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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
前日譚(第零章) 異界の冒険
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0-22 狩りへ行く二人

本日2話目です。

ご注意ください。


「いないわね」


 シーナがぼやく。

「こないだ見回った限りでは大物も中物も一切出なかったからな」

「それは聞いてるから分かってるんだけどね。こうもいないとなると、少し足を延ばす必要があるわよ」

「そうなると途中で雪に振られるのが厄介だな」


 会話で分かるように、テリオとシーナが狩りに里から出てきている。

 自分たちの故郷ではあるが、ひと冬を越すには増えた人数分の食料を補う必要がある。

 もちろん、4人くらい増えても十分な蓄えがあるので問題ないのだが、この二人自身が許さなかった。

 気持ちの問題だ。

 穀潰しだなんて呼ばせない、そう心の奥で思っているのだろう。

 そう決めたのなら、雪が本格的に積もりだす前に行かねばならない。

 既に里の冬支度も目処がつき、二人がいなくても充分と判断しての行動だった。

 しかし……

「一旦戻って、装備を整えるか」

 近場での狩りを想定していたので、装備は最低限の物だった。


「二人で何処かへ行ってしまうんですか?」

 里を出る直前、装備を整えた二人を見つけたサークヤが、悲痛な表情で駆けつけてきた。

 まるで捨てられそうになっているワンコだ。

「ちょっと待っててください! 僕も準備してきます!」

「待て待て待て! ちょっと狩りに出掛けるだけだって」

「えっ! ほ、本当ですか?」

「本当よ。落ち着きなさいって」

「で、でも僕も付いて行きますっ!」

「いや、サークヤはみんなの手伝いを頼む」

「ううっ……。分かりました」

 垂れ下がった耳が幻視出来そうな姿は、正に捨てられそうなワンコである。

 何時からこうなってしまったのか作者にも分からない。


 仕切り直して里を出た二人は、南へと下った。

 他の方面は気温が低くて獣の動きが悪く遭遇しにくいだろう、との判断だ。

 一時(いっとき)程下ると、徐々に小物の動きが目に入るようになる。

 それらを狩っても良いのだが、二人は大物を狙っていた。

 里の周辺では、大物が狩られたか追い払われた為、なかなか口にする事が叶わなくなってきていたからだ。

 4人が里に着いた際、旅の途中で狩って来た獲物や残っていた熊の燻製を夜の宴に提供したら、それなりの量があったのに奪い合いとなって唖然とした。


 小物は冬場でも里に出没する。

 それらは、稽古中の子供たちの練習に、また里の外に出られない者たちの鬱憤晴らしの弓の的にと、狩り尽くさないようにしている。

 だが、里の周辺で害のある中型や大型の獣は、容赦なく狩り尽くしてあるのだ。

 里に出没しては困る獣の肉は里で大好評とは、皮肉なものである。

 なので、二人は近場での狩りは早々に諦め、遠出での狩りを選んだのだ。


「そろそろ出てくれないと帰りが遅くなるわよ?」

「う~ん、そうだなぁ。このまま下るか、横へ向きを変えるか、だがなぁ」

 下れば遭遇率は上がるだろう。

 横へ向きを変えれば遭遇率は今とそう変わらないかもしれない、という事は遭遇しない可能性も高い事を意味する。

 じゃぁ、下れば良い……とは簡単にはいかない。

 下るほど、里から遠くなり、帰る時間も掛かるようになる。


 二人は相談の上で、下る事にした。

 以前こちらへ下りた時に、近くの村が鹿や猪に困っていると聞いた覚えがある。

 その時は少し間引きした程度だったので、また増えている可能性がある。

 それ目当てであったが……


「あれ、狩人の連中じゃないか?」

「そう? 冒険者のようにも見えるけど」

 先客がいた。

「別の場所に移るか」

「そうね、奪い合いになっても詰まらないし」

「それに付いて来られたら事だ」

 そう、簡単に余所者を里に連れて行く訳にはいかないのだ。

 仕方なく離れる二人。

 すると、、その向かった先で猪の群れを見つけた。

 テリオがシーナに合図を送ると、シーナは弓を引いた。


 シュッ


 続けて2射目、3射目が放たれる。

 シュッ シュッ

 全数が子猪に命中していた。

 子を討たれた猪が此方に気が付き、怒り狂って突進してくる。

 それを慌てずスラリと抜いた刀でスパッと撃退するテリオ。

 あっけない最後だった。

 二人とも見事な腕である。

 さあ、これで里への良い土産が出来たと引き上げる準備をしようとしたところ……


「おいおい、それは俺らの獲物だぞ? 横取りするってのか?」

 先ほどの集団が現れた。




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