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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
前日譚(第零章) 異界の冒険
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0-5 北へ

「薬草って、ヤバめか? それとも鉱石を探しながらのんびりでも間に合いそうか?」


 テリオがタークに問う。

「直ぐにあかん、ちゅう程じゃああらせんが、ワヤして怪我たんとこさえれば足らせんくなるな」

「傷系のか。じゃあのんびりも出来ないか。サークヤもいる事だしな」

「それもそうね。早めに向かって、余裕が出来てから鉱石探しをすれば良いわ」

 サクサクと話が進んで、話題に着いていけないサークヤであった。


 それから、舗装されてない道を北に向けて歩き出す。

 しかし、早々に歩を止める事になる。

 慣れないブーツで、慣れない距離を歩いたサークヤの足が、悲鳴を上げた。

 そりゃ当然でしょ。

「こりゃはよう薬も、のうなりゃあすわ」

「むう、こんなにヤワだとはな。もう少しペースを落とすか」

「す、すみません。僕のせいで」

「サークヤ、ちょっとブーツを貸して。直してみるわ」

 タークが手当をし、シーナが、背負の荷物から道具を取出してブーツの当たる部分に細工をする。

 購入した時に店主が調整をしてくれていたのだが、いきなり速いペースで長距離移動をするとは想定していなかった。

 普通はブーツの革が柔らかくなってからの所業だろうと、店主がいれば愚痴るだろう。


「これでどう?」

 ブーツを履き、少し歩いて確認する。

「さっきよりは良くなりました」

「じゃあ、もう一度」

 返事と顔の表情からまだ処置が不足だと判断し、当たってない所に詰め物をした。

「あ、当たっていた所が痛くない」

「踏み込んでみて。違和感はない?」

 シーナは、その表情で満足そうに荷物を背負う。

「さあ、行くわよ!」


 それからの一同は、ペースを戻して北に向かう。

 しかし、無理はしない。

「さて、この辺りで野営するか」

 道から少し入った広めのスペースに場所をとり、荷物を置く。

 片付けられてはいるが、以前にも誰かが野営したのだろう跡を利用して、火を焚いた。

 火の始末や食べかすを残さない様に、使った後は綺麗に元に戻すのが基本だが、道から離れておらず何組も同じ場所を利用するうちに、いつの間にかこうして跡が残るようになるのだ。

 こういう時は無理せず、後の人のために残すようにしているので、夜営の準備が楽になる。

 お互い様だ。

 昨夜の熊の肉が大量にあるので、それをまた焼く。

 それに、町で仕入れた日持ちしないものを広げれば立派なご馳走だ。

 まだまだ残っている熊の肉は薫製にしようと、絶賛加工中だ。


 3人があまりにも手早いのでサークヤは何をして良いのか全く分からず、右往左往するばかりだった。

「サークヤ、お前は周囲を警戒していてくれ。匂いに釣られた害獣や、よからぬ輩(・・・・・)にな」

「よからぬ……輩……ですか」

「ああ、この辺りはまだ治安は悪くないが、奥に入るに従って出てくるんだ。堂々来る奴はまだ良いが、なぁ」

 何処の世界にも、そういった輩はいるんだと、休憩中でも気が許せない事を心に刻む。


 ささやかな晩飯を食べながら、ふと思った事を問う。

「僕が近付いた時って、警戒されてたんですか?」

 テリオが苦笑いで答える。

「ああ、お前には全く警戒しなかったな。何故だか一目で、ああ大丈夫だと思ったな」

 何で? と頭を傾げていると、横からシーナが、やっぱり苦笑いで言った。

「サークヤは悪人じゃないって誰もが思うでしょうね。どうしてって言われてもねぇ。そういう雰囲気なのよ」

「おみゃあさんは顔つきも雰囲気もやわこすぎるんやわ」

 タークまでも、そんな事を言ってくる。

 何とも言えない顔をしながら、そういえば営業先でも、ホッとする等と何度か言われた事を思い出す。

 男としてはどうなんだろうか。


「これから徐々に害獣が増えてくる。サークヤにも慣れて貰う為に何匹か回すからな。そのつもりでいろ」

 ええっ! イキナリ!?

 しかし、この世界で生きていくには必要な事なのだと、気を引き締めるサークヤであった。





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『カースブレイカー』シリーズ
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