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近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第一章 道具屋の日常
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1-11 会議で遭遇

 7日後、軍人さんに指定された軍の施設内の会議室に二人はいた。


 いや、他にも二組、5人が座っていた。

 俺達はその5人に会釈をし席に着く。

 ケーブは知り合いと思われるそれぞれのリーダーに声を掛けようとしたが、ドアを開ける音に遮られた。

 入って来たのは、依頼に来た二人を含む10人ほど。

 70台くらいの年輩者や事務員ぽい人もいる事から皆が討伐に行く訳ではなさそうだ。


 待たせたな、と言って隊長らしき人が見渡す。

「よく集まってくれた。感謝する。討伐隊隊長のサスロだ。資料を渡したここにいる者たちには大まかには伝えているが、討伐隊を組んで竜を討ちに行く事になった。西の国境付近にいる竜が近くの村にちょっかいを出しているのは皆知っているな。この竜が最近、徐々にエスカレートしていて、遂に村人に怪我人が出た。このまま放置しては、いずれ死傷者が出兼ねないと判断された」


 異常事態である。

 今まで、それこそ有史上、竜から(・・・)は人を襲ったという記録は残ってない。

 あるのは真偽覚束ない昔話の中だけである。

 竜は縄張りの外では非常に温厚で、人々が争い事を始めればそれを止めに入る事もある。

 怪我人を出さずにだ。

 だからこそ、暴れた竜を退治するという昔話を信じる人はほとんどいないし、守り神と崇められる存在でもある。


「本当なのか、竜に襲われたっていうのは?」

 サスロ隊長が頷く。

「かなり稀な例だが、そういう事があるらしい」

「いや、そんな記録は何処にも無いって話じゃなかったか?」

「実は古い文献を解析してみると、あの昔話が案外出鱈目では無さそうだ、というのが最近の研究で明らかになっているらしい」


 どこまでが本当かは知らないがなと首を横に振るサスロ隊長に、一同言葉を失う。

「一部の者には口頭で話したが、勇者と呼ばれている者たちがいる。ここには後で連れて来るが、その者たちの訓練があと40日程、武器に慣れさせたいので製作期限は必然的に30日くらいしかない。無理を承知で頼む。どんな結果になろうと、お前たちに責任を押し付ける事はしないと誓う」


 最後の言葉と、その勇者とやらに皆が戸惑いを隠せずにいるが、それこそ時間が足りないので詳細を詰めていく。

 結局、人の命が掛かっているからと、皆参加を表明したのだ。

 やはり余所も、時間が足りないので今使用している武器を改良していく方向性で提案を持ってきたようだ。

 だが、不安は残る。

 それは余所も同じで、本当にこれで良いのかと疑心暗鬼に陥りそうになりながら話を進めるのだった。


 それぞれに分担を決め、例の勇者用の武器の検討をしていた時、会議室に異様な雰囲気を纏った一団が入って来た。

 一目で、ああコイツらかと皆が理解し、同時に拒否反応を示した。

「おお、来たか。皆、コイツらが今回の主戦力の……」

「向水信二、シンジだ」

「美樹翔真、ショーマと呼べ。ミキと呼んだらコロス」

「磐田美嘉、ミカよ」

 うわぁ、これは関わりたくない。

 機嫌悪そうに自己紹介する三人はシンジが長い金髪、ショーマが赤い短髪、ミカが明るい茶髪のウェーブヘアーだ。

 三人とも不自然な髪の色なので、染めているのだろう。

 若いな、学生か。


 本人たちに武器の希望を聞いて見たところ、

「ああ?んなもん殴り倒せばいいんだろ?」

「俺が蹴り殺してやらぁ!」

「金蹴りして"ピー"して"ピー"すりゃ大人しくなるって!」きゃははは、と下品な笑い声を出す。

 軍人さんたちを見ると、皆苦虫を噛み潰したような顔をしていたので、軍の訓練でも手を焼いているのが丸分かりだ。


 聞くだけ無駄だったので、道具屋連合で独自解釈して創ることで了承を得た。

 細かい仕様を詰めていく中で、問題点としてウチの負荷が高い事を挙げると、他の道具屋は余裕があるそうなので、抱えている仕事を問題のない範囲で受けてもらうように調整した。


 その相談中、ふと顔を上げると、ショーマと目が合った。

 あ、やべぇ。

 気が付かない振りをして打ち合わせに戻ったが、その後は何事もなく終わる事ができた。


 しばらくは、この依頼に掛かりきりになるだろう。





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