出来ることをするために
「…君と話していると子供と話してる気がしなくて忘れていたよ、そうだね君は子供だった」
宰相がふぅと息をつくけど私はどぎまぎしてるよ。その発言合ってるから、中身大人です、しかもゲームオタクの。
「でも相手は闇魔法を使うと言っていたのは君だし、王宮の光の魔法師はいま遠征中だ」
「遠征中…?」
「魔物が活発化してると報告のあった土地に行っているんだよ、だから闇魔法にある呪いの類とかは治せる術がこちらにはない、傷なら魔眼持ちじゃない限り水属性の治癒で間に合うけどね」
知ってるだろうけどとという宰相の言葉、なーんか癪に障る言い方な所に息子がチラつく。さすが親子?
「──バサールハ公爵は私の目、どう思います?」
そう問い掛ける。
本来の目的も果たせるかもしれないと心の中で胸を撫で下ろす。
「…女神の瞳だね」
「そうです、そう呼ばれる目です、バサールハ公爵…私はジークと結婚したいんです」
唐突な宣言に微かに目を見開かれる。でもここ大切なとこだから知らんぷりしておこう。
「ジークの目は…忌み子と呼ばれる目です、でも私はジークの目は好きだしジークが好き、ジークの目を忌むものと伝える教会は大っ嫌いです」
「…回りくどいことは抜きにしていいよ、この際口調も気にしなくていい、今更だし僕の息子の友人だからね」
有難く頷く。
「私の目は女神の瞳って呼ばれる色です、そんな私が光魔法をおおっぴらに使うと教会は巫女だなんだとかつぎ上げる未来が簡単に想像つくんです、そしてジークのことを排除しようとするのも。」
ギリッと歯を噛みしめればジークが優しく私の頭を撫でてくれる。
「……悔しいことに私はまだ教会に立ち向かう物を持っていないから、子供だからと片付けられ、お母様たちからも離される可能性すらあります、だからできる限り光魔法のことは隠しておきたいんです」
「……でも僕らは君の力を使いたいと思う」
「はい、だからリトを経由します、リトの手の甲の花は私が作ったまだ誰も知らない魔法です、その花の場所に私は飛べるようにしました」
ジークにも着いてるけどジークのは保険だ。黙っておくことにして。
「私を呼ぶ時、リトを通してください、そうすれば私はどれだけ離れててもその声を聞けます」
「誰にも勘づかれることも無くか…」
「はい」
だから私の事をみんなの前で呼ばないで欲しいんだよ。
「……ふむ、ならそうしよう手を借りるのはこちらだし君がいるならリトに万が一のこともなさそうだ」
「もちろん。」
「幸いにも私は陛下の所に行かねばならない、それは周りの者も知っていることだし、そこで人払いするのもいつもの事だ──陛下の判断にはなるが君の身が危うくなることは絶対にしないと誓おう」
私の脳内でクエストクリアの音楽が聞こえた気がしてちょっともう、なんか、力抜けてきた。
「パーティーが無くなることも大いにあり得る、すまないが護衛達も黙らせないといけないのでね、リトとユミルを君のところに連れてっておいてくれないかい?」
それに頷けば宰相は嬉しそうに笑うので。私も笑って返した。
「では、また会おうサーレ嬢」
「はい、バサールハ公爵」
宰相が部屋から出ていくのを見送り、私はジークの手を取りながらリトに手を差し出す。
「リト、手を…ユミルさんもリトの手をとってください」
「うん!」
「……失礼します坊ちゃん」
リトが目を輝かせて私の手を取り、ユミルさんが恐る恐るリトの手を取った。身長的にちょっと屈み気味なユミルさん苦しそうだしちゃっちゃと飛んでしまおう。
「“元いた場所に連れ帰って──転移”」
ごっそりと魔力が抜かれる感覚にやっぱり証なしの場所は辛いなとゲンナリするけど無事にリトを助けられてよかったと心底ほっとした。




