2-9 オイタ
「おい、どうする?」
「オレはこのままじゃ嫌だな」
「アタイも」
「じゃ、全会一致だな。直ぐに用意しろ」
「「了解」」
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「おい! 勇者たちがいないぞ!!」
「近くにいないのか?」
「狩りに出た……訳でもなさそうか?」
「おいおい、まさか……」
早朝、出発前になっても出てこない勇者一行に不審を持った隊員がテントを覘くと、中はもぬけの殻だった。
3人揃ってである。
夜の間に抜け出したのであろうが、見張りはどうしたと責める事も出来ない。
彼等が目を盗む事に長けていたのは周知の事実だったからだ。
それこそ食い物はことごとくヤられた。
学生の食欲を舐めてた結果だ。
サスロ隊長が”最悪の事態”も可能性の一つとして考慮し、捜索隊を出す事にする。
隊はここで一時滞留、小隊長に任せ、サスロ隊長と隊員2人の3人で捜索に出る。
サスロ隊長でないと言う事を聞かないのだ。
とりあえず、最も可能性があり、最も危ぶまれる”竜の巣”方面の捜索だ。
危険すぎる。
縄張り内で小動物の狩りをするだけでも、狩り対象として竜に襲われるのだ。
しかも事が起こった直後だ、何が起こるか分かったものじゃない。
事と次第によっては見捨てなければならないが、俺は誓ったのだ。
全員で戻る、と。
だから、何としてでも連れ帰る。
みんな無事に帰るんだ。
そう思いながら、草を分け、木と木の間を抜け、”竜の縄張り”へと足を進める。
夜中に出たのであれば、そう進めてないはず。
こういった場所を掻き分けて進む事は教えてないから遠くまで離れてはいないはずだ。
連れてきた二人は俺同様、こういった場所に長けてる。
進むスピードが違えば、あるいは追いつく事が出来るかもしれない。
方向が間違ってたらオシマイだが、帰途に就く際に皆が”竜の巣”のある山の方向を見てたはずだ。
それで巣の方向は分かっているのだろう。
であれば、あのバカどもの考える事は分かり切った事だ。
予想して、もっと夜の警備を厳重にしなければいけなかったのだ。
畜生、竜が討たれていた事で気が動転してそこまで考えが及ばなかった。
何が何でも連れ戻してやる。
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そろそろ”竜の縄張り”に入る頃だ。
随伴の2人に注意を呼びかける。
どこにいる?
見える範囲にいないのか?
気が焦る。
目を凝らし、耳をそばだてる。
見えない、聞こえない。
どこだ、どこにいるんだ。
その時、バサッと大きく羽ばたく音が響き、同時に悲鳴が聞こえた。
「あっちだ!!」
駆ける。
山肌を。
駆ける。
木の間を。
駆ける。
声の聞こえた方向へ。
いた。
3人とも無事だ。
空を見ると遥か向こうに大きな影がひとつ。
あれは竜だ。
こいつ等……助かったのか。
良かった。
本当に良かった。
「おいっ! お前ら!」
「「「ひっ」」」
怯えてた。
あれだけ俺に歯向かってきたシンジが。
怯えてた。
あれだけ冷静沈着なショーマが。
怯えていた。
あれだけ気の強かったミカが。
俺は3人に怪我が無い事を確認して、隊員が待機する場所へと連れ帰るのだった。




