表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
前日譚(第零章) 異界の冒険
39/324

0-3 行くべき場所

「なんだ、もう起きてたのか」


「あ、はい、おはようございます。あまり寝れなくて。少し体を動かそうと思って」

「お前も剣士なのか?」

「いいえ、以前、剣道を少しかじってた程度です」

「剣、道? 聞いた事が無いな」

 テリオさんが声を掛けて近付いてくる。

 僕は、既に起きていて、その辺に落ちていた枝で素振りをしていた。

 高校の部活で剣道をしていたので、今でも時々こうして素振りをしている。

「ほう、ウチの刀技に少し似ているか」

「?」

「ふむ、少し振るってみろ」


 シュ、シュ、とその枝を振るってみる。

「開きすぎだな、もう少し脇を締めてみろ」

 シュッシュッシュッ

「うん、そうだな。今度は力を抜いて振るってみろ。難しいか? じゃあ、肘より先の力を入れないように……肘より先が無い物として」

 そういえば昔、誰かにそんな事を言われた気がするが、どこの誰だったのかもう覚えてないな。

 県大会を突破して全国に行った先輩だったか、と思いながら持った枝を振る。

 シャッシャッシャッ

 音が変わった。

 この感じが面白くなり、感覚を忘れないように無心で振り続けたが、それを見てテリオがニヤリとする。


「朝から稽古? 熱心ね」

「ああ、振るってるのが見えたから、ちょっとな」

 シーナさんが呆れた顔をして近付いてくる。

「あなたは剣士なの?」

「いいえ、違います。以前、競技をやってまして」

 剣道とかスポーツとかの言葉が通じないと直感して、言葉を選び答える。

「そんな競技があるのね。剣術の競技なんて初めて聞いたわ」

「此奴、鍛えれば面白いかもな」

「あら、テリオが気に入るなんて珍しい。でも本人が付いてくるかは別よ?」

「まあ、サークヤが良ければ……な」

 なんだか勝手に話が進んでいく。

「あれま、サークヤを連れてきゃーすか?」

 タークさんまでそんな話をするので、僕は慌てて否定する。

「ちょっと待ってください。まだ付いて行くなんて言ってませんよ。とりあえず僕の置かれた状況の確認をしなくちゃ」

「あはははは、分かってるって! まずは役場ね」

 ただ、ひとつの道を示してくれた事に僕は感謝した。


 三人と共に朝食を済ませ、森の中を下って行くと舗装されていない道があった。

 坂を登って行った先に小さな町があるという。

 三人も食料補充の為に一緒に行くと言うが、明らかに僕の為だと分かる。

 良い人たちだ。

 そして、村の入り口まで来たとき、僕は一つの結論に至った。

 それは……確実に……異世界(・・・)来てしまった(・・・・・・)んだ、という事。

 村に入っても舗装された道路が無い、決定的だろう。

 これは現代日本ではありえない。

 建物も木造建築であり、且つ現代建築物が全くなかったのだ。

 再び膝から崩れ落ちそうになるのを何とか持ちこたえ、三人に向き直る。


「もう、役場は良いです。僕は此処の人間ではない(・・・・・・・・・)

 そう、分かってしまった、自分は別の世界の人間って事を。

「ここにいても仕方ない。何もできない」

 そう、分かってしまった。頼れる人は此処にはいない事を。

「連れて行ってくれませんか、僕を」

 そう、直感してしまった。僕はこの人たちに付いて行くべきだと。


「お願いします」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『カースブレイカー』シリーズ
 連載中です。

お時間がありましたら、合わせてご覧ください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ