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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第三章(前編) 竜を討ちし者
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3-3 柔らかに光る

 ザニスさんの工場からの帰り道。


 工場脇の綺麗に整備された堤防を川上に向かって歩いていた。

 川の流れを見ていると、水の中を小魚が数匹泳いでいるのが見える。

 川の水は思った以上に綺麗だった。


 有能だった初代大統領が、法律・区画整理・道路整備・治水に上下水路も整備していた。

 汚水が川に流れ込む事がないのだ。

 本当に有能である。

 普及していないながら、電気だって引ける環境が整っている。

 あとは水道があれば快適性が格段に上がるだろう。

 ちなみに井戸と呼ばれているのは、その上水路に繋がる穴の事だったりする。

 本当の井戸を使っていた頃の名残だ。

 今度の休みは鋳造所に行くのをやめて釣りでもしようかな。

 それにしても綺麗な川だ。


 そんな事を思いながらのんびり歩いていると、川原に何かをしている集団が目に入った。

 足を止めてその様子を観察する。

 ……何をしてるんだろう。

 よく見ると川原の両岸に何か模様を書いている。

 模様を書き終えた集団は、今度は模様の上に何か、そう、棒のような物を差している。


 あ、あれは……

 見覚えがあった。

 見間違える筈もない。

 あれはオレが作った(・・・・・・)物だから。


 そして集団の中によく知る人物も見つけた。

 それも二人。


 俺はそのまま、静かにその動向を見守る。

 集団は、その幾何学模様の周囲に散り、手をかざして何かをしだしたが、ここからは何をしているのかまでは分からない。

 しばらくその姿勢のままが続いたが、ある変化に俺は驚いた。

 水面がわずかに光を帯びているのだ。

 太陽光の反射を疑ったが、明らかに違う。

 青く澄んだ光に、柔らかな光に、心が落ち着く光に、光っているのだ。

 徐々に光は強くなっている。


 なんだ、この現象は?

 見たことも、聞いたこともない。

 しばらくの間、呆気にとられて見とれていると、すうっと光が収まっていった。

 ふうっと、思わず息を吐く。

 息をするのを忘れていたようだ。

 幻想的な光景の余韻を楽しむように、それを発生させたであろう集団を見続けていると、その中の一人がこちらに気が付いた。

 驚いた表情のまま、トントンと隣にいた人物の肩を叩く。

 すると隣の人物もまた驚きの表情を浮かべ、近くの男性に二、三(にさん)、声を掛けた後にこちらへと二人で歩きだす。


 その二人の人物、アイーナさんとラーナさんが俺に挨拶をする。

「「こんにちは、ユーキさん」」

「こんにちは、アイーナさん。ラーナさん。すみません、初めて見る光景だったので見とれてました」

「ああ、それほど表立っては行っていませんからね」

「一体、何をしていたんですか?」

「術を掛けていたんです。今回は清浄維持ですね」

 アイーナさん、ラーナさんの順で答えてくれるのだが、ラーナさんが、あっしまった!という顔をした。


「清浄維持の術?」

「私達は術士なんです。術館テイオーテの所属なんですよ」

「テイオーテ?」

 知らなかった俺は顔を傾げる。

「ご存知ありませんでしたか。政府の直属で、術を施す事の出来る人を集めた機関です」

「へぇ~。しばらく見てたんですけど、術って魔法みたいな?」

「いいえ、違うと思います。どちらかというと神術かと思います。過去には私達のような存在は神殿に仕えていたと伝わってますから」

 そもそも魔法なんて無いと思いますよ。とラーナさんが答えてくれるのは助かるけど、何故交互に答えてくれるのだろう?


「うっすら青く光ってましたよね。あまりにも綺麗で見とれてました」

「み、見とれて……ああ、光が見えたんですか。神に祝福されている証拠と言われてますよ、見える人は多くはないですから」

「祝福って……何か良い事でもあるんですか?」

「分かりません。あるかも知れないし、無いかも知れません」

「ハッキリと見える人は祝福されし者、と呼ばれています」

「先輩もそう呼ばれる事がありますよね」

「言わないでよ、ラーナ!」

「へぇ~、アイーナさんも見えるんですか」

「ウチに所属する人は皆見えてますね、強弱はありますが」

 成る程、面白い。

「もしかしたら、ユーキさんもウチに所属できる資質があるのかも知れませんよ。光が見えたって事は!」

「そのくらいにしておきなさい、ラーナ!」

 いやいや、なかなか面白い話だったよ。

 職を追われたら、是非ともお願いしたい。


「ところでユーキさんは、何故こんなところに?」

 慌てたラーナさんが誤魔化すように聞いてきた。

「ああ、杖の加工で設備を借りた帰り道ですよ」

 杖の部品を持ち上げて見せた。

 しかし、それを聞いて二人が苦い顔をした。

 なんだ?

「ええと……実は……その杖なんですけど、本来の目的を失ってしまったんです」

「ええっ!じゃあこれはもう……」

「いいえ、そのまま製作は続けてください。他にも使い道はありますし、将来……いえ、未来にきっと必要になるでしょうから」

「……分かりました。このまま製作を続けます」




 それから俺たちは、それぞれの戻る場所へと歩を進めるのだった。




おかしい。

全くのノープランだったのに、思わぬ話の進み方をしたんですが。

そろそろ会わせようかなくらいしか……

いや、本当に設定外なんです本当です信じて。


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