた。
軽く土を払ってインベントリへ。
あとでヘンリーさんにまとめて渡そう。マジックバッグに入れても大丈夫なんだろうけど、一応分けておく。
その後も草むしりを続けつつ、時たま生えている薬草を採取しながら作業をしていく。
【採取】スキルがレベルアップしたのは嬉しい誤算です。
立ち上がって腰を軽く回す。
基本しゃがみっぱなしだったけど、ゲームだからかそこまで痛みとかは無いがなんとなく。
こういう動作ってクセだよね。
優先的に終わらせるべき区画は終了したので、一旦草むしりではなく採取ポイントを優先して回っていく。
これであとは草むしりするだけで良い。
全体の3分の1くらいが終わったところで、ヘンリーさんから呼ばれた。
「そろそろ休憩に致しましょう。おやつもご用意して御座います」
「そうですね。ありがとうございます」
浄化を使って身綺麗にして執事さんと共に中へ。
気付いたらもう3時間以上経ってた!
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名前:カケル
種族:人族
レベル:1
メイン職業:剣士
サブ職業:薬士
HP:100
MP:35
STR(腕力):12
VIT(体力):11
INT(知力):6
MID(精神):10
DEX(器用):11
AGI(敏捷):10
LUK(運) :10
LP:0P
SP:0P
≪称号≫
【人との縁を結ぶ者】【研鑚する者】【異変に気付く者】
≪スキル≫
戦闘:(戦闘技術・さばき)
【長剣術 Lv3】【杖術 Lv2】
【棒術 Lv1】【体術 Lv1】
【ナイフ術 Lv1】
戦闘:(技・強化)
【回避 Lv3】【器用強化 Lv4】
【ブレイク】【剣速 Lv1】
技能:(鑑定・隠蔽)
【植物鑑定 Lv5】【生物鑑定 Lv1】
【道具鑑定 Lv7】【気配察知 Lv1】
【観察】
技能:(生産・収集)
【調合 Lv1】【採取 Lv2】
【解体 Lv1】
技能:(思考・感覚)
【集中 Lv6】【鍛錬 Lv3】
【リズム感 Lv3】【流れ作業 Lv1】
【精密作業 Lv1】
技能:(抵抗・耐性)
【抵抗:閉所】【抵抗:暗所】
【抵抗:孤独】
その他
【生活魔法】【愛嬌】
【習得率上昇(小)】【説得】
【指さばき Lv6】
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