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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第一章 道具屋の日常
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1-8 意外なところからの意外な依頼

 多忙を極めていた。


 本店が。


 新工場の操業開始を目の前に控え、必要工具類の調達や設置、事務所等の準備、それに加え通常業務である。

 新工場で使う設備も自前で用意すると言い、そのための部品もウチに注文してきていて既に納めている。

 事前に職人たちを雇い入れ慣れさせていたにもかかわらず、まだ手が足りていないようだ。

 余所にも頼めば良いのにと思うのだが、要求精度が高すぎて断り続けられてしまい、仕方なくそんな対応となったらしい。


 気が付けば本店やケーブの店の技術力が余所を遥かに凌ぐものとなっていたらしい。

 そんなにウチ等の技術って高いかなぁ。

 俺がケーブの所へ来た時には他との技術差は僅かだったと思うんだけどなぁ。


 余談だが電気があるらしい。

 この国、テインバークの初代大統領がかなり優秀な人だったらしく、治水のついでに当時最先端の発電所を作っちゃったそうだが、稼働し始めて40年経った今でも使用料がかなりお高いとの事でほとんど普及していない。

 政府や公共機関、上流階級の中でも一部にしか普及してない模様、街灯もメインストリートにちらほらある程度(一部はガス灯)。

 初代大統領は発電所を増やそうとしてたらしいけど、莫大な維持費に尻込みした役人たちの手で計画は白紙に戻された、ってのが真相と聞いた。

 このベングリオール大陸28ヶ国の中でも未だに上位5か国だけしか発電所を持っていないとの事だ。

 どの国も似たような理由なのかな?

 工業が発達していないのもその辺が原因かもしれない。

 ケーブさんの店も本店も今は電気を導入していないが、新工場には遂に導入するとの事で今から楽しみだ。

 今までの工作機械は人力仕様で、重労働を強いられていた。

 また機械的にも無理をしての加工だったので、電動化で飛躍的に技術力が上がるだろう。

 すげぇぜダグロスさん!


 余波としてケーブの店へと仕事が振られてきていた為、ウチもそれなりに忙しい。

 常連さんたちも気を利かせてくれ、急ぎの仕事以外は控えてくれてるので助かっている。


 のだが、こういう時に限って面倒な依頼が入ってくるものである。


「あなた、ユーキ、お客さんなんだけど...ちょっと来て」

 いつものベルの音と共にサリさんが呼ぶのだが、二人揃って呼ばれる事は珍しい。

 一体何だろうと二人で雁首揃えてカウンターに向かう。

 そこにはゴツい制服を装備したオッサンが二人、厳つい顔をこちらに向けていた。


「軍人さん?」

 思わず口に出てしまったが、当たっていたようだ。

「依頼したい物があるんだが。出来そうか見てくれ。受ける受けない関わらず口外無用だ」

「拝見します……」


 二人揃って絶句した。

 そこに書かれていたのは"竜討伐(・・・)"の為の武器の提案依頼及び見積依頼だった。

「ちょっ、ちょっと待ってください! 何故こんな物をウチに?」

 ケーブさんが慌てて聞くと話を振ってきた隊長さんらしい人が答える。

「信用出来そうな数軒に出す予定なのだが、ここ最近躍進著しい本命のサリオーレ(本店)に見ることなく断られてな。じゃあと薦められたのがココだったと言うわけだ。他からも噂は聞いていたしな」

「他から?」

「そこは聞くな」

「……この、え~と、"殴る武器"、"蹴る武器"、"急所を狙う武器"ってのは?」

「此処だけの話にして欲しいのだが、"勇者"と呼ばれている者たちが所望した武器だ。それ以上の説明が無かったので私たちにも説明出来ない」

 ええっ! 勇者!?

 軍人さんが言い難そうに続ける。

「が、どうも喧嘩慣れしていてな、得意技を活かそうと考えているようだ」

 いや、突っ込むところだよな?

 喧嘩技が竜に効くのか? 効くと思っているのか?


 一筋縄ではいかない依頼が舞い込んだのだった。






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『カースブレイカー』シリーズ
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