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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第二章 勇者と呼ばれた異世界人
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2-6 順調な訓練

 士気の上がった隊員の訓練は順調だった。


 違うな、好調そのものだ。

 それはもう、朝から夕暮れまでみっちりと。

 新しい道具の使い方を覚え、癖を把握し、技を磨き、研究し、更なる向上を図る。


 道具屋からは、指定した長剣、槍、弓の他に、短剣、大斧、投剣、クロスボウと呼ばれる弓の新しい形の物がもたらされていた。

 やはり道具屋は近距離戦闘は危険と見て、遠距離武器を重点的に考えてくれたようだ。

 元々クロスボウはサリオースが勇者の一人のミカにと考えたものだったが、他の道具屋がそれを見て喰いついた。

 結果、クロスボウが量産され、10丁もの数が用意された。

 矢は弓の物と共通となる様に考えられた物で管理も容易となった。

 弓よりも扱いが楽という事で、弓を使えない者の遠距離用武器とされたのだ。

 自分専用の武器と思っていたミカは、それを見て酷く癇癪を起こしたのだが、サリオースが非力なミカの為に更なる改良・強化を施してやる事で、落ち着きを戻した。


 投剣、短剣は突撃用としてなのでお守り扱いだが、いざという時は心強い武器となるであろう。

 大斧は長剣よりも重量があり、貫通力を期待しての物である。

 いずれも長剣と同じく切れ味抜群の高性能武器である。

 特に大斧は、動きが悪くなってきた相手へのとどめに期待が掛かる。

 動きの良い相手には大振りになって、かえって危険なのだ。


 長期戦を想定し、2隊に分けての訓練もした。

 遠距離武器が増えた事で、この作戦が可能となった。

 同士討ちを避けなければ意味が無いから、短期決戦の全員攻撃時の連携も綿密に行う。

 選択肢が増えるのは良い事だ。


 加えて勇者三人の訓練も順調だった。

 勇者用の武器は玩具に見えてよく考えられている。

 打撃用には重量を持たせ威力が増すように、斬撃用にはより素早く振り切れるように。

 そして使用中にズレないように。

 身に着ける防具は多少の事であれば許されるが、武器であれば致命的な結果になりかねない。

 いちいち打撃点が変わるのでは武器として欠陥でしかないのだ。

 その点、この武器群は優れていた。

 実際に身に着けさせ、その場で素早く調整してみせたのだ。

 付けて削って足して削ってと、ピッタリ隙間なく調整されたそれは、力いっぱい殴ろうが蹴りつけようが、ずれることはおろか、身に着ける者に怪我ひとつ付ける事が無かった。

 緩衝材にも気を配り、打撃時に相手に最大のダメージを、自分へは衝撃をキレイに分散させているのだろう。

 これがもし、出来成りのままであれば物を殴るたびに拳を痛めつけ、蹴りつけるたびに足にダメージを蓄積させていったに違いない。


 こういった些細な事が出来ない業者は淘汰され生き残れないであろう。

 間違いなく、この黒髪の若者は道具屋として生き残る。

 分かっている人間だ。


 使う者もそれが伝わるのか、より有効打を放てるよう効率を求め技を磨く。

 シンジは亀の甲羅を叩き割り、ショーマは甲羅の半分くらいまで切り込みを入れられ、ミカに至っては抜群の集中力で70m程先の的を射るまでになっていた。

 この仕上がり具合ならとどめは刺せなくとも、少なくとも足を引っ張る事は無いであろう。

 その機敏な機動力で相手を翻弄してほしい。


 さて、明後日はいよいよ出発の予定だ。

 予備の武器も問題なく揃い、旅の支度も万全だ。

 明日は充分体を休め、英気を養ってほしい。





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『カースブレイカー』シリーズ
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