閑話【血の繋がらない曾孫】
「お祖母様この子を俺の養子にしたから」
お気に入りのソファーで紅茶を飲んでいれば、いつも鍛えることばかりしている私の唯一の孫が曾孫になるという子供を私にみせてくる。
呆れながらも緊張した面持ちの子供を観察してみる。白い髪に赤い瞳。可哀想とは思わないけれど、見事に悪魔の色を持っている。
「アル、どこで拾ってきたの? この子は」
「俺が見つけたんじゃないよ、お嬢様が見つけたんだ、この子を婚約者にということだけど家がなくてね、だから俺の養子になることに決まったんだ」
「まぁ、サーレ様が…」
男にも女にも魅力が感じれないという孫を持ってもう曾孫を見ることは諦めていたけれど。…そう、血は繋がらないとはいえ私に曾孫が出来たのね。
「長生きしてみるものだわ…まさか孫嫁よりも先に曾孫ができるなんて思わないわよね。 それで、あなたの名前はなんというのかしら」
足腰が弱っているためソファーに腰掛けたまま曾孫に問えば、緊張した顔のまま「ジークです」と答える。
なるほど私の曾孫はジークというのね。
「こっちに来なさいな」
「…はい」
怯える子供の頭に手を置いて撫でてみると白い髪の毛は柔らかく指を滑らせる。
「歳はいくつ?」
「…多分九つになります」
「はっきり分からないのね」
「…すみません」
謝ることなんてないのにと手触りのいい髪を撫で続ける。うん、いい子じゃないの。下手したらうちの孫よりも素直でいい子よね。
「お祖母様と呼んでちょうだい、ジーク」
「えっ」
「私の曾孫になったのでしょう? ならいいじゃない、ひい祖母様は呼びづらいでしょうし、アルも私の事をお祖母様と呼ぶから」
困惑した赤い目にゆっくりと微笑み、細いけどしっかりと筋肉がついている体を抱きしめる。アルが鍛えてるんでしょうがもうちょっと柔らかい方が抱き心地はいいわね。
「こんなにいい子が曾孫だなんて、お馬鹿な孫を持ってよかったわ」
夫に先立たれまだ幼い息子に家を継がせそれを支えた。息子に嫁が出来れば隠居し、この屋敷でのんびりと過ごして、孫が生まれた日は泣いたものよ。
戦争で息子夫婦がアルを一人残して逝った時は覚悟していたし、平気だったけれどたった一人残ったアルでさえも戦場へ送らなけれはならなかったことがなによりも恐ろしく、不甲斐なく感じた。ヘラヘラ笑いながらも顔色悪く帰ってきたアルを見てつい手が出たりもして。
老いていく自分の手をみて、私がもっと若ければ私が戦場へといったのにと何度悔いたか。
アルが嫁をとるのを拒否した時から薄々分かってはいたのよ。もうこの家ば長くは続かないと。
それでも良かったの。全てを亡くして戦い抜いた孫に無理強いするつもりもなくて。でも。
でもよ、たとえ、血の繋がらない子だとしても。赤い目の子だとしても。
家族を持つことを恐れていたアルが養子にすると、その一言を私に言いに来てくれた。
「ありがとうね、ジーク」
「…」
「本当にありがとう」
それだけで私はこの子が赤い目だからと突っぱねる気は全く起きないの。むしろ愛らしく見えるわ。
きっと貴方だからお嬢様は見初めたの。貴方だからうちの孫の息子になれたの。
赤い目だからこそ私の曾孫となったジークの頭を優しく撫でる。
私のいない先を、きっとこの子は支えてくれる。
そう確信できることが、なんと幸せなことか。
「アルもジークも今日は泊まっていきなさいな、ジークは来年には小等部に入るの?」
「いえ…サーレの入学する再来年に入ります」
「まぁまぁ、仲がいいのね…ふふふ」
ああ、とても幸せだわ。ベルディも本当に運がないわよね。こんなに可愛い曾孫の顔が見れないなんて。
…それとも今もそばで待っていてくれているのかしら。
アーティルとエミリーはきっと二人は揃って神の下にいるでしょう、仲がいい子達だったから。
ベルディのためにもこの子の成長をあと少ししか見れなくても見守りましょう。
実は書いていたジークよしよし回。
どこに入れるか迷ったけど学園編が始まる前がいいかなと急遽ぶっこみ




