2-1 異世界転移!?
帰りのバスを待っていた筈だった。
高校もあと半年も通えば卒業だという事で、進路の事で回りが煩くて仕方ない時期だ。
大半が進むべき進路を決めて、そこに向かって頑張っている最中。
いや、早い奴らは既に進路を決めているのだ。
なのに、俺たちは未だ進路が決まっていなかった。
アタマ悪いうえに喧嘩に明け暮れていたツケだろう。
ツケに利子を付けないでほしい。
いや、冗談だ。
そんな事より、今の状況だ。
俺のすぐそばには一緒にバスを待っていたツレが二人、周りをキョロキョロと見渡している。
おそらく俺と同じく、混乱の真っ只中なのであろう。
さっき見回したにも拘らず、状況が掴めないのでもう一度周りを見渡してみる。
制服っぽい物を着た男女10人程が俺たちの回りを取り囲み、更に剣っぽいものを腰に下げた男たち15人程が更に外の周りを取り囲んでいる。
3対25かよ...。
いや、それよりも、俺たちはバスを待っていた筈である。
まだ明るい時間帯だった筈が、周りは真っ暗、松明に照らされていた。
なぜこんな事になっているんだ?
俺達3人は背中を合わせ、臨戦態勢を敷く。
無言で出来るのは喧嘩慣れしている成果だ。
汗をかき、ホッとした顔をしていた制服の男女10人程が、それを見てギョッとして後ずさりすると共に、後ろにいた剣っぽいものを腰に下げた男たちが前に出る。
よく見ればこいつらも姿格好を揃えている。
鎧じゃないかアレ?
兜は被ってないけど。
俺たちはその様子を見て、更に臨戦態勢から戦闘態勢へと変化させる。
俺は体の向きを整え、握った拳を前に構える。
右隣の男はトントンと軽く飛ぶように、利き足を軽く上げる。
左側の女は鉄板入りのバッグを手に構える。
すると前に出た男たちが、腰の剣っぽい物をスラリと引き抜いた。
目を凝らしてよく見ると、剣っぽいものじゃなく真剣だアレ!
完全に銃刀法違反だろ。
それとも法律お構いなしの闇の組織か何かか?
さぁ、どう出る?
先制攻撃で数を減らすか?
いや、そのチャンスは既に失った。
奴らは強力な武器を持っている。
やるなら剣を引き抜く前だったのだ。
状況が動いた今では、いつもの方法ではこちらが完全に不利だ。
「翔真、どうすればいい?」
右隣の男に意見を求めるが、返事は芳しくない。
「いや、これ、手を出しちゃいけないパターンだ。向こうの出方待ちか」
「ちょっと、これヤバいってのは分かるんだけど、どうしてこうなってんのよ」
左隣から悲鳴にも似た焦りの言葉が出てくるが、俺たちに答えなんて出せない。
いや、みんな薄々気が付いている。
”異世界へ転移”したのではないかと。
「ああ、済まない。驚かせてしまったな。言葉は分かるか。そなた達に危害を加えるつもりはない」
そう言って剣を納めさせる鎧の男。
話し合おうというのか。
この際、ありがたく聞こうではないか。
俺たちは渋々臨戦態勢を解いた。
ふと空を見上げたら、月食であろう最中だった。
暗い筈だ。
ぼんやり赤く染まった、薄暗い月が頂点にあったのだ。
それに気が付かないくらい緊張していた。
足元の地面にびっしりと書かれていた幾何学模様を見ながら、俺達はその集団に促されてその場を離れた。
という事で、シンジ目線でした。
時間軸は、第一章とほぼ同列です。
*臨戦態勢と戦闘態勢を使い分けましたが、意味を調べると同義のような……汲み取ってください(汗




