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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第一章 道具屋の日常
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1-3 依頼品の登場です。

 作業場でポンプの部品を加工していると、店先からベルの音と共にサリさんの声が響いた。

「アイーナさんが品物を取りに見えたわよ~」


 手を止めケーブの方を見ると、大物の加工に取り掛かっており、手が離せない様子。

 注文内容が特殊で印象的だったので人物共によく覚えている。

 品物は昨日俺が仕上げており、問題の無いことも確認済み。

 俺は棚から目当ての品が入った箱を持ち上げ、サリさんのいるカウンターに向かった。


「お待たせしました。アイーナさん、こんにちは」

「あ、こんにちは、ユーキさ……」「あ~! おねーちゃんだ~!」「ねーちゃんだぁ」

「あらあら、ふふふ。こんにちは、サーちゃん、ミーちゃん」

 苦笑いでチビッ子にも挨拶をするアイーナさん。

 今、この依頼品を出すと危険な気がする。

 何しろ見た目が子供の好奇心を刺激する代物なのだから。


 サリさんにアイコンタクトをし、子供たち奥の部屋へとオヤツで釣ることに成功。

 さすがサリさん。

 では改めて。

「お待たせしました、アイーナさん。こちらか依頼の品です」と箱をカウンターの上に置く。

 チラッとカウンターの向こう側の人物を見る。


 身長は俺より少し小さいくらい、銀髪セミロングで柔らかな表情は子供たちが直ぐに懐くのは納得するところ。

 しかし分からないのはその服。

 上流階級のように見えて、そうでもないような……

 歳は18は越えてそうだが俺よりは年下であろうが、やっぱり女の人は分からん。

 でも……うん、悪い人ではないと思う。

 こういう直感は結構当たるんだ、俺。


 アイーナさんはそっと依頼品の箱を開ける。

 中から出てきたのは沢山の細い丸棒。

「ご注文は全く同じ(・・・・)寸法の丸棒を4本づつ8セットの合計32本で良かったですね?」

「ええ、そうです。でも……これ、多いですよね?」

「はい、4本づつの10セット40本用意しました。材料からそれだけの数を取り出せたのと、手間はさほど変わりませんでしたので。もちろんお代は32本分しか頂きません」

 中途半端に材料を残しても使い道が無かったのと、かなりの精度での仕上げを要求されていたので、失敗前提の保険として余分に製作したのだが、失敗もせず、良い感じで全部を仕上げる事が出来た。


「え、でも……」

「実は以前に似たような物を作った事があるんです。24本づつ20セット」

「は? にじゅうよん……? にじゅう……せっと……?? これを???」

「真円を出しながら径を揃えるのに苦労しました。なので手順は確立していましたので数本増える位は問題ありません」

 アイーナさんは驚いた顔で此方を見た後、再度注文の品をマジマジと確認しだした。

 いや、本当に苦労したんだよな~、480本。

 試行錯誤しながらだったから最初は100本以上を駄目にしたし。


「驚きました。今まで他所で作って貰っていた物とは仕上がりが雲泥の差です。次の仕事が楽しみです」

 うん、そう言ってもらえると作った甲斐があるってものだ。

 お互いにニッコリと笑い合っていたところに、子供たちを菓子(エサ)で手懐けたサリさんが戻ってきた。

「お騒がせしました~って、あらあら~?」


「「???」」

 え、何?


 その後、お勘定を済ませてアイーナさんは大事そうに箱を抱えて帰っていった。

 それにしても、何があらあら~だったんだろ?




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『カースブレイカー』シリーズ
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