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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
前日譚(第零章) 異界の冒険
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0-1 バス停

第三章を途中でぶった切ってしまい、すみません。

暫くの間、第零章をお楽しみください。

 

 その日、具合の悪そうだった先輩が先に帰社してしまい、報告書の内容の確認をしてもらえない為、四苦八苦して書き上げ、帰れたのは20時半を過ぎていた。

 新入社員として入り、約半年。

 職場には慣れてきたけど、仕事は毎日新しい事ばかりで、まだまだ教えて貰いながらでないと難しい事ばかりだ。


 僕、鷹山朔也(たかやまさくや)22歳は文系四大を卒業して設備製造会社の営業に入る事が出来た。

 ……のだが、致命的な失敗をしたようだ。

 機械モノが苦手だったのである。

 客先と設計部との橋渡しが仕事なのだが、部品の名前からして分からなかった。

 そして、その部品をどうして欲しいのかって事も上手く伝わらない。

 辞めた方が良いのか真剣に悩んでいると、先輩が頑張れ!辞めるなよ!と親身に教えてくれている。

 もう少し頑張ろう、と思ってた矢先だった。


 遅くなってしまったなぁ、と作業着の上に軽い上着を羽織ってバス停に急ぐ。

 この時間帯はバスが30分に一本だけなので、乗り遅れると家に着くのは22時近くになってしまう。

 会社の直ぐ傍のバス停には、同じ作業着の人がもう一人立っていた。

 後ろに並び、時計を見ながら、早く車を買って車通勤したいなぁと考えていたところまでは覚えている。


 時計の針を確認した直後に、周りの風というか空気が変わった気がして、ふと顔を上げると、何故か森の中にいた。

 えっ! 何故?

 訳が分からない。

 理解出来ずに固まっていると、後ろからカサカサと何かが動く音がした。

 確認するべきか、直ぐにでも離れるべきか……

 僕が判断したのは離れる事。

 音のする方向の反対側へ、音を立てないように移動した。


 これからどうしよう。

 離れた後に思案する。

 すると、遥か先にほんわりと明かりが見えた。

 明かりがあるという事は人がいる可能性がある。

 なくても人工物がある筈だ。

 何でも良いから手掛かりが欲しい。

 此処が何処なのか。

 何故こんなところにいるのか。


 足元や周りに注意しながら、明かりに向かって静かに、大胆に進む。

 焦る気持ちを抑え走る。

 すると、それが何なのかが次第に分かってくる。

 焚き火だ。

 って事は……いた。

 人だ、それも3人!


 よく見ると、一人は火の番、二人は寝ているようだ。

 が、変化があった。

 火の番が立ち上がって、棒のような物を持ち構える。

 続いて残る二人が起き上がる。

 あれ? 何かおかしくないか?


 僕は歩を緩める。

 すると、火の番をしていた人が叫んだ。

「止まるな! 走れ! 早く! こっちだ!」

 えっ? 何? 僕に言っているの?

「何してるっ! 後ろを見ろ! 早くこっちに!!」

 振り向くとそこに大きな熊。

 へ? く、熊? 熊! 熊だあぁぁぁぁ!!!

 僕は焚き火のある方へと、なりふり構わず走った。

 すると、棒のような物を持った人が、それを構えこちらへ向かってきた。


「そのまま走り抜けろ!」

 僕は走りながら、その人を目で追う。

 あ、あれは脇構え?

 熊とその人が激突……する前に熊から血飛沫が上がった。

 その人が()を振り抜いたからだ。

 そのまま、呆気なく倒れる熊。

 助かった……のか。



 安堵から、その場にへたり込む僕だった。




第一章より約1年前から始まる物語です。

長~くなる予定です。

第三章後半は、しばらくお待ちください。


元々は番外編として別に書くつもりだったんだけど...

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『カースブレイカー』シリーズ
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