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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第一章 道具屋の日常
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1-13 心構え

「出来た……」


 一本目が。


 納得いくまで研ぎ込んだので、たっぷり時間が掛かった。

 このままのペースではちょっとヤバいかも知れない。

 いや、確実にアウトだろう。

 予備分を出発直前迄に間に合わせられればヨシという事にすれば良いか。

 あ、これ、ダメになるパターンだ。


 うん、慣れてきたな、この仕事に。

 悪い意味で。

 いや、これは現実逃避だ。

 竜相手に考えると心許ないってレベルではない。

 戦力も武器も情報も少な過ぎるのだ。

 対策の立てようがない。

 会議室でのあのガキども(どんどん呼び名が酷くなっていくのは気のせいではない)を見れば誰も理解できる。

 今まで通りのやり方では討伐に失敗するか死ぬ、間違いない。

 少なくとも無事では済まないだろう。


 だからこそ、少ない時間で出来る限りの事をやり遂げたいのだ。

 今できる事で、考えられる全ての事を注ぎ込みたいのだ。

 あんな奴等、死んでも良いかと思った事もあった。

 だが、やっぱり誰も死んで欲しくはないのだ。


「どうだ、良さそうか?」

 ケーブさんに聞かれ、軽く振って見る、両手で。

 まるで剣道(・・)でもするかのように。

「……一度、試し斬りをして欲しいですね、使える人に」

 手伝いに来ていた職人さんと共に、ケーブさんと作業台の上に置いた長剣を見る。

「スゴいですね、今まで目にしていた剣が玩具に感じてしまうほどです」

 ごくりと喉を鳴らし、一言漏らす職人さん。

 鋳造所で鍛え直してきた剣先は、刃先が黒光りして俺達の顔を映していた。

 あとは他の刃物を同じように仕上げていくのみだ。


 今出来る事は全てやる。

 この仕事が終わるまでは、このスタンスを崩さないように進めていこうと心に誓う。

 ケーブさんも勇者用の武器の仕上げを終わらせて、槍の仕上げをほぼ終わらせていた。

 そちらもかなり高い精度で仕上がっていた。

 ケーブさんの思いも同じようだ。


 あまり根を詰めすぎないようにと、サリさんが上手に管理してくれていた。

 おチビちゃん二人も精神的な癒しとして大活躍である。

 二人の寝顔しか見られない、なんて事はなく済んでいる、そもそも見に入らせて貰えないけど。

 有難い。


 その後、ケーブさんも槍の仕上げをやり遂げたので、翌日に軍施設まで出来上がった長剣と槍、勇者グッズを持ち込む。

 勇者のは武器ではない。グッズである。

 対人、対小型動物であれば強力な武器と言えるが、相手は竜である。

 お遊戯だろう、とても口に出せないが。


 その日は偶然にも他の道具屋も出来上がった武器を持ち込んでいた。

 余所も、担当の武器全種類の最初の1セット目が出来上がったという事で、仕上がりの確認だそうだ。

 考える事はどこも同じって事か。

 今回は会議室ではなく、外の鍛練場に通されており、討伐隊であろう面々も揃っていた。

 勇者たちもだ。

 軍の討伐隊たちは余所の武器を手に触れて素振りをしてと、思い思いに確認していたところだった。

 その武器たちを見てみると、やはりかなりの仕上がりを見せている。

 余所も、俺たちと同じ思いで挑んでいる事が伝わってくる。

 士気は上々だ。

 これを狙っていたとすれば、サスロ隊長はなかなかの策士であろう。


 ところが勇者一行は興味が無いらしく、壁にもたれ掛かってサボリを決め込んでいた。

 ちょっとは気にしろよ!




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『カースブレイカー』シリーズ
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