TEXT54:Scylla~進行度2~
数分後、新宿。ヤタガラス新宿支部アジト。地下のbarにて
「・・・・成程、説明ご苦労。」
すぐさま廻は奥のオペ室に運び込まれた。その様子を静観しながらオーナーはジャケットの胸ポケットから葉巻を取り出し咥えて静かに火を付けるとツヴァイから現在の戦況状況を聞き終えれば眉間に皺を寄せていた
「・・・廻の馬鹿は療養とメンテナンスもかねてしばらく謹慎させるとして・・問題はそのヴィクター社のマキナだな。」
腕を組み溜息をつくオーナーにちょうどメンテナンスを終えたアルファがゴキッと首を鳴らす
「そんなモン・・・・殺すしかねぇだろうが」
「ま、待ってください!!」
アルファの言葉に、廻の身を案じて駆け付けた大和独立党の若き代表である霧島直真がソファから立ち上がり声を荒げた
「あぁ?・・・・」
「壊すなんて・・彼女は自分の意志とは無関係に兵器に改造されたんですよ!?それをそんな簡単に!!それに・・・廻が・・・・」
怪訝そうなアルファに直真はそう反論すると苦し気に表情をゆがめて俯いた。
「・・・・これに関しては、俺の責任でもあります。深入りするなときつく言っておけばよかった・・・でも・・・あんな・・・あんな幸せそうな廻の顔を見たら・・・・」
辛そうに俯く直真に今度はツヴァイが静かに言葉をかけた
「・・・・現実はな、そんな甘くねぇんだよ。」
「っ・・・・」
「それに・・・アルバ自身も心のどこかで覚悟してたんじゃねぇのか?こうなる日がいつか来るんじゃないかってな」
そう言って、ツヴァイは静かにオペ室に目を向ける。ガラス窓の向こうにはベッドに寝かされている廻と心配そうに見つめる要。そしてそんな要の背中を優しくなでる朔の姿が見えた
「・・・なら、彼女は内心その恐怖に怯えながら生きてたということですか?」
直真の言葉にツヴァイやアルファは小さく肩を竦めた。
ーーーー 人類の希望のように言われようとも、しょせん自分達はまがいものなのだ
感情なんてもの、自立した心があるのならばそれは人間側にとってバグになるのかもしれない
だが、そんな物は人間側の都合だ。
少なくとも、ツヴァイやアルファ。この二体に関しては通じる理由があるとすればただ一つだけ
ーーーーー 美琴が進むと決めたのなら従うだけ
理由なんて、それだけで十分だった
「アルバがどう思っていたか、なんてもうわからねぇ・・・・だが」
にやりと口元に孤を描きツヴァイとアルファは立ち上がり玄関に向かった
「ーーーーー ウチのマスターに喧嘩売ったなら、壊すまでだ」
「っ・・・それでもし。廻が美琴さんを許さないと言ったら、どうするんですか?」
複雑そうな直真にツヴァイとアルファは互いに顔を見合わせ
「「ーーーーーー 構わねぇよ。それでマスターに牙を向くなら始末するだけだ」」
「っ・・・・・・」
そう言って外に出ようとする二人にオーナーは静かに大ぶりなジェラルミンケースと二つ差し出した
「・・・・持ってけ。てめぇらの新しい牙であり爪だ。」




