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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第一章 道具屋の日常
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1-12 武器の魔改造

軍からの依頼の内、担当する事になったのは、長剣、槍の仕上げ工程と、勇者用の武器、提案武器のうちの大斧と短剣の仕上げ工程、それも全数のうちの1/3の2本づつだ。

矢じりや投げナイフの仕上げは余所に任せた。

数をこなすには鋳造技術が必用だったが、設備がなかったのと人数の都合でこんな配分になった。

指定数より数が増えたのは、単に保険。

それぞれを分散させたのは、仕上げ具合に偏りがあっては攻撃力に影響が出てしまうからだ。

例えば、弓の矢に高度な技術がを持つ者が当たってしまい、剣や斧がそうでない者の担当になったら……

弓だけで倒せる相手なら問題ないが、相手は竜。

皆、人が死ぬのは嫌なので必死なのだ。


俺達は、鋳造品が出来上がって来るまでの間に勇者用武器に取り掛かる。

取り敢えず、某世紀末のヒャッハーなアレだアレ。

奴等なら絶対喜ぶ、間違いない。

考えている武器で何とかなるとは全く思わないが、奴等なら死なないような気がする。

ビビって後ろで震えてろ。


パンチジャンキー(シンジ)にはグローブに、兎に角重量の嵩む鉄板を仕込んだ上に刺々や刃物付けてやる。

重量増し増しで慣性力利用せにゃ竜なんて倒すの無理だ。

保険に刺付きメリケンサックっぽいの用意してやれば涙流して喜ぶだろ。


キックジャンキー(ショーマ)にはブーツに鉄板仕込んで(まんま安全靴だなw)、刃物付けてやる。すね当てには刺々のスパイクをビッシリ敷き詰めてやれば文句は出ないだろ。


問題は急所狙いって意味フな姐ちゃん(ミカ)の分だな。

全く想像が出来ない。

急所狙いって、竜相手に身体張るつもりか?

まぁ、飛び道具でも考えてやるか。


通常の仕事(主に本店からのもの)はほとんど専用の加工設備が必用なものだったので、道具屋連合から職人を派遣してもらった。

派遣された職人たちは目を白黒させてその設備を見、これじゃあ追い付けない筈だわと溜め息を吐いていた。

だが、流石職人である。

あっという間に設備を使いこなし、本店からの仕事を溜める事なく進めてくれた。

助かるねぇ。


数日経つと、改良された鋳造品の剣類が持ち込まれ、次の工程へと進むのだが、

「ちょっとやってみたいことがあるんだけど。」

俺はケーブさんに説明し、鋳造されたばかりの大小の剣、槍、大斧それぞれ一本づつを布で包み背中に背負って店を飛び出した。

重いなこれ。


「こんにちは~」

「おう、なんだ、ケーブんとこの。どうしたんだ。ダグロスんとこのお使いじゃ無さそうだな」

向かった先はジーニさんの鋳造所。

「ええ、ちょっと厄介な依頼がありまして。やってみたいことがあってお願いに来ました」

「ほう、何か面白そうな匂いがぷんぷんするな」

二人でニヤニヤしているのを見てしまった親父さんが、顔をヒクつかせて奥に引っ込んでいったのは、二人とも気が付いていない。


「以前、刃の欠けた鍬を修理してましたよね」

「おう、たまにだが、修理もするな」

「で、ちょっと聞きたいんですけど、その修理した物ってまた欠けたりします?」

「ああ、そういやその周りは欠けたり曲がったりするが、一度修理したところは二度目の修理はないな。何でだ?」

「修理しているところを見てたんですが、恐らく鍛造加工に似た感じになったようです」

「鍛造、か」

「で、今回の依頼品にあらかじめその加工を施してみようと」

「やっぱり面白そうじゃないか! よし、早速やるぞ!」


やる気になったジーニさんは早かった。

息子さんも巻き込んで3人で作業したので、一日どころか数日は掛かると思っていたのが、余裕をもって日が暮れる迄に帰る事ができた。

途中、親父さんがウズウズしながらウロウロしてたので、途中から参加してもらったのも大きい。

大の大人が飯も忘れて、カンコンカンコンと真っ赤になった鉄を相手に遊んでいるようにしか見えなかったんだが。

何故もっと持って来ないかと怒られた位だ、徒歩だから重いんだって。


タイムロスは最小限で済んだ。

あとは仕上げ工程を進めて、結果を知ることだ。


時間に余裕があれば、残りも同じように加工するつもりだ。

調子に乗って没頭し、納期に間に合わなくなる事にならないように気を付けねばね。




3人の武器が投げやりっぽいですが、作者的に3人への感情移入がこの程度って事でお許しください(汗)

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